開幕前恒例のシーズンラウンチと最後の公式テストを実施するべく、4月16日にドニントンパークへ集結したBTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、改めて年間エントリーの公式ラインアップ全21台を発表。最終セッションではディフェンディングチャンピオンのアシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が最速タイムを刻んでいる。
今季はハイブリッドパワーのさらなる増加や“Quick Six(クイックシックス)”と呼ばれる新たな予選方式の導入など、多くの重要な変更を予定するBTCCだが、グリッドには元WTCC世界ツーリングカー選手権王者ロブ・ハフ(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)が約20年ぶりに復帰しフル参戦を果たすなど豪華なメンバーが集う。
クロフトで開催された2回目のBTCC公式テストは、2台のBMWやフォード艦隊を抑えたヒョンデが最速
さらに全戦が地元ITVスポーツでの生中継に加え、同局公式TikTokアカウントで世界中に配信されるなど、シリーズとしても新たな施策に取り組む。
「おそらく最近の記憶のなかでもっとも忙しいオフシーズンのひとつであり、トラック内外でいくつかのイノベーションや発表が行われた。これにより英国最高峰のBTCCにさらなる興奮がもたらされるだろう」と語るのは、おなじみシリーズを運営するTOCAの最高責任者であり、FIA国際自動車連盟のツーリングカーコミッション理事も務めるアラン・ゴウ。
「我々のグリッドは真に質の高いエントラントを集めることに焦点を当てており、年を追うごとに多くの潜在的なレースウイナーとタイトル候補の数が増え続けている」と続けたゴウ。
「チームから発表されたドライバーのリストは、ハイブリッドによるエクストラの電動ブースト、予選とオプションタイヤの新たなレギュレーションと相まって、非常に競争力のある楽しいシーズンに向けた完璧なレシピに見えるね」
「また、レースシーズン全体がTikTokで世界中にライブストリーミングされることも誇りに思う。これによりBTCCはまったく異なる新たな世代、つまり若くて多様な視聴者に紹介されることになり、彼らの関与は我々のスポーツの将来にとって極めて重要になる。私はいつも新しいシーズンの始まりを楽しみにしているが、今季は少し特別な気分だ。全員の眼前には素晴らしいチャンピオンシップがあると確信している」
■開幕前最終テストはフォードがワン・ツー。タイヤへの追加規定も発表
恒例のフォトシューティングを経て、今季開幕の地ドニントンで始まった最後のテストは、前週のクロフトやブランズハッチ同様に午後の終盤から雨に祟られる生憎のコンディションに。そんななか午前のセッションでは、2022年王者トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)と、僚友のWTCC世界ツーリングカー選手権経験者トム・チルトンが好タイムを記録していく。
しかし午後のセッションで“定位置”を奪い返したのは現役王者で、今季は前人未到5度目の王座に挑むサットンが、こちらもチームメイトのダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)を0.098秒差で退け最速タイムを計時。これでフォード艦隊の2台が総合ワン・ツーで、開幕前最後の準備を締め括った。
さらにチルトン、イングラムのヒョンデ2台を挟み、3台目のフォーカスに乗るダニエル・ロウボトム(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が総合5番手に。
以下、タイトル候補のジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)が後輪駆動最上位につけ、ロブ・ハフ(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)、コリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)、アンドリュー・ワトソン(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)、そしてローナン・ピアソン(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)の続くトップ10となった。
さらにテスト終了後にはタイヤ選択に関する追加のレギュレーション変更が発表され、ソフトコンパウンドのオプションタイヤが、ハードのみ供給のスラクストンを除くすべてのラウンドでふたたび利用可能に。
シリーズ主催者のTOCAは、各イベントのレース1で着順上位10名に対し、次のレース2で使用可能なもっともハードなコンパウンドの使用も義務付け、これにより「週末に連勝することがさらに難しくなる」との見通しを掲げている。
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