サンフランシスコで幸せな日々を送るBNR32
GT-Rオーナーであり写真家のアレキサンダー・キューレテム氏が母国ドイツだけでなく世界中を巡り、各国のGT-Rオーナーをファインダーに収めてきた。彼が自費出版した写真集「GT-RTHEJOURNEY」は、世界中のGT-Rオーナーの熱い思いが込められている。今回はアメリカ・サンフランシスコ在住、タイラー・ナルドーネさんについて紹介していきたい。
ドバイの「GT-R」マニアがR34を左ハンドル化! 情熱が凄すぎる
走り去る丸テールと独特のサウンドに魅了される
サンフランシスコで生まれ育ったタイラーさん。GT-Rの存在を知ったのは、写真家アレックス氏同様、やはりゲームでのプレイからだったという。また、タイラーさんたちの世代にとって、やはり映画「ファスト&フュリアス(邦題ワイルドスピード)」の影響は小さくない。劇中で故ポール・ウォーカーの乗るR34GT-Rの存在感は、いまだに海外のGT-Rファンの数を大きく増やすことにつながっているようだ。自らもR34オーナーだったポール・ウォーカーにとっても喜ばしいことだったに違いない。
その後、タイラーさんが実物のGT-Rに遭遇したのは2012年頃のこと。ベイエリア(サンフランシスコおよびその近郊)を走っていた時、ルームミラーに映るR32に気付いた。そのR32は彼を追い抜き、特徴的なテールランプを見せながら、RB26DETTエンジン独特のサウンドと共に走り去った。この出会いのシーンは彼にとって、今でもはっきりと思い出せるほどインパクトがあった瞬間だったようだ。
実際に手に入れてわかったGT-Rの「特別感」
実際に自分のクルマとしてR32を入手したのは2018年。もともとダークブルー(TH1)を探していたそうだ。しかし、シルバー(KL0)のR32を販売しているテキサス州の輸入業者に巡り合い、最終的にそのシルバーのR32を自分のGT-Rとして手に入れることになったという。
現在はこのR32とのカーライフを存分に楽しんでいるタイラーさん。愛車がどのように日本で過ごしていたのか知っているのだろうか?
「入手時、このR32のバックグラウンドについては何も知らなかったんだよ。でも最近になってカーVXというオンラインサービスを使って、少しだけ情報がわかったんだ。ワンオーナーカーで大事に乗られていたということ。そんなGT-Rが海を渡ってアメリカにやってきて、また新しく走行距離を刻んでいる。ボクも大切に乗らないといけないという気持ちにさせられるよ」
日本では大切に乗られていたとはいえ、経年劣化もあるだろう。また、目的地までの走行距離、さらに気候も含めて、クルマを取り巻く環境が日本とアメリカでは大きく異なる。乗り始めてから、とくに問題はないのだろうか?
「オイルポンプが調子悪くなってしまい、結局エンジンを降ろしたんだ。ついでにヘッドも開けたりして、いろいろと手直ししてみたよ。幸いにも自分で全部できそうなことだったからね。実際に触って感じたのは、GT-Rはやっぱり特別なクルマなんだなってことだったよ」
アメリカにいながら乗るクルマはすべて「輸入車」
もともとがクルマ好き。ガレージもあり、工具も揃っていたため、一般的な日本のGT-Rオーナーから見ると、驚いてしまうような作業もやるのがアメリカ流というトコロだろうか。ちなみに以前はどのようなクルマに乗っていたのだろう?
「パッと思い出すのは、1990年式ホンダシビック、1996年式VWパサート、1973年式BMW2002、2015年式スバルWRXあたりかな。他にも乗ったけど、今は日常の足として2008年式BMW328iに乗ることが多いね。あ、そういえば最近2007年式のBMW335iも買ったよ」
アメリカにいながら、日本車とドイツ車、つまり「輸入車」にしか興味がないタイラーさんのような人も存在する。とくに彼が生まれ育ったベイエリアのような地域と、海から離れた内陸部とでは、クルマに対する嗜好性が異なることは少なくない。国土の広いアメリカならではの傾向と言える。
北カリフォルニアだけでも多数のRファンが存在
ちなみにアメリカにおける現在のGT-Rを取り巻く状況はどうなのだろう?
「このR32を手に入れた2018年、地元のGT-Rクラブ『NORCAL SKYLINES』に入ったんだ。当時のメンバーは約40名。それが今では110名ほどに増えているよ。さらにアメリカはもちろん、世界規模でのオンラインの繋がりも、エリアを超えてますます深まっているように思えるね」
最後に日本にいるGT-Rファンにメッセージをもらった。
「なぜスカイラインGT-Rというクルマの魅力に取り憑かれる人が存在するのか、オーナーになってやっとわかった気がするよ。自分がメンバーでもあるクラブ『NORCAL SKYLINES』に代表されるようなGT-Rのコミュニティの繋がりは本当に深くて、いつも助けられている。いつかGT-Rの故郷である日本にも行って、GT-Rオーナーたちにも会ってみたいね!」
世界に輸出されている日本車は数多くある。しかし、ここまで世界中のクルマ好きを虜にするモデルは希有な存在だ。「25年ルール」や「投資目的の購入」など、GT-Rを取り巻く輸出についてはさまざまな問題もある。しかし、こうして各国に「GT-Rへの愛」を誓ったオーナーがいる限り、どこで過ごしていようとも、GT-Rは幸せな生活を送れるのだろうと感じるのだ。
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みんなのコメント
何年か経ってクラウンの丸テールが出た時は、ちょっとムカついたのを覚えている。