現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 前編

ここから本文です

2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 前編

掲載 10
2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 前編

軽い2.0L直6ターボを搭載した200ZR

40年前、1983年に登場したZ31型のフェアレディZは、海外市場では300ZXから提供されていた。日本以外のダットサンファンは、Zカーのベーシックグレードとして受け止めていたはず。

【画像】2.0Lターボクーペ 日産フェアレディZ 三菱スタリオン S30と最新Z FTOとGTOも 全116枚

エンジンは3.0Lの自然吸気V型6気筒。サスペンションはソフトで、アメリカを意識した2ドアクーペだった。しかし、軽量な日本独自のグレードが存在していた。ターボチャージャーで加給される、2.0L直列6気筒エンジンを搭載した200ZRだ。

Z31型では、快適性を高めたことで車重が増え、従来からスポーティさが薄まっていた。200ZRは、それに対する日産からの回答ともいえた。ご当地の人だけが味わえた、軽く鋭敏なフェアレディZだった。

ミドルサイズのクーペにとって、世界最大の市場といえたのが北米。フェアレディZは1969年の初代、S30型から2代目のS130型へ至るまで、安定的に7万台前後が売れている。同時期のマツダRX-7やトヨタ・スープラを、大きく引き離す支持を集めていた。

欧州市場でも、S30型の280ZXが1975年に発売されている。ところが、快適性を重視したクーペとして評価は伸び悩んだ。1983年には、Z31型の300ZXが英国にも上陸しているが、北米のようなファン層を築くことはできなかった。

そのかわり、より安価で軽量な三菱スタリオンが、ロンドン郊外の一般道を軽快に駆け回っていた。300ZXは、少々割高な日産に感じられたことは事実だろう。

S130型で登場した直列6気筒ターボ

三菱がスタリオンに2.0Lターボエンジンを搭載した理由は、日本の課税制度にある。2.0L以上の排気量の場合、毎年支払う自動車税が高くなるためだった。実際、初代のS30型フェアレディZにも、2.0Lエンジンを積んだモデルが存在していた。

しかし1980年代初頭、信頼性に優れ低価格なターボチャージャーが普及。自動車税を増やさずに、高性能モデルを提供する手段が誕生した。その後の10年間で、多くの日本製スポーツモデルがターボエンジンを獲得していったことはいうまでもない。

日産がターボを採用し始めたのは、Z31型の先代となる2代目のS130型から。2.8L直列6気筒エンジンに追加され、1981年から英国でも280ZXターボとして販売されている。

翌年には、日本仕様として2.0L直列6気筒エンジンにターボを搭載。ただしブースト圧が低く、インタークラーも介せず、最高出力は控えめではあった。

その2年後、新設計のエンジンを獲得したZ31型へフェアレディZはモデルチェンジ。メルセデス・ベンツに技術的なルーツを持つ、リバースフローのシリンダーヘッドを載せた、直列6気筒「L型」ユニットは廃盤となった。

世界市場へ提供されたのは、自然吸気かターボ過給される3.0L V型6気筒、VG30型ユニット。日本では、排気量の小さいVG20型のV型6気筒2.0Lターボも用意された。

2.0L V6ターボより強力 車重は約170kg軽量

そして1985年、名機として名高いRB型と呼ばれる直列6気筒エンジンが追加される。1980年代初頭に、日本初となる量産V型6気筒エンジン「VG型」を開発した日産ではあったが、伝統的な直列6気筒にも可能性があると判断したのだ。

同じく1980年代の初めに、L型ユニットの基本設計をベースに開発がスタート。4バルブのオーバーヘッド・ツインカム(DOHC)を採用したRB20DETエンジンは、R31型スカイラインに搭載され、直後にフェアレディZでも選べるようになった。

RB型にはオーバースペックといえる技術が投じられており、1989年のR32型スカイライン GT-RではツインターボのRB26DETTへ進化。チューニング次第で大幅なパワーアップも難しくなく、現在に続く日本車人気の原点を作ったユニットといえる。

Z31型フェアレディZに積まれた2.0L版でも、同じ排気量のVG20型V6ターボに勝る180psの最高出力を実現。また一部の装備が簡略化されたことも手伝って、VG30型エンジンを積んだ300ZX比で、約170kgも車重が抑えられていた。

その結果、2.0L直6ターボ仕様はZ31型で最も安価でありながら、走りは鋭敏だった。スポーティなことを示すべく、日産は200ZXではなく、200ZRというグレード名を与えている。ところが、惜しまれることに欧州市場では提供されなかった。

ギャランΣをベースとしたスタリオン

他方の三菱は、3000GT、GTOの祖先といえるスポーツクーペ、スタリオンで一定の成功を海外で掴んだ。初期型が発売されたのは、200ZRが登場する3年前の1982年。179psを発揮する、直列4気筒2.0Lターボエンジンがラインナップされていた。

日産とは異なり、スタリオンのG63B型シリウス・ユニットは名機とまでの評価は得ていない。シングル・オーバーヘッドカム(SOHC)の2バルブ・ヘッドを載せ、目立った特徴は備わっていなかった。

しかし、このG63B型ユニットは後に改良が加えられ、4G63型へアップデート。ギャランVR-4やランサー・エボリューションへ搭載され、名機として広く認知されるようになっている。

スタリオンのプラットフォームは、1980年に登場したギャランΣ(サッポロ)の進化版。日本車最速という肩書きを背負い、英国の三菱ディーラーにも並んだ。英国へやって来た珍しいフェアレディZを堪能するにあたり、比較相手としては好適といえる。

