北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第54回は、ヒグマとともに北海道を代表する野生動物・キタキツネを取り上げます。
北海道ではヒグマによる人身事故急増中! 僕の大雪山ヒグマ遭遇体験記
キタキツネは、北海道のどこにでも生息しているので、旅行者が出会う確率が最も高い野生動物だと思うのですが、今回、圭さんが紹介してくれるのは、大雪山の高地で暮らすたくましいハンターのキツネです。
その美しい姿をぜひご堪能ください。
写真・文/佐藤圭
[gallink]
キタキツネの殺気に、ウサギとリスはすべて姿を消した!
僕が今まで見たなかで、最も美しいキタキツネに出会いました!
毛並み、顔つき、眼光の鋭さ、尻尾の太さ、どれをとってもパーフェクトでした。尻尾は、胴体くらいの太さがあり驚きました。
紅葉の中にたたずむキタキツネ。しっぽの立派さが半端ない
大雪山系の山の1000m近い高地で遭遇したのですが、高山に暮らすキタキツネは平地で暮らすキタキツネよりも、筋肉が発達していてたくましいように思います。
広大な山を駆け巡りながらエサを探すためでしょう。気温が低く過酷な山の気候に対応するため、毛の量も1.5倍増しに見えました。
紅葉がピークの山で撮影していると、どんな野生動物が出てきても画になります。
でも、これほど見事な黄金色のキツネに出会ったのは初めてで、「こんなに錦繍の風景に似合う動物は他にいない!」と断言したくなるほどの存在感でした。
毛並みも鮮やかで、四肢もたくましい
平地のキツネに比べ、眼光が鋭い
エゾナキウサギとエゾシマリスを撮影していたときに現れたのですが、キタキツネは凄まじい殺気を放っていたので、キツネが狩りをあきらめて去ったあとも、ナキウサギもシマリスも一切姿を現すことはありませんでした。怯えてしまったのでしょうね。
撮影を始めたときは、冬支度に忙しかったエゾナキウサギ
そこにのそりと姿を現したキタキツネ
キタキツネが現れる直前、気配を察したのか、怯えた表情になり、さっと姿を消した
エゾシマリスも、怯えた表情で立ち上がり、すぐに巣穴に逃げた
岩のすき間に頭を突っ込んで、獲物を探すキタキツネ
山の神のようなキタキツネに出会うことができて、幸せな気持ちで下山しました。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
インスタグラム:https://www.instagram.com/slashslash_photography/
佐藤圭さんのデビュー写真集が、10月27日に発売されます。北海道大雪山系に暮らすエゾシマリスの一年を追った写真絵本です。エゾシマリスの体の特徴や子育て、独特の生態について、Q&A形式でわかりやすく紹介しています。
定価1,980円(本体1,800円+10%税) 文一総合出版
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