WRCを戦うためにゼロから開発された
閉鎖した区間で競技が行われるとは言うものの、スペシャルステージをつなぐリエゾン区間も走ることから、ラリーでは市販のロードゴーイングカーをベースとして競技車両が製作されてきました。そして世界ラリー選手権(WRC)が制定された当初はグループ(Gr.)4カーが総合優勝を争っていましたが、1981年に国際自動車スポーツ連盟(FISA)が車両規定を一新。それまで数字で分けられていたカテゴリーをアルファベットで表すようになりました。そして83年からWRCではGr.Bが主役を務めることになりました。
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下位カテゴリー、例えばGr.2やGr.Aに規定以上のチューニングを施したクルマが編入されるのはGr.4もGr,Bも同様でしたが、最低生産台数がGr.4の400台から200台に半減されたことで、多くのメーカーがGr.Bカーを製作してWRCに参戦してきました。そのほとんどは市販のロードゴーイングモデルをベースにしていましたが、今回紹介するフォードRS200は、Gr.BによるWRCを制覇するために、ゼロベースから開発されたスペシャルモデルでした。
レース技術の集大成がミッドシップの4WDで公道に出現
RS200を手掛けたのは、数多くのF1GPカーやGr.Cカーを手掛けてきたトニー・サウスゲート。アルミハニカム製のモノコックのミッドシップにエンジンを搭載し4輪を駆動するというもので、当時のWRCで主流になっていたパッケージでしたが、組付けられるサスペンションも、レーシングカーでは当たり前に採用している前後ともにダブルウィッシュボーン式とされていました。
またボディカウルは、アルミなどを多用して軽量化を追求していたライバルよりもさらに過激で、ガラス繊維強化樹脂、いわゆるGFRPで成形したパネルが使用されていました。
搭載されるエンジンはコスワースRS200の愛称からも想像できる通り、レーシングエンジンのスペシャリストであるコスワースが開発した、1.6ℓ直4ツインカム16バルブのBDAをベースに、排気量を1803ccにまで拡大するとともにギャレット製のターボを装着したBDTユニットを採用。ベースモデルでも250馬力を捻り出していたから、重量が1200kgを切るボディに対しては十分以上のパフォーマンスを発揮していました。さらに、競技用のワークスカーでは公称出力では450馬力を絞り出していたとも伝わっています。
そんなエンジンからの駆動力は、直接にプロペラシャフトを通してフロントに置かれた一体式のトランスミッション&フロントデフに伝えられ、さらにもう1本のプロペラシャフトでフロントのデフからリアのデフに駆動力が戻ってくる、という少し複雑な駆動レイアウトを採用していました。たとえて言うなら日産GT-Rのパッケージングを前後逆に置き換えたようなパッケージングとなっていたのです。このように、当時としての最新技術が投入されていますが、ここまでは競技用車両、あるいはそのベース車両としては、まだ想定内でした。
その一方で、RS200がGr.Bカーのライバルたちと一線を画していたのは、エクステリアデザインでした。他のライバル、アウディ・クワトロ、プジョー205T16などは、市販モデルのロードゴーイングカーをベースにしていて、エクステリアデザインも、基本的にはベースモデルのシルエットを持っていました。しかし彼らはGr.Bの“マシン”に生まれ変わる段階で、例えばクーリングのダクトが大きくされたり、新たにシュノーケルが追加されたりした結果、オリジナルのシルエットが所々で破綻していたように思われます。
デザインの雄、カロッツェリア・ギアが関与した戦闘マシン「RS200」
ところがRS200は“マシン”に生まれ変わることを前提にデザインがまとめ上げられていたのです。当時フォードの傘下にあったイタリアのコーチビルダー、カロッツェリア・ギアが担当しており、ベースモデルと競技車両の差があまり感じられませんでした。ですから迫力満々のライバルに交じってラリーのパルクフェルメで憩う、流麗なスタイリングのRS200は、まるで掃き溜めに鶴のような華麗さがありました、というとちょっと言い過ぎでしょうか。
個人的にはランチャ・ラリー037の流麗さが一番のお気に入りでしたが、ワークスのマルティ二・カラーはずいぶんと派手でしたから、フォード・ワークスであるMスポーツの、大人しいカラーリングもお気に入りで「自分で手に入れるんだったら037よりもRS200だなぁ」と、身に過ぎる夢を見ていたことを思い出しました。それもそのはず今でもどちらも価値ありありで、今年の2月にイギリスで行われたシルバーストーンオークションでは、単純シンプルの市販バージョンであるRS200でも2500万円余で落札されていました。
ホワイトボディに紺のストライプが映えるワークスカラーの個体はフランスのマノワール自動車博物館とシュルンプ・コレクション(国立自動車博物館)で、深紅のロードゴーイングモデルは四国は高知県の香南市にある四国自動車博物館で撮影。
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決してベース車は好きなわけじゃない