大きなフィアット500?
text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
【画像】フィアット500Xクロス(試乗車)、フィアット500【比べる】 全61枚
photo: Keisuke Maeda(前田恵介)
「フィアット500が欲しいけど、小さくて……」とお嘆きの貴兄に、ひと回り大きな「500X」が、満足してもらえる選択肢となるか検証してみたい。
Bセグメントに属する本家フィアット500の方は、3サイズが3570×1625×1515mm、ホイールベースが2300mmとコンパクトさがウリ。
今回試乗する「500X」はパッと見はそれほど大きく見えないが、実は4280×1795×1610mmもあり、CセグのVWゴルフとほとんど変わらぬ大きさなのである。
フィアットは、「500X」をコンパクトSUVという位置付けでセールスしているが、一年前のマイナーチェンジでSUVらしさを抑えたエクステリア・デザインに改めている。
ポイントは、500よりもひと回り大きいだけでなく、“使えるフィアット500”という役割を受け持つこと。
プント亡き後のフィアットは、Cセグを担当するモデルがなくなってしまったので、「500X」に任せることなったわけだ。ちょうどミニのクロスオーバーと同じポジションニングにある。
価格的にも主力グレードとなる「500Xクロス」が341万円で、ミニ・クロスオーバー・ワンの350万円よりお値頃感がある。
やっぱり500 外観の共通項
フィアット500最大の魅力は、スタイリングだろう。
1959年にデビューしたヌォーヴァ・チンクエチェント(新型500)は世界中で人気を集め、そのデザインを現代に蘇らせたポップでキュートな姿が魅力だ。
外観のみならず、往年のモチーフで構成されたダッシュ・デザイン、シートのカラー・コンビネーションや意匠がレトロで、愛らしい雰囲気を漂わす。
姉となる「500X」は、500のデザイン・モチーフを受け継いでいるが、ひと回り大きくなったことからまったりとしたイメージとなった。
ヘッドランプやテールランプは、同じテイストのデザインが受け継がれて500ファミリーの一員であることを主張。
500ファンには嬉しい部分である。
内装は? 使えるアップデート
本家500のインテリアは、ボディと同色のダッシュに丸いメーターがポツン、というデザイン。
「500X」でも同様に、ボディ同色のダッシュというデザインを受け継ぐ。
しかし、500よりも上位モデルという位置づけだけあって、「500X」のメーター類はアップグレードされている。
左右に配されたスピードメーターとレブカウンターの間には燃料計・水温計に加え、マルチ・ディスプレイをまとめた3連タイプのナセルがレトロ調。
また、ダッシュ中央には総合インフォテインメント・システムを受け持つ7インチ・タッチパネルモニターを採用した。
スマホと連携させれば、音楽コンテンツやスマホ内のナビ、電話などをパネルから直接操作できるし、バックモニターもここに表示され、“使えるディスプレイ”としてマイナーチェンジ車の特徴となっている。
後席/荷室/新型エンジン
シートのデザインも500を受け継ぎ、丸いヘッドレストやバックレストに施された500ロゴの刺繍などが目を楽しませてくれる。
トリムに高級な素材を使わなくてもイタリア的なデザインが心地良い空間を提供してくれるのは、フィアットの伝統である。
後席は、大きなセールスポイントで、“使える500”の真骨頂。ホイールベースが500に較べ270mm延長されたこともあり、大人がゆったりと座れる空間を確保している。
また、大物も積めるラゲッジスペースの広さも見逃せない。後席使用時でも350Lが確保され、バックレストを折りたためば1000Lになる。
パワートレインは2019年4月のマイナーチェンジで一新され、「ファイア・フライ」と名付けられた新開発の1.3L直列4気筒マルチエア16バルブ・インタークーラー付きターボ・エンジンを採用。
151psという最高出力は、2009年に発売された初代アバルト500の135psを大きく上回るほど。
マイナーチェンジ前のモデルより最高出力が11ps、最大トルクで4.0kg-m向上したことにより、「500X」はさらなる余裕を手に入れた。イタリア仕様では最高速度200km/h、0-100km/h加速は9.1秒と、駿足ぶりを発揮する。燃料消費率もWLTC混合モードで13.4km/Lに向上している。
500の1.2ポップの69ps、ツインエアの85psに較べると車重が400kg増えるが、それ以上の余裕を手に入れたことが分かる。そこに6速デュアルクラッチATを組み合わせて前輪を駆動する。なおマイナーチェンジ後は2輪駆動(FWD)のみの設定となった。
走りは、気持ちいい
イタリア車と言うと、アバルトのような高性能でホットなキャラクターを思い浮かべようが、ふつーの実用車も侮れない。
エンジンは気持ちよくトップエンドまで回り、リニアなステアリングで思うままに操ることができるからだ。
今回試乗した「500X」は、キャラクターに似合ったカプチーノ・ベージュの「500Xクロス」。走り出せば自然な感触でドライビングが楽しめ、スロットルを全開にすれば咆哮とともに活発でスポーティな走りを披露する。
クルマ好きをニヤリとさせるイタリアの実用車の伝統をちゃんと受け継いでいた。
しっかりしたシャシーとロングホイールベース、そしてちゃんと仕事をしてくれるサスペンションにより、クラス以上のフラットな乗り心地を実現する。それだけに、ロングランも得意科目だった。
ここが、サイズの小さい500では成し得ない最大のメリットとなる部分である。
小型SUV版 「買い」か?
可愛らしいキャラクター性とスタイリングで選ぶと500に行き着くが、実用性を考えると「500X」がベストチョイスとなろう。
大きくなったとはいえ、タウンユースで持て余さないボディサイズは、行動範囲を広げてくれることだろう。
現代のクルマに求められる予防安全装備も、アダプティブ・クルーズ・コントロール(500Xクロスのみ)、レーン・デパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警報)、自動ハイビーム(500Xクロスのみ)、リア・パーキング・カメラ、リア・パーキング・センサー(アラーム式)、ブラインドスポット・モニター、リア・クロスパス・ディテクション(500Xクロスのみ)が備わり、商品力を高めた。
機能やコストだけを突き詰めてクルマを選ぶと、趣味性が感じられない。しかし「500X」なら見る者を微笑ませる。イタリアへの拘りやオーナーのセンスの良さが主張できよう。
一見すると500の単なる拡大版に見えるが、中身はまったく別のクルマと言え、完成度も高い。
“使える500X”は、フィアット500が好きだけど、小さくて候補から外している方にお勧めできる。また、現在フィアット500を所有していて、家族が増え(大きくなって)次のクルマを探している方にも気になる存在となろう。
フィアット500Xクロス スペック
価格:341万円
全長×全幅×全高:4280×1795×1610mm
ホイールベース:2570mm
重量:1440kg
エンジン:1331cc直4ターボ
最高出力:151ps/5500rpm
最大トルク:27.5kg-m/1850rpm
トランスミッション:6速DCT
燃料タンク容量:48L
燃費(WLTCモード):13.4km/L
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みんなのコメント
何より。。。なんかカワイくない。
チンクエチェントの意味がない。
500は、せまい
500は、2ドア
500は、2気筒
500は、ぎくしゃく
500は、不便
でも、楽しい、
そんな500が好きです