今、世界的に人気のSUV。本格的なオフロード性能を備えたものからオンロードユースに軸足を置いたものまで百花繚乱といったところだ。たとえSUV風味のFF車であっても、電子デバイスの進化でバカにできないくらいの走破性を持っているに驚かされる。
とはいえ、全体的にはオンロード寄りのモデルが多く、タイヤもオンロードユースの快適性を狙ったものが多い。そうなると一部のへそ曲がり(ほめています)はタフなイメージのドレスアップが魅力的に見えてくるのではないだろうか。
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そんなタフなドレスアップ志向の強いSUVユーザーにぴったりなのが、トーヨータイヤのオープンカントリーA/TIIIだ。ダートやオフロードでいかにもトラクションの高そうなワイルドなトレッドデザインを特徴としている。
A/Tは、オールテレーンを表しており、オンロード、オフロード、さまざまな地形、気象環境を走破する幅広いカバーレンジを持っている。走行性能で特筆すべきは、冬用タイヤとしての性能を保証するスノーフレークマークがついていること。
コンパウンドも耐摩耗・スノーポリマーを増力して耐摩耗性とスノー性能を高めている。冬用タイヤとしての性能は、“雪が得意”なオールシーズンタイヤといったところ。
試乗したのはハイラックス×265/65R17と、ランドクルーザー×265/65R18の組み合わせ。いずれもの純正サイズだった。
ハイラックスは、余計な(?)電子デバイスがないぶん、ダイレクトにタイヤの様子が伝わってきた。そこで感じたのは、ダート路面でびっくりするくらい路面をとらえてくれトラクション性能。縦方向のタイヤの滑り感が極めて少ないのに加えて、コーナリングでもタイヤが路面を噛んでいる、あるいはエッジが立っている感覚がかなりはっきり感じ取れるのだ。
一方、ランドクルーザーは車重2.5トン超の重量級ボディにクルーザーのようなふんわりとした乗り味。サスペンションがソフトでタイヤの様子がつかみにくいので不安を感じながらオフロードコースに踏み入れたのだが…。これがびっくりするほどスイスイ走れてしまう。
傾斜度20度の下り坂(視覚的には不安を感じるほどの急な傾斜度)でも、タイヤが縦横に滑る(ズレる感覚)はほとんどなく、オープンカントリーA/TIIIのグリップの高さが実感できた。タイヤが滑り出す直前くらいまで追い込んでみても、滑り量が徐々に増えていく様子が感じ取れる。
これは本格的なオフロードタイヤのようだ…と思っていたら、実際にダートラコースを走らせてもマッドテレーンよりもタイムがいいのだという。
冒頭で「タフなドレスアップ志向の強いユーザー向け」と書いたが、見た目だけでなく、走行性能の点でも本格的なオフロード性能を備えたタイヤだった。
さらに補足すると、今回試乗することができなかった舗装路も、パターンシミュレーションによるノイズ低減を行ったことで従来モデルよりさらに静粛性を高めているという。
オフロード性能がよく、1年中履きっぱなしでいられるオールシーズンタイヤとしての性能を持ち、さらにオンロードでの快適性も期待できる。本格オフロードファンはもちろんのこと、前輪駆動のSUVにもオススメできるタイヤではないかと思う。
〈文=斎藤 聡 写真=岡 拓〉
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