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世界級セレブ御用達車!! ブガッティ、パガーニ他…超ハイパースポーツカーが健在な理由

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世界級セレブ御用達車!! ブガッティ、パガーニ他…超ハイパースポーツカーが健在な理由

 世界中の自動車メーカーが吸収、合併を繰り返し再編されている。同時に環境問題から多くの自動車メーカーが電動化に舵を切っている。

 そんな世界の自動車産業において特異な存在なのが、少量生産のウルトラハイパースポーツカーメーカーではないだろうか。高効率化、グローバル化、電動化などどこ吹く風(一部は電動化に対応)、といった感じで、超ド級のウルトラハイパースポーツカーを生産・販売して存在感を放っている。

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 環境問題の深刻化から、これらウルトラハイパースポーツカーメーカーがいつまで存続できるのかはわからいが、現在存続できている理由、存在意義について考察していく。そして、具体的にスーパースポーツを紹介していく。

文:石川真禧照/写真:ASTON MARTIN、LAMBORGHINI、BUGATTI、PAGANI、KOENIGSEGG、SALEEN、NOBLE

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歴史のあるスポーツカーメーカーのクルマはお金があっても買えない

 いまから20年近く前のことだった。海外のモーターショー会場で、ポルシェの販売部門の副社長と話しをしていたとき、ポルシェが時々少量生産の高額なスポーツカーを販売している理由を聞いてみた。そのとき彼はこう言い放った。

「世界中にポルシェファンの富豪は200人はいる。彼らはどんなに高価なポルシェでも買ってくれるからね」

アストンマーティンのマレック・ライヒマンとレッドブルレーシングの鬼才エイドリアン・ニューウェイの共同監修によって誕生したアストンマーティンヴァルキリー

アストンマーティンとザガートがコラボして誕生したDBS GTザガートはDB4 GTザガートと2台セットで約8億円という珍しい販売方法を採用

 ここ数年のアストンマーティンは、量産スポーツカーとは別に、ごく限られたファンのために少量生産、高額なスポーツカーを生産している。

 例えばF1のレッドブルレーシングと開発した「ヴァルキリー」やザガードと共同生産のDBシリーズは数億円で販売された。ランボルギーニもハイブリッドスポーツの「シアン」を19台限定で販売した。

 どれもがすでに完売という。

 もし、あなたがこのコロナ禍で大金を手に入れ、こうしたクルマを購入しようと思ったとしよう。おそらく、いくらお金を積んでも手に入れることはできないかもしれない。

 その理由は、歴史あるスポーツカーメーカーのクルマは、世界中のロイヤルコレクターと呼ばれている裕福なクルマ好きに優先的に販売されてしまうからだ。

正式車名はランボルギーニシアンFKP37で、FKPはフェルディナント・カール・ピエヒ氏の頭文字で37はピエヒ氏の生まれ1937年にちなんでいる

 この傾向は特に1990年代バブル期が終わってから強くなったように思う。

 資金はあるのに欲しいクルマが手に入らない。それは多くの場合、ごく少数のクルマ好きのために作られたスーパースポーツだ。彼らの物欲を満たす新しいスーパースポーツを作る人たちが現れても不思議ではなかった。

 今回、紹介するウルトラハイパースポーツカーメーカーの多くが1990年代に創業しているのは偶然ではないのだ。

 そして、彼らが生き延びてこられているのも、こうしたウルトラハイパースポーツを購入したいという新世代スーパーリッチな人たちがいるからなのだ。

ブガッティ

 1998年にフォルクスワーゲンの子会社としてフランスで創業したブランドだが、ルーツは1909年にイタリア出身の技術者、エットーレ・ブガッティがスイスに創業した自動車メーカーだ。

 高級リムジンからGPマシンまでを手掛け、世界を席巻したが1949年代に消滅した。それを1980年代にイタリアの実業家が復興させ、VWが買収した。

ヴェイロンの市販モデルは東京モーターショー2005で、2006年から300台を上限にデリバリー開始。写真はヴェイロンのファイナルモデル

 VW傘下での1号車は「ヴェイロン」。VW製V8エンジンを連結させたW16気筒エンジンを搭載し、最高速405km/h、1億3000万円で販売し、2015年に完売した。

 その後「シロン」1500馬力、最高速420km/h、2億8000万円を販売し、2018年には「ディーヴォ」6億2000万円、40台限定を完売し、現在に至っている。このクルマもW16、8L、4ターボ、1500馬力エンジンを搭載している。

ヴェイロンの後継モデルとして2016年にデビューしたシロン。価格はヴェイロンの倍となる2億8000万円!!

