単に「丈夫だから」ではなくシッカリ愛されている
いまではASEAN域内では最大ともいわれる自動車市場を形成するインドネシア。そのインドネシアの首都ジャカルタでは、かなり昔の日本車が街なかを走っているのを見かけることが意外なほど多い。
宿泊先近くで見かけた、初代アコード・サルーン。1976年に3ドアハッチバックのみでデビューした初代アコードに、1977年にハッチバックベースの4ドアセダンが追加発表された。後ろ姿のみ撮影できたのだが、角型4灯式ヘッドランプを採用していたので、後期型のようであった。
ただズタボロになって乗り続けられているのではなく、非常に手入れも行き届いて、塗装は再塗装したのかもしれないがしっかりしていた。インドネシアも日本同様に島国なので、クルマの保存にとっては、環境は良くないのだが、これだけきれいに乗っていられると、なんだかうれしくなってしまった。
インドネシアでは“バジャイ”と呼ばれる、タイの“トゥクトゥク”のような乗り物として、昨年までは、ダイハツ・ミゼット(大昔の三輪のほう!)が現役で営業していた(今年見に行くと、残念ながら見かけることはできなかった)。
またトヨタの歴史的なASEAN向けモデル、“キジャン”も、モーターショー会場駐車場といった大きな駐車場では、思い思いに手を入れた3代目(1986年~1997年)が数多く停まっていることも珍しくない。
コタ駅近くで見かけたモデル。“MAZDA”というエンブレムがリアに貼ってあったが、特定車種を絞り込むことができなかった。
前出のアコードのように、かなり昔のクルマをレストアしながらも大切に乗り続けるひとがいる一方で、いくつかのモデルを合体させて乗り続けるというひともいる。写真の“MAZDA”なるワゴンもそのひとつかもしれない。過去に見かけたなかではコロナベースで、クラウンの外装パーツを取り付けた“クラコロナ”みたいなクルマを見かけたこともある。
ジャカルタ市内にある、歴史のあるコンベンションセンター近くには、自動車関連業者が軒を連ねる交易市場がある。カーオーディオの取り付けや個人輸入車販売、修理業者など他多種多彩な業者がそこで商売を営んでいる。そのなかには、三菱ギャランΣや日産ヴァイオレットなど、日本でも見かけることがほとんどなくなった、古い日本車がたくさん置いてあった。
ASEAN地域の発展に伴い、乗用車の需要が目立って増えてきたのはここ最近のことなのはご承じのとおり。しかし、古いクルマをきれいにレストアしたり、工夫を凝らして乗り続けるという、“クルマの楽しみ方”という面では、インドネシアのひとたちは日本人以上に趣味のレベルでは奥が深いということを強く感じた。
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