200ZRのステアリングホイールを握ってみると、RB20DETユニットのスムーズさに唸らされる。比較的小さなシリンダーが直線上に6本並び、喜んで回ろうとする。アクセルペダルの操作に対し、意欲的に反応する。

直列6気筒らしい、ドライで甲高い排気音が心地いい。右足の力を緩めると、余分なガソリンがザラツイたノイズを放ちながら燃える。

スタリオンより最大トルクは低く、発生回転域も高めだが、200ZRの方がエネルギッシュ。日産はブースト圧を低くし、圧縮比を高め、柔軟性も重視されている。

この続きは後編にて。

こんな記事も読まれています

シエンタ大ヒットのヒントはファンカーゴにあった!! 2列グレード「ファンベース」は令和のミニバンの答えが詰まっていた!!
シエンタ大ヒットのヒントはファンカーゴにあった!! 2列グレード「ファンベース」は令和のミニバンの答えが詰まっていた!!
ベストカーWeb
イデミツ/エネオス/トヨタ/三菱重工業の4社がCN燃料導入と普及に向けた検討を開始
イデミツ/エネオス/トヨタ/三菱重工業の4社がCN燃料導入と普及に向けた検討を開始
AUTOSPORT web
5分でフル充電が可能に?! 電気自動車の充電時間を格段に減らしたまさかの方法がヤバすぎる!
5分でフル充電が可能に?! 電気自動車の充電時間を格段に減らしたまさかの方法がヤバすぎる!
ベストカーWeb
キャンパーたちのアウトドア系愛車スナップ #6 【トヨタ ハイラックス】
キャンパーたちのアウトドア系愛車スナップ #6 【トヨタ ハイラックス】
グーネット
KTC×エヒメマシン 限定コラボツールチェストに鮮やかなブルーの新色が登場!
KTC×エヒメマシン 限定コラボツールチェストに鮮やかなブルーの新色が登場!
グーネット
ベントレー正規輸入60周年!コーンズが3モデル18台の特別限定車を発表
ベントレー正規輸入60周年!コーンズが3モデル18台の特別限定車を発表
グーネット
優れた配光設計で視認性ヨシ!6500K純白色「LEDヘッドバルブ・ヘッド&フォグ」コメリ
優れた配光設計で視認性ヨシ!6500K純白色「LEDヘッドバルブ・ヘッド&フォグ」コメリ
グーネット
もしもの時はスマホにお知らせ!子どもの車内置き去り防止デバイス新発売 KEIYO
もしもの時はスマホにお知らせ!子どもの車内置き去り防止デバイス新発売 KEIYO
グーネット
手軽にホイールのドレスアップ!「リムブレード・オリジナル」新発売【動画あり】
手軽にホイールのドレスアップ!「リムブレード・オリジナル」新発売【動画あり】
グーネット
スバル クロストレック&インプレッサ 「2023ファイブスター大賞」受賞!安全性能が高評価
スバル クロストレック&インプレッサ 「2023ファイブスター大賞」受賞!安全性能が高評価
グーネット
カブト、システムヘルメット『RYUKI』に新色“フラットコヨーテ”を追加。2024年5月下旬に発売
カブト、システムヘルメット『RYUKI』に新色“フラットコヨーテ”を追加。2024年5月下旬に発売
AUTOSPORT web
お腹の大きい妊婦さんはどうするの? シートベルトのルールを再確認
お腹の大きい妊婦さんはどうするの? シートベルトのルールを再確認
ベストカーWeb
ガスリー、今季初入賞もオコンの接触に失望「チームの指示に背く行為」アルピーヌ代表も激怒/F1モナコGP
ガスリー、今季初入賞もオコンの接触に失望「チームの指示に背く行為」アルピーヌ代表も激怒/F1モナコGP
AUTOSPORT web
一生モノのステアリングは「ナルディ」と「モモ」! ロングセラー製品の愛される理由とは?「パーソナル」や「イタルボランテ」はどうなった?
一生モノのステアリングは「ナルディ」と「モモ」! ロングセラー製品の愛される理由とは?「パーソナル」や「イタルボランテ」はどうなった?
Auto Messe Web
アルファロメオ、主力『ジュリア/ステルヴィオ』に設定の限定車“スーペル・スポルト”の予約受付を開始
アルファロメオ、主力『ジュリア/ステルヴィオ』に設定の限定車“スーペル・スポルト”の予約受付を開始
AUTOSPORT web
スバル・トヨタ・マツダ「仲良くケンカ」 新エンジン開発で3社“共創/競争”宣言【動画あり】
スバル・トヨタ・マツダ「仲良くケンカ」 新エンジン開発で3社“共創/競争”宣言【動画あり】
グーネット
アルボン9位、ウイリアムズ今季初入賞を喜ぶも「角田の後ろでつらいレースだった」/F1モナコGP
アルボン9位、ウイリアムズ今季初入賞を喜ぶも「角田の後ろでつらいレースだった」/F1モナコGP
AUTOSPORT web
「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラスへ試乗 3L直6ディーゼルがベストフィット
「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラスへ試乗 3L直6ディーゼルがベストフィット
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

10件
  • Z31を優雅に乗るのがカッコいいかも
  • スタリオンはインジェクター1本しかないエンジンやで!
    シングルポイントインジェクターや!
    だからあんなフケが遅いエンジンになるんやろな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村