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【501psのPHEV版も】リンカーン・アビエイター・ブラックレーベルに試乗

掲載 更新
【501psのPHEV版も】リンカーン・アビエイター・ブラックレーベルに試乗

2005年以来のアビエイター復活

text:Tom Morgan(トム・モーガン)

【画像】新アビエイターとライバル 全109枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フォードの高級ブランドから送り出されたSUVには、どこかリラックスした雰囲気が漂っていた。リンカーンのSUVとして、2005年以来の「アビエイター」という名前が復活。フォード・エクスプローラーの高級バージョンという位置づけになる。

内面的には多くの共通点を持つものの、アビエイターにはエクスプローラーとはかなり異なるボディデザインが与えられている。価格は欧州や日本の自動車ブランドによるライバルへ、照準が合わせられている。

ボディサイズは、同じリンカーンのナビゲーターよりは一回り小さいとはいえ、アビエイターは大きい。全長は5mより長く、全幅も2mを超え、3列シートが標準装備だ。

すべてのグレードに3.0L V6ツインターボ・ガソリンエンジン「エコブースト」が縦置きで搭載され、最高出力は405ps。トランスミッションは10速ATが採用される。

駆動方式は後輪駆動が標準。今回試乗する上級志向のブラックレーベルの場合、4輪駆動となっている。トップグレードとしてプラグイン・ハイブリッドモデルが位置し、システム総合での最高出力は501psに達する。ただし、車重は2573kgとかなり重い。

このブラックレーベルを含め、通常のツインターボ・ガソリンの4輪駆動モデルの車重は2218kgと、まだ穏やかな方ではある。早速、走り出してみよう。

先代レンジローバー風の落ち着いた雰囲気

新しいリンカーン・アビエイターには、どこか先代のレンジローバーのような落ち着きがある。走行性能自体は充分に高い。高級ハイパフォーマンスSUVの場合、スポーツカー並の加速力を持つモデルが一般的になりつつあるが、アビエイターの場合は快適性を優先させている。

3.0L V6ツインターボは低回転域から力強く、クルージング時はほとんどエンジンノイズを聞かせることもない。反面、その気になればかなり積極的に吹け上がり、V6エンジンらしい心地よいサウンドを響かせてくれる。

10速ATはフォード製の大型モデルに搭載されているものと共通で、ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発されたトランスミッション。穏やかに走らせている限り非常に上質で、ほとんど気づかないうちに変速は終了している。

力強い加速を求めた時には、10段もあるギアのどれを使おうか悩む場面があり、明確に変速の待ち時間が生じる。ステアリングホイールの後ろにシフトパドルが付いているから、ドライバーが変速を促すことも可能。シフトノブは一般的なものではなく、ダッシュボード上に配されたボタンタイプとなる。

エントリーグレードのサスペンションは、通常のスチール製スプリングに固定式ダンパーの組み合わせ。4輪駆動の場合、アクテイブ・ダンパーにアップグレードされる。

試乗車にはダイナミック・ハンドリングパッケージが装備されていた。車高調整可能なエアサスペンションと、カメラでスキャニングした路面情報に基づいてダンパーの減衰力を変化させる機能が付く。

幸せを感じるほどに堂々と高速で走る

この組み合わせは、路面の凹凸の処理には適している様子。反面、スプリングは柔らかく、アクティブ・アンチロールバーが備わらないから、明確なボディロールは許してしまう。加減速時にはフロントの上下動も小さくない。ただし、ゆらゆらと落ち着きがないわけではない。

シャシーは力強い加速も得意科目といえる。グリップレベルは控え目ながら、アビエイターは充分なペースを保って歩みを進めていく。堂々とハイペースで走る振る舞いには、幸福感すら漂う。

インテリアは広々としており、大部分で仕上りも上質。デザインとしては、このクラスのライバルと比べるとどこか前世代的な部分がある。エアコンの操作ノブは金属製のノブとピアノブラックのボタンで操作する。

インターフェイスはシンプルで使い勝手は良いとはいえ、インフォテインメント用モニターのサイズは10.1インチ。同じクラスのSUVの中では大きい方ではない。

上級グレードには30モードの位置調整が可能な、パーフェクト・ポジションシートを採用。座面も部位によって細かく高さが変えられるオプションもある。きっと自分の身体にピッタリのシートへ調整できるのだろうけれど、調整項目が多すぎて、試乗時間では足りなかった。

インテリアに用いられている素材は全般的に高級感があるが、硬質なプラスティックも散見される。2列目シートのベース部分などは顕著だ。

価格は欧州プレミアム・ライバルに並ぶ

車内空間は充分に広いものの、3列目はあくまでも短距離移動用。少々窮屈だし、シートの肉厚も前方2列と比べると遥かに薄い。

リンカーン・アビエイターは北米から輸出もされるが、欧州や日本への正式導入は今のところ予定にない。ベースとなるフォード・エクスプローラーを含めて、右ハンドル市場への導入は見送られているのが現状。

北米でのアビエイターの課題は、価格だろう。ベーシックグレードの後輪駆動モデルの場合、5万2195ドル(563万円)。4輪駆動のブラックレーベルが8万1790ドル(883万円)で、PHEV版になると8万8895ドル(960万円)にもなってしまう。さらにダイナミック・ハンドリングパッケージを付ければ、3000ドル(33万円)が上乗せだ。

この価格は、BMW X5やメルセデス・ベンツGLE、レンジローバー・スポーツ、ポルシェ・カイエンなどと直接競合するほどに高い。リンカーン・アビエイターは好印象だが、ライバルより優れているのか? とは聞かないで欲しい。

リンカーン・アビエイター・ブラックレーベルのスペック

価格:5万2195ドル(563万円)
全長:5062mm
全幅:2022mm
全高:1768mm
最高速度:-
0-100km/h加速:6.0秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:2218kg
パワートレイン:V型6気筒2998ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:405ps/6000rpm
最大トルク:57.2kg-m/2000rpm
ギアボックス:10速オートマティック

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