ディーヴォはブガッティで活躍したレーシングドライバーのアルベルト・ディーヴォにちなんで命名。シロンも同様にルイ・シロンに由来

パガーニ

 1992年にランボルギーニに在籍していたデザイナーのオラチオ・パガーニが創設。本社はイタリアで、1999年に「ゾンタC12」を発表した。4個の独立した小径ヘッドライトと、リア中央にまとめられた4本のマフラーがパガーニの特徴。

ゾンタはリアが特徴的なデザインだが、特に中央にまとめられた4本のマフラーが目立つ。パワーアップして進化を遂げた

 エンジンはメルセデスAMG製のV12、6Lツインターボを394馬力にチューンし、332km/hを可能にした。

「C12」は5台しか生産されず、エンジンが7L、550馬力、7.3L、555馬力、7.3L、602馬力、7.3L、650馬力とチューンされながら2010年まで生産された。

 その後もワンオフで数台がつくられている。車両価格は仕様にもよるが3億円前後といわれている。

 最新モデルは「ウアイラ」。AMG製エンジンは730馬力、1000Nm、最高速370km/h。「ウアイラ」のバリエーションで5台生産の「イモラ」は827馬力、1098Nmで、1台5億9500万円。もちろん完売した。

日本でも人気のパガーニウアイラ。ロードスターをラインナップすると同時に、ワンオフを含むスペシャルモデルも多数存在する

ウアイラの最新スペシャルモデルがイモラ。イタリアのイモラサーキットにちなんで命名。限定の5台はあっという間に完売となった

ケーニグセグ

 設立は1994年、スウェーデンの実業家で当時22歳のクリスチャン・フォン・ケーニグセグが世界最高のスーパースポーツカーをつくるために立ち上げた。

 第1号車は2005年に発表した「CCR」。フォード製V8、5.7Lツインスーパーチャージャーで806馬力、900Nmで395km/hの最高速で、約4700万円。40台近く販売されている。

ケーニグセグCCRといえば、独特の開閉となる『ディヘドラル・シンクロ・ヘリックス・アクチュエーション・ドア』

ケーニグセグはアゲーラによって世界に名を広めた。アゲーラRSRは3台限定だが、すべて日本で販売された

 2010年に発売した「アゲーラ」以降は自社開発したV8、5Lツインターボ、940馬力、1100Nmを搭載。「アゲーラ」は最高速395km/hを公言している。

 2016年に日本専売として「アゲーラRSR」を販売。価格は2億6000万円でこれも完売している。

 最新モデルは「ジェスコ」で最高速483km/hとされ、125台限定、1台3億7000万円だがすべて完売。日本でも数台が販売されたと言われている。

 さらにプラグインハイブリッドの「ジェメラ」が発表されているが、EVモードでも300km/hに達するという。価格は購入者には公開されているようだが、正式にはまだだ。

1600馬力で最高速度483km/hをマークするジェスコは性能を考えると富裕層にとって1億7000万円は買い得感が高い!?

ジェメラはケーニグセグ初の4シータースポーツカーだ。しかもシステム出力1700馬力のプラグインハイブリッド。環境適合型のウルトラハイパースポーツ

サリーン

 今回、取り上げたハイパーメーカーのなかではもっとも歴史のあるブランド。1983年にレーシングドライバーだったスティーブ・サリーンが立ち上げた。

 目的はフォードマスタングを中心としたレーシングカーやストックカー製造だったが、その技術力が認められ、フォードGTの開発にも加わり、アッセンブリーとペイントをまかされた。

2000年にルマン用のレーシングマシンが発売され、その後その性能に準じたストリートバージョンも用意された

 フォードに認められるキッカケは2000年に発売した「S7」。ルマン24時間レース出場用のマシンだが、公道用のモデルも市販された。

 自社開発のオールアルミV8、OHV、7Lで750馬力、952Nmを発生。320km/hと0→100km/h加速3秒を達成した。日本にも上陸し、約9000万円で販売された。

 そのサリーンが2018年に再びスーパースポーツに戻ってきた。

 今度は4気筒2.5Lターボ、450馬力、474Nm、最高速290km/hのスポーツカーとS7の復活。S7はルマンエディションとして7台の限定生産、1億2000万円で販売された。

2018年に一度は絶版になっていたS7が復活。エンジンパワーは1300馬力(旧型は760馬力)に大幅に引き上げられて7台が限定で販売された

ノーブル

 1998年、イギリスのレーシングカーコンストラクターのリー・ノーブルが設立したブランド。1999年に「M10」というオープン2シーターを発表。V6、2.5L自然給気エンジンを搭載していた。

 V6はのちに3Lツインターボ、425馬力、529Nmに高められ「M400」に用いられた。「M400」は2006年に約1500万円で日本でも販売された。

M10、M12と発売してきたノーブルがそのノウハウを生かして登場させたのがM400。2006年当時日本では約1500万円で販売された

 最新モデルは「M600クーペ&スピードスター」で、カーボン樹脂を多用したこのスポーツカーは、パワーユニットにかつてF1マシン用に開発されたヤマハ・ジャッドのV8、4.4Lツインターボを持ちこんだ。

 662馬力、821Nmの性能で、360km/hの最高速を公言している。EPSやABS、TCRなどは装備されないスパルタンなスーパースポーツとして生産されているのが特徴だ。車両価格は、約3000万円と発表されている。

M600はF1用のヤマハ・ジャッドV8ツインターボを搭載。最高速は360km/hと公表している。価格は約3000万円で、この手のクルマとしては安い

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