今後のプロダクトポートフォリオに対して大きく舵を切る
イギリスのノーフォークに活動の拠点を置くロータス。その歴史は1952年にまでさかのぼることが可能だが(実際にはこの年の1月1日にロンドンで設立されたのは、ロータス・エンジニアリング社であったのだが)、それから1996年にはマレーシアのプロトンの子会社に、また2017年には中国の浙江吉利控股集団の傘下に収まるなど、その経営体制はこれまで何回か変化している。
【画像】ロータスに新時代到来!BEVの『エメヤ』と『エレトレ』 全105枚
それはロータスというブランドから生み出されるプロダクトに関してもまた同様だ。かつてのロータスといえば、ライトウエイトスポーツがその象徴的な存在であり、コンパクトで独特なデザインのボディとシンプルな設計で(決して時代遅れの、という意味ではない)、究極的なドライビングファンを提供してくれたモデルだった。それは現在でも2L直列4気筒、もしくは3.5LのV型6気筒の両エンジンを搭載する『エミーラ』によって受け継がれる。
だがその一方で、ロータスは今後のプロダクトポートフォリオに対して大きく舵を切ってきた。これまでの設計思想とは大きく方向性が異なるとさえ思わせる、同時に古くからのロータス・ファンに、その存在はどのように映るのかにさえ一抹の不安を覚えるBEVのニューモデルがそれだ。
今回はロータス自身が『4ドアのハイパーGT』と称する『エメヤ』、そしてよりスポーティな雰囲気が醸し出されている『スーパーSUV』の『エレトレ』の両車に試乗した。まずはエメヤからレポートを始めることにしよう。
第一印象は、やはり大きさを意識させる
モーターショーの会場では、既に何回もその姿を見ていたエメヤだが、都内の駐車場で見たその第一印象は、やはり大きさを意識させられるものだった。参考までにエメヤのスリーサイズは、エレクトリックリバースミラーディスプレイを含んだ数字で、全長5139mm、全幅2123mm、全高1459mm。ホイールベースは3069mmにも達するから、もはや過去のロータス車のイメージはない。
デザインはきわめて未来的なフィニッシュでまとめられている。デュアルで備わるL字型のヘッドランプやフェンダーラインから滑らかな曲線でテールに連続するウエストラインの造形。そして外観からもキャビンの広さを感じさせる、フローティング風デザインのルーフ(試乗車には透過率可変機構を持つグラスルーフも装備されていた)など、美しさと斬新さが共存するのは第一の魅力だ。
アクティブフロントグリルやリアのアクティブウイング、あるいはデフューザーなどの装備で、エアロダイナミクスを最適化していることも、さすがはロータスの作である。高速域での安定感は高く、当然のことながらノイズの処理も巧みにそれが行われている。ちなみにこのエメヤが実現したCd値は0.21となっている。
操作性はまずは合格レベル
キャビンのスペースは、ホイールベースの数字からも予想できるように、後席まわりでも十分な余裕がある。インパネには巨大な液晶画面が装備され、ドライバーはほとんどの操作をこの画面から行うことになるが、操作性はまずは合格レベルといったところ。シートはそもそもホールド感に優れるが、スポーツなどのドライビングモードを選択すると、同時にランバーサポートがさらに強く両脇をホールドし、いわゆるマン・マシンの一体感をより強めてくれる。
前後に2基のエレクトリックモーターを搭載し、システム全体では905psの最高出力と985Nmの最大トルクを発揮する、エメヤのパワーユニット。それが負担する車重は2500kg前後であるから(装備によって若干の違いがある)、パワーウエイトレシオを考えても、その走りがいかに魅力的なものであるのかは、容易に想像できるだろう。
実際にストップ&ゴーを繰り返してみても、その客観的な速さ(0→100km/h加速で2.8秒を記録する)は十分にそれを体験することができた。一方で気になったのは、いわゆる4WD車としての加速時の落ち着きで、905psというパワーをマナー良く効率的に路面に放出しきれていない印象も拭えなかった。
高級GTというキャッチフレーズに似合わないタイヤ
試乗車には22インチ径のミシュラン製パイロット・スポーツEVタイヤが装着されていたが、このタイヤが演出する乗り心地も、やや高級GTというキャッチフレーズには似合わないような気がした。ロードノイズは、そもそものエメヤの遮音性に加えて、ノイズキャンセリングシステムの恩恵で、実に快適なレベルにまで軽減されているのだが、特に低速域では乗り心地にこのタイヤの特性が与える影響は大きい。コンフォートの走行モードを選ぶ時間の多いユーザーには、この乗り心地はやや気になるところではないか。
いくつかのコーナリングを楽しんでいるうちに、自分が今ドライブしているのは紛れもなきロータスの最新モデルなのだという意識が生まれてきたことに驚かされた。BEVの魅力ともいえる重心の低さに加えて、クイックで正確なステアリング、そしてナチュラルな印象を崩すことのないサスペンションのチューニング。かつてロータスの創始者であるコーリン・チャップマンは、4ドアGTの生産にも深い興味を示していたというが、その夢はBEVの時代を迎えてようやく実現するに至ったのである。
(つづく)
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