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ランボルギーニ「The Lounge TOKYO」がオープン──ヨウジヤマモトとコラボしたアヴェンタドールSを展示!

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ランボルギーニ「The Lounge TOKYO」がオープン──ヨウジヤマモトとコラボしたアヴェンタドールSを展示!

ヨウジヤマモトとのコラボアイテムも登場!

呵呵大笑

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ランボルギーニが東京・六本木にオープンした「The Lounge TOKYO」は、クルマ好きがいま東京で最も訪れるべきスポットだろう。

まずは、一階に展示してある“ヨージのアヴェンタドールS”がスゴい。正確には、「Aventador S “dressed” by Yohji Yamamoto」という。

アウトモビリ・ランボルギーニのHead of Design、Mitja Borkert(ミティア・ボルケルト)が、ファッションデザイナーの山本耀司の「Yoji Yamamoto」ブランドの2020-21年秋冬コレクションのテーマ「PARTISAN」のパターンをあしらい、インテリアも同様に彩られている。

黒いアヴェンタドールSに、赤、朱、白の塗料を太いハケでひと擦りし、大中小の朱のドットがグラデーションでボンネット、ルーフ、ボディサイドに配されている。


左右のドアに、「呵呵大笑」「カカ大笑」「呵呵呵呵」、ルーフには「ろまんすぐれー」「文明開花」、リアフェンダーには「百発百中」と、山本耀司の自筆によるのであろう手書きの文字が記されている。同じ文字は車内にも反復されている。

何かを記述する表現というよりも、感情や気分の切れ端のようなものなのだろう。車内には、短い英語の単語もたくさん散りばめられている。

主義・主張を表す標語などではなく、落書きに近いようなものかもしれない。しかし、アヴェンタドールSに落書きしてキメることができるクリエーターなんて、滅多にいるもんじゃありませんね。

ペイントと合わせて、完全に“ヨウジヤマモトのランボ”になっている。妖気すら漂わせていて、超特別なアヴェンタドールSに仕上がっている。

でも、この強烈な存在感はアヴェンタドールSの持つデザインとランボルギーニのブランド価値の上に成り立っている。山本耀司も次のようにコメントしている。

「ランボルギーニは他メーカーと違い、走る姿を見てひと目で“ランボルギーニだ”と認識できる。圧倒的な独自性を持っているブランドです」

ファッションや音楽などの分野では、1+1が2にしかならない、場合によっては2にも達していないコラボが横行しているが、このクルマは3にも4にもなっている。ランボルギーニとヨウジヤマモトという千両役者同士がガチでぶつかり合って、火花を散らしている。スゴいとしか言いようがない。

最高の場所

このクルマをたっぷりと眼と心で堪能したら、そのまま地下1階に直行したい。「The Lounge TOKYO」の心臓部は地下にある。

ランボルギーニでは、カタログに載っている仕様ではなく、顧客がエクステリアやインテリアの色やトリム、装備などをカスタムオーダーできるシステムを「アド・ペルソナム」と呼んでいる。その専用スタジオが、地下1階に常設されているのだ。

降りていって、まず眼に入るのはエクステリアカラーの見本だ。60色以上に塗り分けられたアヴェンタドールSの精巧なミニチュアが壁に展示されている。本物の塗料が使われて、ミニチュアは壁から取り外すことができるので、光にかざしたり、角度を変えたりして微妙な違いを確かめることができる。希望のボディカラーを具体的に決めていない人ならば、まずここで楽しく眼移りしてしまうことだろう。

奥にはシートの生地見本が50種類(!)も吊るされている。それもチマチマとしたハンカチ大のスワッチなどではなく、半畳ぐらいある。対応した糸も同じ数だけあるから、ここでも楽しく迷うだろう。ボディカラーが60色以上揃っているのは知っていたが、シート生地がこんなにたくさん用意されているなんて! 選び甲斐があるし、ここでも迷うことが楽しくなる。

