ゲームチェンジャーとして輝かしい6台
いまから75年前の人々も、前進あるのみだった。第二次大戦が集結し、多くの着想や技術が解き放たれ、新時代を切り拓く準備は整っていた。戦後の自動車産業は、大きな成長が約束されていたといっていい。
【画像】1948年のゲームチェンジャー シトロエン2CVとフェラーリ166 ルノ−4とディーノほか 全110枚
各国のメーカーが準備を整えた1948年、モーターショーが華々しくリスタート。次々に発表される新しいクルマへ、多くの人が目を輝かせた。
ロンドンでは、市民の足といえるモーリス・マイナーと、スポーツカーのジャガーXK120がお披露目。パリではシトロエン2CVが、アムステルダムではランドローバー・シリーズ1のオリジナルが、期待を膨らませた。
戦いに敗れたイタリアからはフェラーリ166が、ドイツからはポルシェ356が姿を表した。概念を覆すようなニューモデルたちは、その後の技術者やデザイナーへ大きな影響を与えることになった。
今回、英国編集部では1948年から75年が経過した節目を記念し、ゲームチェンジャーとして輝かしい6台をグッドウッド・サーキットに揃えてみた。改めて、いずれも偉大なモデルだと実感するばかりだ。
柔軟なサスペンションが特徴のシトロエン2CV
禁欲的という言葉は、楽しさと結びつきにくい。しかし、必要なものをストイックに追求したシトロエン2CVは、1948年に誕生した楽しさ溢れる乗用車だった。特に最初期のリップル・ボンネットなら、純粋にその魅力を味わえる。
9psを発揮する2気筒エンジンを搭載した2CVは、1948年に戦後の新しいシトロエンとしてデビューした。だが、開発は戦前からスタートしていた。TPVと呼ばれる小型車として、最初のプロトタイプは1937年に作られている。
エンジンは水冷式から空冷式へ、ボディはアルミニウムからスチールへ変更を受けていたが、モダンなデザインのお陰で、第二次大戦を経ても古びて見えることはなかった。当時のシトロエンと共有する部品は、1つもなかった。
マスコミは冷ややかに2CVを報道したが、市民の反応は熱かった。シトロエンには、対応しきれないほどの注文が集まったという。当時のフランスでは、安価な移動手段が切望されていた。戦前のクルマは戦いで破壊され、馬車が市街地を走っていたのだ。
2CVのことは、クルマ好きならある程度はご存知だろう。農民の移動手段として畑でも走れ、壊滅的な被害を受けた道路網にも対応できる、柔軟なサスペンションが特徴の1つだ。
価格と維持費の安さも重視されていた。それでも、素朴な喜びが満ちている。ドアを固定するのは、開口部へ引っかかる簡素なスライドバー。デッキチェア風にパイプで組まれたシートには、伸縮性のあるクロスの上に薄いクッションが敷かれている。
徹底的に合理的でありながら天才的
空冷2気筒エンジンの排気量は、たった375cc。作りは単純で、技術があれば数時間でリビルドすることができた。燃費も市街地では良好だった。
洗練性と無縁というわけではない。前後に相互接続された、ストロークの長いサスペンションはよく考えられている。しなやかに路面をいなし、サルーンのように優しい乗り心地を提供した。
薄い鉄板がプレスされたボディは隙間が大きく、ガタツキもゼロではない。凹凸を超えるとドアが音を立て、エンジンも正直うるさい。しかし、現代のコンパクトカーが揺れを抑えきれない市街地の路面を、2CVは滑らかに進んだ。
潤滑オイルを各部に吹き付ければ、印象は改善できる。パイプ内にコイルスプリングが組まれたサスペンションは、複雑な油圧ポンプと長いパイプで構成される、ハイドロニューマチックより遥かに堅牢。無頓着なオーナーでも、不具合には見舞われにくい。
フロントブレーキはドライブシャフトの内側にあるインボード・レイアウト。スポーツ走行を意識したものではなかったが、バネ下重量を抑えられ乗り心地にはプラスに働く。
フロントガラスの付け根部分には、幅の広いベンチレーション・フラップが備わる。夏場には涼しい外気を導入できる、天然のエアコンだ。徹底的に合理的でありながら、天才的でもある。
贅沢さとは無縁でも、技術者のアイデアは潤沢。優れた設計で、ドライビング体験を向上させていた。
コツが必要な遠心クラッチとシフトレバー
今回ご登場願った2CVは、アラン・ロイド氏がオーナーの1957年式。経年劣化したボディの風合いが見事だが、AZLPと呼ばれる快適性を高めた仕様だ。エンジンは425ccに拡大され、最高出力は12psへ向上している。
アランの2CVには、クラッチペダルを踏まずとも発進できる、トラフィッククラッチと呼ばれる遠心クラッチをトランスミッションに備える。実際に操作してみると、確かに機能するものの、低速域での変速との相性は良くない。
クラッチを繋ぐにはエンジンの回転数を上げる必要があり、微妙な速度変化に対応しにくい。アクセルペダルを充分に倒さないと、ギクシャクとした動きになる。
ブレーキはアシストの付かないドラム。車重が軽く、制動力は充分ある。ペダルには不満のない感覚が伴う。
ステアリングは、ラック・アンド・ピニオン式の原形で適度に正確。手のひらへ伝わる感触も多い。柔らかいサスペンションが大きなボディロールを生むが、コーナーが楽しい。
この頃のフランス車らしく、シフトレバーを動かすには少しコツが必要。変速時にはクラッチペダルを踏む必要があり、安定してキビキビと変速するには練習が求められる。
フランスの景色の象徴になった
1950年代後半に、シトロエンは2CVの生産体制を増強。医師や商人など、国内での移動を必至とする職業の人へ提供を限定する必要はなくなった。
発表以降、42年というシトロエン最長の生産期間を達成した2CVは、フランスの自動車のアイコンになっただけでなく、カタツムリのような見た目で、フランスの景色の象徴にもなった。ルノー4の方が、生産数では多かったとしても。
市民のクルマとしての哲学を具現化したら、素晴らしい喜びを享受できるに至った2CV。アバンギャルドなフレンチ・デザインを体現するものとして、これほど特徴的なプロダクトは存在しないだろう。
シトロエン2CV(1948~1990年/欧州仕様)のスペック
英国価格:536ポンド(新車時)/2万ポンド(約310万円)以下(現在)
生産台数:516万3893台(2CV総計)
全長:3830mm
全幅:1480mm
全高:1600mm
最高速度:66km/h
0-97km/h加速:−秒
燃費:19.5km/L
CO2排出量:−
車両重量:510kg
パワートレイン:水平対向2気筒375cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:9ps/3500rpm
最大トルク:1.9kg-m/2000rpm
ギアボックス:4速マニュアル
この続きは(2)にて。
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みんなのコメント
「何だこれは?」「妙ちくりんな缶詰だ、誰か缶切り持ってきてくれ」
が、使い勝手に特化してデザインされた2CVはすぐに認められ、今で言う軽ハイトワゴンのように受け入れられた。