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最古のポルシェ タイプ64、出品 どんなクルマ? 予想落札価格22億円

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最古のポルシェ タイプ64、出品 どんなクルマ? 予想落札価格22億円

もくじ

ー ポルシェの至宝 ベースはKdFワーゲン
ー レースのために 苦難の歴史
ー 驚きのオリジナル度 スポーツカーの原型

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ポルシェの至宝 ベースはKdFワーゲン

ポルシェの至宝とでも呼ぶべき、フェルディナントとフェリーのポルシェ親子が創り出し、初めてポルシェを名乗った最古のモデル、タイプ64が、今年の後半、オークションに出品されるという。

この歴史的価値を持つ車両は、今年8月、カリフォルニアのモントレーで行われるRMサザビーズ・オークションへの出品が予定されており、落札予想価格は明らかにされていないものの、その価値は、間違いなく数百万ポンドは下らないだろうと言われている。

サザビーズの専門家は、少なくともその価格は2000万ドル/1546万ポンド(約22億円)に達するだろうと話しており、「ポルシェのエンジニアリングとデザインの歴史にとって、現存するなかでもっとも重要な存在」だとしている。

「タイプ64が無ければ、ポルシェ356や550、そして911が誕生することもなかったのです」とRMサザビーズで車両オークション担当を務めるマーカス・ゴーリックは話す。

「まさに、ポルシェの起源として、伝説を生み出した存在であり、フェルディナントとフェリーがともに腰を下ろしたシートに座ることが出来るという、2度とない機会をコレクターの方々に提供することになります」

タイプ64は、ポルシェ初の量産モデルである356の前に登場しており、1939年9月に開催が予定されていたベルリン-ローマ間1500kmを走破するロードレースに出場するため、フェルディナント・ポルシェが生み出したものだ。

当時、すでにポルシェでは後のフォルクスワーゲン・ビートルとなる、KdFワーゲンの生産計画を進めていたが、フェルディナントは、より軽量で、レースに適したスポーツモデルも創り出したいと考えており、アウトバーンとKdFワーゲンの発売開始をアピールすべく、ベルリン-ローマ・ラリーの開催が発表されたことで、彼にはそのチャンスが巡って来たのだ。

ドイツ政府から、KdFワーゲンをベースに、3台のレーシングバージョンを作り出すよう依頼を受けたポルシェと彼のエンジニアたちは、早速タイプ64の製作に取り掛かっている。

レースのために 苦難の歴史

サスペンションやドライブトレインはベースとなったKdFワーゲンそのままだったが、タイプ64では軽量なアルミニウム製ボディを採用するとともに、タイヤは取外し可能なアルミニウム製パネルによって完全に覆われていた。

さらに、フロントに2本のスペアタイヤを収納すべく、燃料タンク位置をかなり後退させており、その結果、パッセンジャーシートはドライバーズシートよりも後ろ、車両センター近くに置かれている。

エンジンはKdFワーゲンと同じ985ccユニットが搭載されていたが、パワーが32psまで引き上げられるとともに、最高速は173.5km/hに達していた。

レースのために生み出されたものの、1939年8月、最初の1台が完成した直後に第2次世界大戦がはじまったために、ベルリン-ローマ・ラリーはキャンセルされ、タイプ64のデビューはお預けとなっている。

この時点で、計画はフェルディナントから息子のフェリーに引き継がれ、1939年12月に2台目が、1940年6月には、事故でダメージを負った1台目のシャシーを使った3台目が完成しており、今回オークションに出品されるのはこの3台目の車両となる。

ポルシェ家がプライベートユースのために所有し続けていたこの個体は、オーストリアにある彼らのガレージで2台目とともに保管され、もっぱらフェリーとフェルディナントがそのステアリングを握っていた。

だが、残念ながら2台目のタイプ64は戦争で失われ、生き残った3台目は、戦争終結まで米軍の基地内で使用されることとなった。ルーフが取り払われたこの車両は、実質的に乗りつぶされ、そのまま放置されている。

それでも、車両自体に大きなダメージはなく、1946年にフェリー・ポルシェが自身の会社を立ち上げると、自らの手で、このクルマのフロントに「PORSCHE」のエンブレムを取り付けている。

翌年、フェリーは若き“ピニン”ファリーナに車両のレストアを依頼しており、完成から約10年を経て、ようやくレースへの参戦準備が整うこととなった。

驚きのオリジナル度 スポーツカーの原型

当時、ポルシェでは356の計画が順調に進んでいたことから、タイプ64への関心は薄れつつあったが、幸運にも、このクルマを気に入ったオーストリアのプライベートレーサー、オットー・マテが、1949年にポルシェからこのクルマを買い取っている。

1950年代、マテはタイプ64を駆ってレースで活躍し、初めての真のポルシェレーサーと呼べる存在となったが、その後も1995年に亡くなるまでの46年間、一度もこのクルマを手放すことはなかった。

マテの死から2年、ふたたびこのクルマは売りに出され、ポルシェ専門家のトーマス・グルーバーの手に渡っているが、さらにその後、オークションを経て4番目のオーナーのもとへと嫁いだのは10年以上前のことだった。

最近、この車両をチェックした専門家のアンディ・プリルは、「長年数々の特別なポルシェを見てきましたが、これほどの車両は初めてです。このクルマでは、シャシーに至るまで、徹底的な調査を行っています」と話している。

「調査には多くの日数を費やしましたが、その結果、この車両の主要なコンポーネントはすべて、1939年から1940年にかけて製作されたオリジナルであることを確認しています。ポルシェのなかで、もっとも歴史的な1台であり、これほどオリジナル度の高い、ポルシェ黎明期のモデルを見つけ出すことができたのは、驚きでしかありません」

「モントレーでは、数々の歴史的価値のある車両をご紹介してきましたが、タイプ64もそのなかの1台となります」とRMサザビーズでオークション責任者を務めるゴード・ダフは語る。

「タイプ64は現代のスポーツカーの原型とでも呼ぶべきモデルであり、その特徴の多くは、70年以上に及ぶポルシェ歴代の車両に受け継がれるとともに、いまもっとも高い人気を誇る現行モデルのなかにも見つけ出すことができます」

モントレーで行われるRMサザビーズ主催のオークションは、ペブルビーチ・コンクール・デレガンス期間中の8月15日から17日にかけて開催され、アストン マーティンの出品も予定されている。

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