ほかにも、ステアリングホイールやシートベルト、ブレーキキャリパーやホイール、シート、インストゥルメントパネルなどの見本がふんだんに用意されている。

特に方向性を定めずにこれだけ豊富な見本を眼の前にしてしまったら、1台を完成するのにとても1日では終わらないだろう。ここに何回も通うことになるかもしれないし、決定したつもりでも後から修正を施すことにもなるだろう。

でも、そうした体験が楽しいと思える人にとって「The Lounge TOKYO」は最高の場所だ。それは、ランボルギーニも認めている。アウトモビリ・ランボルギーニのチーフ・マーケティング&コミュニケーションオフィサーのカティア・バッシも、次のようにイタリアからビデオでコメントしていた。

「このラウンジができたのは、ランボルギーニが“エクスペリエンスをデザインする”ブランドであるからです。コアコンセプトである“インフォーマルなラグジュアリー”がランボルギーニの世界観を表現しながら、エクスクルーシブなくつろぎの空間でゲストの皆様をお迎えいたします」

“エクスペリエンスをデザインする”とは、まさにこのスタジオで自分だけの、世界に1台のランボルギーニを誂えることに他ならない。

「現在、ランボルギーニが世界中でデリバリーするクルマの半数以上が本社のスタジオを直接に訪問、またはディーラーを通して、アド・ペルソナムによるディテイルのカスタマイズを依頼いただいています」(チーフ・コマーシャルオフィサーのジョヴァンニ・ペロシーノ)

さらに、その割合は、日本では8割にも上っているというから驚いた。

日本では、日本車も輸入車もメーカーやディーラーが選択肢を絞り、あらかじめ組み合わせたクルマの中から選ぶ買い方が一般的だ。だが、ランボルギーニのようなクルマにもなると、“自分だけの1台”が欲しくなり、選ぶ手間を喜びに換えて、納車までの時間を楽しみながら待つことができる。

ちなみに、同じ超高級車であるベントレーのイギリス・クルーにある本社を取材したことがある。工場に隣接されたサロンには、このランボルギーニのラウンジと同じように、ボディカラー、シート生地、糸、ウッドパネル、ステアリングホイールなど、あらゆるパーツの見本が陳列され、顧客は時間を掛けて好みの一台を仕立て上げていっていた。インパネに用いるウッドは見本ではなく実物で、顧客は木目の好きな部分を「ここからここまで」とチョークで場所を指定することまで行われていた。クルマ道楽の究極の姿のひとつだろう。

つまり、セットアップされた“吊るし”ではなく、少しでも自分の好みをクルマに反映させたければ、メーカーはラウンジなりサロンを構え、コーディネーターを配して、それに応えようとしているのだ。そのサロンの担当者が説明してくれた。

「ヨーロッパでベントレーを新車で購入される方の約8割は、ここに来て自分の仕様を定められます。時間を掛けてゆっくりと決めていきたい方々のためは、ホテルも用意してあります」

もちろん、そのホテルも貴族の館だった由緒ある建物を転用した、庭園も含めて由緒あるものだった。

エクスペリエンスこそ時間が必要だ

以前は、「高額なクルマほど「即納(車)でないと売れない」と言われていたし、「無難な色と仕様でないと下取り価格が下がる」などと下らない説教を垂れるセールスマンもたくさんいた。買う側が舞い上がっていたし、売る側も売りやすかったのだろう。

しかし、クルマ、それもランボルギーニのような超高級車の買われ方は、好みの仕様をじっくり考え抜いて買うスタイルに変わった。良いことだ。成熟したのだと思う。

その一方で、「豊富に選択肢を用意しても、お客は迷って選び切れず、その時間を短縮して営業効率を上げたい」と平然と口にする輸入業者もまだいるのが現実だ。エクスペリエンスこそが購買意欲を刺激するはずなのに、時間を短縮したら逆効果ではないか?

だから、エクスペリエンスの重要性を強く認識しているランボルギーニは本社に次いで六本木でもラウンジを開設したわけで、それによって日本での存在感をこれまで以上に高めていくに違いない。ランボルギーニは、これでまたライバルたちを引き離したのではないか。

文・金子浩久

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