軽自動車の人気カテゴリーであるスーパーハイトワゴンに流行りのクロスオーバースタイルをまとったダイハツタントファンクロスが登場しました。先行するスズキスペーシアギア、三菱eKクロススペースに、タントファンクロスはどこまで迫ったのでしょうか。萩原文博さんの試乗レポートをお届けします。
人気のスーパーハイトワゴン+流行りのクロスオーバー
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コロナウイルス感染症拡大や半導体不足によって新車の納期遅延が現在も続いています。そんな中、2022年11月の軽乗用車の新車販売ランキングを見てみると、ホンダN-BOXが1万7,474 台でトップとなっています。第2位がダイハツタント、第3位はダイハツムーヴ、第4位がスズキスペーシア、第5位はスズキワゴンRとなっています。スペーシア以外は対前年比100%超えとなっており、新車セールスは好調といえます。
ベスト5の中で軽自動車の主力モデルであるスーパーハイトワゴンの車種がN-BOX、タント、スペーシアの3モデル。しかし、ムーヴの販売台数の中心はムーヴキャンバス、ワゴンRはワゴンRスマイルとリアにスライドドアを採用したモデルなので、実質的には現在人気の軽乗用車は利便性の高いスーパーハイト系モデルとなっているのです。
人気の軽スーパーハイトワゴンには、標準モデルや押し出し系を強めたカスタム系に続いて、ギア感を強めたクロスオーバーモデルという派生モデルが最近追加されています。2023年初夏には三菱デリカミニが登場予定で、2023年は軽スーパーワゴンのクロスオーバーモデルの注目度が高まりそうです。
スーパーハイトワゴンのパイオニア
このムーブメントに先駆けて、ダイハツタントは2022年10月3日にタントカスタムの一部改良を行った際に新時代のアウトドアモデル「タントファンクロス」を追加しました。今回、このタントファンクロスに試乗しましたので、インプレッションを紹介しましょう。
軽スーパーハイトワゴンのパイオニアといえるモデルがダイハツタントで、2003年に登場。圧倒的な室内空間の広さと利便性の高さによって子育て世代のママに支持され、「ママワゴン」とも呼ばれました。2007年に登場した2代目タントでは、センターピラーレス&スライドドアのミラクルオープンドアを採用。この機構は現行型でも継続されており、タントのアイコンといえるでしょう。3代目では便利な両側パワースライドドアを装備。そして4代目となる現行型タントは2019年7月に登場しました。
現行型はDNGAの採用で走りの基本性能が大幅に向上
現行型タントは、「新時代のライフパートナー」をキーワードに、すべての世代のユーザーのニーズに応えた、良品廉価な商品としています。歴代タントの特徴である広い室内、ミラクルオープンドアに加えて、次世代スマートアシストを採用することで、全方位で大幅な進化を遂げました。また現行型タントは、ダイハツの新世代のクルマづくり「DNGA」を採用した第1弾商品となっています。サスペンションや、骨格の部品配置をゼロベースで再構築したプラットフォームをはじめ、新技術を採用した新CVTを新開発。さらに大幅改良したエンジンなどによってクルマの基本性能を大幅に向上させています。
安全装備も進化し、予防安全機能「次世代スマートアシスト」を採用しました。衝突回避支援ブレーキ機能や車線逸脱警報機能などがパッケージングされた予防安全機能「スマートアシスト」をはじめ、運転支援機能「スマートアシストプラス」を加えて全15の機能を採用し、高い安全性能を実現しています。
様々な専用装備でアクティブ感を演出したファンクロス
現行型タントのグレード構成は標準車のタントとタントカスタムの2種類でした。そして2022年10月にタントカスタムの内外装の変更と同時に第3のモデル、タントファンクロスを追加しました。タントファンクロスの外観の特徴は、アウトドアシーンに調和するアクティブ感とタフさを表現したスタイル。力強いヘッドライトやタフさを表現したフロントグリルやバンパー、シルバー加飾、サイドガーニッシュやレジャーシーンで活躍するルーフレールなどを装備しアクティブ感を強調しています。インテリアでも、アクセントカラーのオレンジやシートのカモフラージュ柄でタフさを表現しています。
クロスオーバーモデルであるタントファンクロスは、アウトドアの様々なシーンで活躍する専用装備を採用しています。キャンプや釣りなどで汚れた荷物や濡れた道具を置いても手入れしやすい撥水加工のフルファブリックシート表皮や防水加工シートバック(後席)を標準装備。そして夜間の荷物の積み降ろしの際に役立つラゲッジルームランプと利便性の高いUSBソケットも備えています。
NAとターボ、それぞれに4WDも用意
タントファンクロスは自然吸気エンジンを搭載したファンクロスとパワフルなターボエンジンを搭載したファンクロスターボの2グレード。それぞれ駆動方式に2WDと4WDを用意しており、車両本体価格は172万1,500円~193万500円となっています。今回試乗したのは、ターボエンジンを搭載しファンクロスターボの2WD車で、オプションとして13万2,000円の9インチスマホ連携ディズプレイオーディオ・スマートパノラマパーキングパック付をはじめ、2万2,000円の運転席ロングスライドシートそして、5万5,000円のスマートクルーズパックを装着していました。
ターボエンジンの余裕で高い静粛性を獲得
タントファンクロスをはじめとした、軽スーパーハイトワゴンは軽自動車の中でも車両重量が重くなっています。今回試乗したタントファンクロスターボも車両重量は940kgと約1トン。しかし、最高出力64ps、最大トルク100Nmを発生する直列3気筒エンジンは、スムーズにファンクロスを加速させます。ターボエンジンといえど、軽自動車の場合は信号待ちなどから発進する際にエンジン音が車内に侵入してくるものですが、タントファンクロスはそれを抑えていて、高い静粛性を実現しています。
後席の子どもも安心な揺れの少なさ
全高が1,785mmと高いタントファンクロスターボですが、不快な揺れは非常に良く抑えられています。軽スーパーハイトワゴンのような背の高いクルマは重心が高くなるため、カーブを曲がる際など左右の傾きが大きくなりがちですが、タントファンクロスターボはその傾きが少なく、後席のお子さんも安心して乗れると思いました。165/55R15という軽自動車として大きなタイヤを装着している効果も大きいといえるでしょう。
見た目だけでなく、走行安定性も高めた実力派モデル
タントファンクロスターボはSUVテイストの見た目だけでなく、走行安定性も高めた実力派モデルです。街乗り中心ならば、自然吸気エンジンでも十分です。しかし加速などでストレスを感じたくない、たまにロングドライブもするというのであれば、ターボエンジンがおすすめです。
押し出しを強めたタントカスタムとともに販売も好調
ちなみに、同時に一部改良されたタントカスタムは、国産ミニバンでは定番となりつつある、大きなフロントグリルを採用し押し出し感を強めました。ファミリーカーのミニバンでこのようなフロントデザインが人気なので、軽スーパーハイトワゴンでも同じようなトレンドになるのでしょう。2022年11月の販売台数では2位となっており、タントカスタムのデザイン変更、ファンクロスの追加という戦略は当たったように見えます。
※記事の内容は2022年12月時点の情報で制作しています。
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