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木製骨格を現代も継承するモーガン プラスフォー。「優しさ」にあふれたノスタルジックカーの乗り味に触れる

掲載 更新 4
木製骨格を現代も継承するモーガン プラスフォー。「優しさ」にあふれたノスタルジックカーの乗り味に触れる

Morgan Plus Four

モーガン プラスフォー

クルマの既成概念を超えたEVの先駆者。テスラ モデルSとモデルXに見る、まったく新しいモビリティ【Playback GENROQ 2018】

継承と革新

1950年の登場以来、モーガンで最も人気のあるプラスフォーが新型へと生まれ変わった。先代からのデザインは継承しつつBMW製2.0リッターエンジンや新プラットフォームを新たに採用することで、先代とはまったく別物のモデルへと進化を遂げた。

「新世代モーガンのスタンダード、プラスフォーを試す」

新世代のアルミニウム接着シャシーによるラインナップを整えつつあるモーガン。昨年はその第1弾としてBMW製のストレート6を搭載したプラスシックスが上陸。今回は新世代のスタンダードともいうべき直列4気筒エンジン搭載のプラスフォーが本邦デビューを果たした。

モーガンはイギリス中央部に位置する風光明媚な丘の街、グレート・マルヴァーンで1909年に誕生した歴史あるメイクスだ。創業から20年ほどは税金の安い3輪車、いわゆるラナバウト専門だったが、36年に同社初の4輪モデル4/4(フォーフォー)をデビューさせている。

4輪、4気筒を意味する4/4は鉄製のラダーフレームとスライディングピラーと呼ばれるモーガン独自のフロントサスペンション形式を固持したまま80年以上の長きにわたって造り続けられたのである。

「その見た目はクラシカルな往年のモーガンそのものに見える」

アルミニウム接着シャシーを与えられた初めてのモーガンは20世紀の終わりにGTレーシングカー用として登場。レーシングの世界で熟成されたアルミ接着のシャシーは後に革新的なエアロエイトとしてプロダクション化されることになった。

現行のプラスシックスやプラスフォーが採用しているCXジェネレーションと呼ばれる単体重量97kgのシャシーはアルミ接着モーガンの第2世代。ちなみにCXとはローマ数字で「110」を表し、モーガン創業110年目の登場を意味している。

モーガンはタイムトンネルから抜け出してきたようなノスタルジックな背景を売りにしているスポーツカーメーカーであり、彼らは自らの価値をよく理解している。258psを発揮するBMW製ターボエンジンを搭載し、4輪独立のサスペンションを内包している新型プラスフォーでも、その見た目はクラシカルな往年のモーガンそのものに見える。

「よく見るとドア開口部やボンネット内の端々に木目が浮き出て見える」

プラスフォーのスタイリングの中で唯一、21世紀を感じさせる部分はヘッドランプ内に仕込まれた横一線のLEDライトだが、ここには「ただクラシカルなだけをよしとはしない」英国人のプライドが見て取れる。

モーガンはシャシーとボディパネルを木骨によって結び付ける往年の手法が有名で、これはシャシーがアルミ接着になった現行モデルにも受け継がれている。木骨はボディと同色にペイントされているので目立たないのだが、よく見るとドア開口部やボンネット内の端々に木目が浮き出て見えるから面白い。

だが昨年試乗したプラスシックスは、そんなモーガンの構造的なノスタルジーをハンマーで叩き壊すほどのインパクトを秘めていた。335psを発揮するBMWのB58ユニット(Z4やスープラと一緒)と1.1トン弱という軽量シャシーの組み合わせは驚異的で、ウェイストゲートバルブを頻繁に唸らせながら、切り裂くような加速が襲ってくる。大胆なパワー変動をしっかり受け止め、ミシリとも言わないアルミシャシーのポテンシャルにも心底驚かされた。

「走り始めの印象は“軽い!”だった」

スポーツカーとしては感動したプラスシックスだが、モーガンにノスタルジーを求めた場合には手放しで喜べない。シックスに乗ったその日から、筆者の関心は4気筒モデルに向けられていた。

プラスフォーの走り始めの印象は「軽い!」だった。プラスシックスに対して、車体全体はもちろんだが、主に鼻先が軽い。おまけにタイヤが細い分だけハンドリングも軽く、乗り心地も柔らかい。ここまでは想像していた通りの感触といえる。

数値的には車重が約60kg差で、タイヤサイズは前225、後245かつ35扁平という過激なシックスに対し、フォーは前後とも205幅で60扁平。攻めまくったシックスに対し、フォーは往年のモーガンファンを瞬時に納得させられる優しさで満たされている。車幅に関してもタイヤの関係で10cm程度フォーの方が狭く、5ナンバー枠に収まっている点も古風な感じがする。

「排ガス規制の関係もあってファイナルが高く設定されている」

一方、あれ? っと思ったのはBMW製のB48、2.0リッターターボエンジンだった。レスポンスが妙に眠いのだ。そこでS+(スポーツプラス)モードにしてみると眠さは払拭されたが、スペックほどのパワー(258ps)は感じられない。これはエンジンの問題ではなく、ギヤ比がとても高いせいだとわかった。

ギヤボックスは8速ATと6速MTから選べ、試乗車は後者だった。そのギヤ比がどれくらい高いのかというと、6速でリミットまで回すと時速400km/hをオーバーするほど。これは急激にパワーが覚醒するターボのアンナチュラルな印象を抑える役目を果たしているのだが、これを「シャキッとしない」と感じる人もいるだろう。

実は排ガス規制の関係もあってファイナルが高く設定されているらしいのだが、筆者はこのまろやかな性格が嫌いではない。もっと直情的な走りを楽しみたいのであればプラスシックスを選べばいいので、モーガンのラインナップの中ではちゃんと棲み分けができているのである。

「新生プラスフォーの登場によって、モーガン110年目の進化は完成した」

アルミ接着シャシーと4輪独立となったサスペンションの相性は上々で、当然のことながら燃費もいい。プラスフォーはまさにツアラーといった印象で、このまま下道でロングドライブに出たくなる。

先ほど「のんびり」と書いたが、それも3000rpmあたりでシフトアップした場合の話で、リミットまで回せば1トン少々の車重と相まって4気筒スポーツカーとしてはトップレベルの速さを誇る。プラスフォーの登場で、モーガン110年目の進化が本物であると確認できた。

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/神村 聖(Satoshi KAMIMURA)

掲載雑誌/GENROQ 2021年 7月号

【SPECIFICATIONS】

モーガン プラスフォー

ボディサイズ:全長3830 全幅1650 全高1250mm
ホイールベース:-
乾燥重量:1013kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:190kW(258ps)/4400rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1000-5000rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後205/60R15
0-100km/h加速:5.2秒
最高速度:240km/h
車両本体価格:1155万円

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みんなのコメント

4件
  • 木造を感じる部分はあるのかな?
  • いい記事ですね。

    批判すべきポイントを述べつつも、私は嫌いではない、と手堅く納める。

    せっかくのオールドスタイル・ライトウェイトオープン。乗るならばギア比をアフターパーツで?セッティングし直したいですね!!!

    モーガンの基本構成からも+6よりも、+4の方が軽快かつ優雅に気張らず走れそうです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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