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【試乗】ポルシェ 911ターボSカブリオレとアルピーヌ A110S。夢が膨らめば人生すら変わるはず

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【試乗】ポルシェ 911ターボSカブリオレとアルピーヌ A110S。夢が膨らめば人生すら変わるはず

自分の針路は自分で決める。そう考えていても、ためらうことはあるだろう。しかし、巡ってきたチャンスをつかむためには自らの意思で決断することが重要だ。興味を覚えたなら、手を伸ばしてみる。自分の気持ちに素直になってみてはどうだろう。ここではポルシェ 911ターボSカブリオレとアルピーヌ A110Sの試乗を行った。(Motor Magazine2021年4月号より)

911カブリオレとA110S、こだわりのスポーツモデル2台に試乗
いま、乗ってみたい気になるクルマたち-それは、まさに人によって千差万別だろう。ものごころがついて以来「いつかは乗ってみたい」と特定のモデルに対する熱い想いが常に脳裏から離れないという人は、きっと少なくない。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

一方で、新車が出るたびに候補が入れ替わる「恋多き人」も多いだろう。気になるクルマというのは人により、そして場合によってはそのタイミングによっても、大きく変化するものなのだ。

これに乗ることができたなら、きっと人生が変わるはず。あるいは、こんな相棒と毎日過ごせるならば、住む場所すら変えたくなりそう・・・と、そんな夢を膨らませてくれるクルマたちは、たとえ「CASE」の時代になったとしても、やはり自身で所有し、常に手元で維持していたいものであるに違いない。

必要な時にだけ借りられればいい、スタイルやカラーにはこだわらない、といった実用本位の道具としての、いわゆるシェアカーのような存在とは対極に位置するのが、ここで言う「気になるクルマ」ということになるはずだ。というわけで、今回試乗した2台というのは、そうしたこだわりの観点からも「賛同の声を受けられること請け合い」と想定できるモデルたちである。

ひとつは、世界一級のピュアスポーツカー群の中にあっても、歴史の長さと走りの実力の高さから必ずその名が筆頭に挙げられるポルシェ911の、シリーズ中でも特別に高いブランド力が確立された「ターボ」という存在。もう一方は、ポルシェ911の場合と同様に歴史あるネーミングを語りながらも、内容的には実は「すべてが新しい」と言える新世代スポーツカーであるアルピーヌの「A110」である。加えて今回、用意されたのはどちらも「S」という記号が付加された、いずれもスポーツ性にさらなる磨きがかけられたプレミアムバージョンだ。

常に世の中を先導する高い商品性を備えたポルシェ 911
しかもその911は、オープンエアモータリングを堪能できるという付加価値までもが上乗せされた「ターボSのカブリオレ版」なる、911シリーズの頂点に立つモデルでもあった。

1964年に初代モデルが誕生して以来、半世紀を超える時を生き抜いてきたポルシェ911。「継続は力なり」という言葉にも示されるように、そうした特筆すべき歴史の長さもさることながら、このモデルの場合とくに見逃せないのは、常に刷新の手を緩めずに、いつでも「最新のスポーツカー」として世の中を先導できる走りの実力と、高い商品性をキープし続けて来た点である。

趣味性が強い、というキャラクターゆえに多くの販売台数を維持し続けることが難しく、ともすればリファインの手が緩みがちにされてしまうのが世のスポーツカーが直面する課題。それにもかかわらず、名だたるモーターショーのたびに新たなトピックスを備えたニューバージョンが提案され、だからこそ常に「羨望の最新スポーツカー」としての立ち位置をキープし続けてきたのが、この911というモデルであるのだ。

だからこそ固有のブランド力の構築に成功し、多くの人にとっての「気になるクルマ」になることができたのだと、911の場合はそのように受け取れる。

ボディ後端の低い位置にエンジンをマウントすることに起因する独特の「猫背」プロポーションに加えて、フロントフェンダー前端の高い位置にヘッドライトを置くことによる、世代をまたいでも変わらない表情。

その一方で、カブリオレとタルガという複数のオープンエアボディの設定や、一度は消滅しながら後に復活したGT3系へのMT仕様設定など、顧客の声を敏感に反映させる。こうした「変わる部分」と「変わらない部分」が巧みにバランスされているのも実は911ならではの特徴だ。

650psというとてつもないパワーを発するパワートレーンをフルオープンの、それも4WDシャシに組み合わせたターボSカブリオレは、言うなれば911シリーズの中にあっても「全部載せ」と言える内容の持ち主である。RRレイアウトをベースに4WD化されたシャシが実現しているトラクション能力はまさに比類なく高い水準にあり、アクセルペダルを深く踏み込むと、比喩ではなく実際に「ステアリングが軽くなる」ことを実感させられる。

その、まるでウイリーするかの如く加速していく様子には、常人であれば恐怖感から、ほんの1秒たりともアクセル全開状態をキープすることは難しいはずだ。こうした「常識外れ」とも言える印象は際立つボディ剛性感についても同様で、ルーフを閉じているとフルオープン構造の持ち主であることをつい忘れてしまう。

