年に一度のお楽しみ、WEC世界耐久選手権の日本ラウンド『富士6時間耐久レース(WEC富士)』が今週末、静岡県小山町の富士スピードウェイで開催される。
いよいよ9月13日金曜から走行開始となる同レースの最新&直前情報を富士のパドックからお届けする。
2024年WEC第7戦『富士6時間耐久レース』9月12日 走行前日の様子
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■ポルシェ963がショートサーキットでシェイクダウン
2週間前にテキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(=COTA)で開催された『ローンスター・ル・マン』と同様に、今週末の『富士6時間耐久レース』はハイパーカー18台とLMGT3も18台の合計36台のマシンによって競われる。
COTAからエントリーリストに変更があったのは2チーム。今大会を欠場するポール・ループ・シャタンに代わってリザーブドライバーのジュール・グーノンを起用するアルピーヌ・エンデュランス・チーム(35号車アルピーヌA424)と、クリスチャン・リードがサンパウロに続き、ブロンズドライバーとしてシーズン2回目の代役参戦を行うプロトン・コンペティション(88号車フォード・マスタングGT3)だ。
プロトンのチームオーナーであるリードは、今週末の富士でシリーズ通算87回目となる出走を果たす予定で、これにより歴代トップのセバスチャン・ブエミ(TOYOTA GAZOO Racing)との差は“2”となる。このランキングに続くのは83回を数えるリヒャルト・リエツ(マンタイEMA)、さらにマイク・コンウェイ(TOYOTA GAZOO Racing)が78回で続いている。
日本ラウンドに向け「ジョタ」というカナ表記の特別仕様のロゴをマシンのフロントカウル部分に掲出しているハーツ・チーム・JOTAは、水曜日に12号車ポルシェ963のシェイクダウンを富士のショートサーキットで実施した。チーム代表のティーダ―・ガスによると、ウィル・スティーブンスのドライブで行われたこの走行テストはCOTAで12号車を悩ませていた電気系統の問題をチェックするためのものだという。
ガスはSportscar365に次のように語った。「オースティンでのレース中に発生した問題の根本を突き止めることができなかったため、シェイクダウンの可能性を探っていたところ、ここのトラック外でシェイクダウンを行うことができた。レース後に問題を見つけたという自信はあったが、それでも確認したかったんだ」
■WEC富士に挑む日本人ドライバーたち
この富士で母国ラウンドを迎える日本人ドライバーは計5名。このうちハイパーカークラスに参戦するのは、トヨタの小林可夢偉と平川亮のふたり。LMGT3クラスでは佐藤万璃音(ユナイテッド・オートスポーツ/マクラーレン)、ジェントルマンドライバーの小泉洋史(TFスポーツ/シボレー)、同じくブロンズレーティングの木村武史(アコーディスASPチーム/レクサス)の3名だ
奇しくも佐藤は、8月にスーパーGTのサポートレースとして富士で開催されたポルシェカレラカップジャパンにスポット参戦するまで、日本でプロドライバーとしてレースをしたことがなかった。彼はこの2レースで5位と3位でフィニッシュしている。
TOYOTA GAZOO Racingヨーロッパのテクニカルディレクターであるデイビッド・フルーリーは、平川がCOTAでのレース当日に体調を崩し数日間、不調が続いていたことを明かした。「最初のスティントの後、彼をクルマに戻すのをためらった。それ以来、彼はあまり体調が良くなかったが、今は回復していると思う」と彼は語った。
なお、COTAのレース中にJ SPORTSのインタビューに答えた平川は食あたりを体調不良の原因に挙げ、レース前に現地で食した寿司にあたった可能性を示唆した。
シーズン第7戦として行われる富士では、サンパウロから3戦続けてミシュランのミディアムタイヤとハードタイヤがハイパーカーチームに供給される。フランスのタイヤ―メーカーは、「予想される気温の範囲をカバーするため」にこの選択が行われたと述べた。今週末、全長4.563kmのトラックがある静岡県小山町は週末を通して30℃前後の気温が予想されている。
■富士で戴冠か、最終戦に持ち越すか
今大会が終わると2024年シーズンは残すところバーレーン8時間のみとなるが、最終戦を待たずに3つのタイトルが富士で決定する可能性がある。
ハーツ・チーム・JOTAの12号車のクルーは、レース結果次第でプライベーターが対象となるFIAワールドカップ・フォー・ハイパーカー・チームのタイトルを確定させることができる。彼らはCOTAで完走を逃し最初のチャンスを逃していた。仮にカラム・アイロット、ウィル・スティーブンス、ノーマン・ナトがシェアする12号車ポルシェ963が今戦でクラス優勝を飾った場合、ランキング2位につける83号車フェラーリ499P(AFコルセ)が同2位に入らなければJOTAがチャンピオンに輝くことになる。
LMGT3クラスではドライバー選手権とチーム選手権の両タイトルが確定する可能性があり、ランキングトップのアレクサンダー・マリキン/ジョエル・シュトーム/クラウス・バハラー組92号車ポルシェ911 GT3 R(マイタイ・ピュアレクシング)がクラス優勝を果たした場合、姉妹車でランキング2位につけるマンタイEMAの91号車のクルーがチャンピオン争いを最終戦に持ち越すには、少なくとも3位に入る必要がある。
しかし、もしマリキンがポールポジションを獲得してボーナスポイントを得た場合、追いかける立場の91号車は2位でフィニッシュしなければならない。
対照的にハイパーカークラスのドライバー選手権とマニュファクチャラー選手権は今週末に決することはない。前者でトップに立つポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ6号車ポルシェ963のクルーがポール・トゥ・ウインを達成し、これを追いかける7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)と50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)の両車がノーポイントに終わったとしても、6号車のクルーは最終戦で逆転が実現しない絶対的なギャップにあと1ポイント足りないためだ。
そのポルシェ・ペンスキーでは今週末、デイン・キャメロンが5号車と6号車のリザーブドライバーに指名されている。
■2024年もサーキット・サファリ開催
プロトン・コンペティションのライアン・ハードウィックは、10日火曜の午後にアトランタを飛び立つ予定だったが、彼が搭乗したデルタ航空の羽田行き旅客機が空港の誘導路で別の飛行機と接触して欠航となったため、日本への到着が遅れた。幸いにもこのインシデントによる負傷者は報告されていない。
人気のサーキット・サファリは、バスに乗りながらトラック上を走るWECマシンを間近で見ることができるイベントだ。日本のレースでおなじみのこの光景は今週末のWEC富士でも開催され、土曜日のフリープラクティス3の直前に12分間のセッションが予定されている。各チームは少なくとも1台のマシンをフィールドに出す必要がある。
今週末の富士ではフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)がサポートイベントに組み込まれ、土曜日にふたつのレースが開催される予定だ。
走行初日となる9月13日(金)11時からフリープラクティス1回目、15時30分からフリープラクティス2回目が行われる。いずれのセッションも走行時間は90分だ。
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