「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン up! 4ドアだ。
フォルクスワーゲン up! 4ドア(2012年:ニューモデル)
今年度(編集部註:2011-2012年)のワールドCOTYを受賞したup!だが、日本仕様の本命とされる4ドア版が登場。2ドアの海外試乗記は以前に紹介したが、日本導入を前に、本国ドイツで4ドアを試乗する機会を得た。サイズやエンジン、グレードなどは2ドア版とまったく変わらない。日本導入が、ますます楽しみになってきた。
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up!は2ドア車がドイツ国内では発売されはじめたが、日本には4ドアがやってくる予定だ。2ドアとの違いは、サイドビュー。リアサイドドアが設けられたことで、サイドウインドーの形状が大きくなった。そのせいか、スタイリングのバランスは2ドアよりも良い。
走り出す前に、まずリアシートに乗り込んでみる。ドアはダイハツの軽自動車のように開口角度が大きく乗り降りしやすい。シートはクッションが硬めで、座面はちょっと短めだが、足元、頭上とも広い。試乗会場にいた身長175cmのオネエサンに座ってもらったが、ふつうに座れた。気になったのは、リアサイドドアのウインドーが前ヒンジでしか開かないこと。実際に使うかどうかはわからないが、開放感には欠ける。
フロントシートに移り、ハンドルを握る。エンジンは新開発の3気筒1L。最高出力は60ps仕様と75ps仕様が用意されているが、日本仕様は75psだけになる。トランスミッションはクラッチペダルレスの5速セミATが組み合わされる。
気になる点もあるけれど2ドアより使えそうだ
Dレンジにシフトする。MTがベースなのでクリープはない。アクセルペダルを踏み込み、スタート。1500rpmからでもエンジンはアクセルの動きに反応する。軽快に走るのは2000rpmからで、トルクも太くなる。そのままアクセルを踏み込むと6500rpmまで上昇する。3000rpm以下なら耳障りな音は室内に侵入しない。乗り心地はやや硬め。目地などの乗り越えでは少し突き上げがある。
試乗時に渋滞もあったおかげで日本的な運転も体験できた。Dレンジでの加速はシフトアップ時の空走ラグがやや大きい。フォルクスワーゲンのDSG(DCT)のスムーズさを知っていると、そのフィーリングはいまひとつと感じられた。日本導入までに更なる進化を期待したいところだ。
空いた道ではマニュアルモードを多用してみた。5000rpmまで各ギアで引っ張ると、1速で40、2速で65、3速で100km/hに達する。100km/h巡航はDレンジ5速で、2700rpm。速い流れのアウトバーンでは、160km/hでの巡航もできた。高速での安定感、室内の快適性に不満はなかった。
気になる燃費は車載の燃費計で、12~18km/L。燃費を気にしないテスト走行だったことを考慮すると、日本では20km/Lをマークすることも可能だろう。このup!4ドアの日本導入は、今秋(編集部註:2012年秋)を予定している。車両価格はドイツ本国で、ベースモデルで約100万円。装備を充実させた状態での日本仕様が170万円前後なら、ポロを上回るヒット車になりそうだ。
(編集部註:up!の日本仕様は2012年10月に4ドアが168万円からの車両価格で発売されました)
フォルクスワーゲン ムーブ up!(日本仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3545×1650×1495mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:920kg
●エンジン:直3 DOHC
●総排気量:999cc
●最高出力:55kW(75ps)/6200rpm
●最大トルク:95Nm(9.7kgm)/0-4300rpm
●トランスミッション:5速セミAT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・35L
●JC08モード燃費:23.1km/L
●タイヤサイズ:165/70R14
●当時の車両価格(税込):168万円
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