またスイッチひとつで展開と収納を自在に行えるウインドディフレクターも、その機能は完璧過ぎるほど。これを展開してすべてのサイドウインドウを上げておけば、高速道路を走行していても風の巻き込みが気にならないのだ。

ちなみに、リアエンジン車は直進性に劣るなどというフレーズはもはや「都市伝説」である。ことほどさように、どこをとっても一点の突っ込みどころも見せない鉄壁の構えを備えているのが最新の911ターボSカブリオレというモデルの実力なのだ。

そんなパーフェクトな仕上がりを備えたモデルが、多くの人にとって「一度は乗ってみたい気になるクルマ」であることには、すんなり過ぎるほどにすんなりと納得がいく。むしろ、現代の自動車技術の集大成とも言えるようなこうしたモデルを、「乗ってみたいと思わない」「気にならない」という人がいるとしたら、そうした意見を持つ方にこそお目にかかってみたいものだ。

由緒正しきブランドで同名を頂く新型アルピーヌ A110
一方で、あまりに完璧すぎる内容の持ち主であるからこそ毎日の相棒としては付き合いづらい、という気持ちはわからないでもない。そうした観点からすると、同じピュアなスポーツカーでも性能面でもサイズ面でも価格面でもグンと身の丈感が強く、しかし独自性や個性という点では911に勝るとも劣らないと思えるのが、アルピーヌA110という「新参スポーツカー」でもある。

アルピーヌという由緒あるブランドから2017年に突如誕生したA110の出自については、もうここで繰り返す必要はないだろう。そうした中でもひとつ確認しておきたいのは、1960年代に生み出された同名モデルとは「そのモチーフがスタイリングに生かされているものの、エンジニアリング上の関連性はない」ということである。

なぜならば、往年のモデルが「鋼管バッグボーンシャシにFRP製のボディを被せたRRレイアウトの持ち主」であったのに対して、現行型は「アルミ製ボディのシート背後にパワーパックをマウントしたミッドシップ2シーター」である。もはや、同じなのは名前だけだと言われても、反論する余地はないのである。

しかしながらそんな現行型を走らせてみると、これがなんともすこぶる楽しいのは事実。なにしろ、4.2mの全長にして1.8mの全幅というのが日本ではまさにジャストサイズ。走り始める前、ドライバーズシートへと乗り込んだ段階で「クルマの1ピース」になれたかのような、いわゆる「着る感じ」が、すでに最近のスポーツカーではなかなか味わうことのできない感涙ものの体験なのである。

見た目を裏切らない動きが生み出す感動的な体験
アクセルペダルにわずかに力を加え、動き始めた瞬間に思わず「軽っ!」と声を上げたくなる感覚も、まさに見た目を裏切らないもの。乗り込んでわずかに動き出した段階から「乗ってみたい気になる」という期待値を上回る仕上がりを実感させてくれるのが、A110である、ということなのだ。

一方で、そんな感動的な刹那を体験した後に「あぁ、それでもやっぱりな・・・」という感想を抱きかねないのも、このモデルである。それは今回の取材車がA110Sだったからという要因はもちろん大きいのだが、サスペンションは容赦なくハード。人によっては毎日の街乗りで悲鳴を上げることになる可能性を否定できない。

また、2シーターだからとふたりで乗り込むとキャビン内は、もはやちょっとした手荷物を置く場所にも難儀するし、潔くタイトなトランクスペースにも「これでは付き合えないな・・・」と諦めの気持ちを告白する人も現れそうだ。

しかし、もし複数台数の所有が可能で、そうした実用面でのハードルをクリアできることになるならば、そんな人に対しては「あなたの審美眼には、一切間違いがなかった!」と伝えたくなるのもこのモデルだ。

世の中が「ピュアEVだプラグインハイブリッドだ」と喧しい中で、この先一体、どこに行ったら良いのかと自身の進路を見失いがちになる人もいるだろう。だが、そんな人にこそ「今こそが<気になるモデル>を手に入れる、大いなるチャンス!」と、声を大にして伝えたくもなるのである。(文:河村康彦/写真:永元秀和)

ポルシェ 911ターボS カブリオレ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4535×1900×1301mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1785kg(EU準拠)
●エンジン:対6 DOHCツインターボ
●総排気量:3745cc
●最高出力:478kW(650ps)/6750rpm
●最大トルク:800Nm/2500-4000rpm
●トランスミッション:8速DCT(PDK)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・67L
●燃費:8.8km/L(EU準拠)
●タイヤサイズ:前255/35R20、後315/30R21
●車両価格(税込):3180万円

アルピーヌ A110S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:1110kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:218kW(292ps)/6420rpm
●最大トルク:320Nm/2000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・45L
●WLTC燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:前215/40R18、後245/40R18
●車両価格(税込):864万円

[ アルバム : 911 ターボS カブリオレとA110S はオリジナルサイトでご覧ください ]

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