頑張れば手が届く2台のFRスポーツの代表を比較
カーボンニュートラルが騒がれる時代ながら、世界にはさまざまなスポーツカーが存在する。しかし、多くは富裕層向けの高価格帯モデルである。「頑張れば手が届くミドルクラス」で、「MTも用意」となると途端に選択肢は限られてくる。日産フェアレディZとGRスープラは、ワールドワイドで見ても貴重な存在だ。
速さは慣れるが、楽しさは永遠! MTはクルマ好きの名パートナーである【CD取材ノート】
2台はFRレイアウト/6気筒ターボエンジン/2シーターと共通点が多い。だが、その生い立ちと歴史はちょっと異なる。フェアレディZは1969年に「アメリカ市場のニーズに適した新しいスポーツカーを作る」という思いで誕生。それ以来、約50年にわたり進化・熟成を積み重ねてきた。途中で存続の危機もあったが、「日産にはなくてならない存在」と判断され販売・開発を継続。現行モデルは2022年に登場した7代目だ。「モビルスーツ」と形容されるGT-Rに対して「ダンスパートナー」のキャラクターを備える。
型式名、RZ34からわかるように基本的な骨格は旧型(6代目)を踏襲、エンジンはスカイライン400R用がベースである。正直にいって、ニューモデルとしての「飛び道具」はない。だが開発陣は知り尽くしたリソースを最新の解析技術でリファイン。その結果、「1+1=3」レベルに発展している。
スープラは1978年にセリカの上級モデルとして登場。当初はGT要素が強かったが、世代を重ねるにつれスポーツ路線を強め、1993年に登場した4代目はニュルブルクリンクで鍛えられたことでも有名だ。しかし、2002年に排出ガス問題を理由に生産終了。その後17年の空白期間を経て、2019年に5代目として復活を遂げた。スープラはトヨタのスポーツブランド、GRのフラッグシップである。
開発は技術提携関係にあるBMWと共同で行われた。パワートレーン、プラットフォームなど基本部分はBMW ・Z4と共有する。だが、開発は完全に別で、走りの味付けはトヨタ主導で行われている。開発アプローチがまったく異なる2台に共通するのは「スポーツカー継続」のために、従来の枠にとらわれない手法と工夫を取り入れていることだ。500万~700万円クラスのスポーツカーをビジネスとして成立させるには、ここまでやらなければならないのである。
両車とも実に魅力的。Zは伝統、スープラは挑戦がキーワード
乗ってみるとどうか? GRスープラは2リッターターボの4気筒モデルもラインアップしているが、ここでは伝統の6気筒エンジンを搭載する「RZ」に特化させていただく。
パワートレーンはフェアレディZが3リッター・V6ツインターボ(405ps/475Nm)、GRスープラは3リッター直6ターボ(387ps/500Nm)。どちらも現在では貴重なピュアな内燃機関を搭載。最新ターボらしい実用域の扱いやすさは共通。
回すとZは高出力ターボらしい野性味あるフィーリング、GRスープラは最新ユニットらしく洗練され、中・高回転でパンチが増すメリハリのある特性を備える。
トランスミッションはどちらもこのクラスでは貴重となる6速MTを用意する。正確性と操作性など機能面は甲乙つけがたい。フェアレディZは硬めで「カチっ」としたフィール、GRスープラは軽めで「スコっ」としたシフト感と、エンジンの特性と合ったキャラクターだ。また、両車ともATの実力も侮れない。「絶対的な速さ」という意味ではどちらもMTを上回る実力を備えている。
フットワークは両車、FRらしく後輪で蹴り出す感覚、コーナリングの一連の流れに連続性がある。スポーツカーにしては快適性が高いなど共通する部分もあるが、走りの方向性は意外と異なる。
フェアレディZはスタビリティがすこぶる高く、そう簡単にはテールスライドはしない。FRスポーツを長きに渡り作り続けてきた日産らしい「最後まで裏切らない」セットアップである。一方、GRスープラは前荷重を意識したドライビングを心がけると意外と容易にテールスライドに持ち込める。これは「FRらしい挙動変化を楽しんでほしい」というGRの考えに基づく意図的なセットアップだ。
走りを見ていくと、フェアレディZは歴代モデルと変わらないGT寄りのスポーツカー、GRスープラは歴代モデル以上にリアルなスポーツカーを目指していることがわかる。「伝統」のフェアレディZ、「挑戦」のGRスープラといったイメージである。
結論をいうと――2台の違いは「優劣」ではなく「個性」だ。直感的に「ビビッ」と来たほうを選べば正解である。どちらも高出力FRスポーツという共通項はあるが、ユーザーがバッティングすることは少ないだろう。
歴史を積み重ねてきたフェアレディZには独自の味わいがあり、それが「ファンからの熱烈な支持」に繋がっている。一方、GRスープラはBMWとの共同開発に対してネガな印象を持つ人もいるが、最新のスペックと理想の基本骨格を手に入れている。間違いなくいえるのは、お互いの存在が「刺激」になっている事だろう。そう考えると、実はこの2台はライバルではなく「同志」 なのかもしれない。
日産フェアレディZ主要諸元
グレード=バージョンST
価格=6MT/9SAT 646万3400円
全長×全幅×全高=4380×1845×1315mm
ホイールベース=2550mm
トレッド=フロント:1555/リア:1565mm
車重=1590(AT:1620)kg
エンジン=2997cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=298kW(405ps)/6400rpm
最大トルク=475Nm(48.4kgm)/1600~5600rpm
WLTCモード燃費=MT:9.5/AT:10.2km/リッター(燃料タンク容量47リッター)
(市街地/郊外/高速道路=MT:6.4/9.9/11.6/AT:6.6/10.9/12.6 km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:255/40R19/リア:275/35R19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最小回転半径=5.2m
トヨタ・スープラ主要諸元
グレード=RZ
価格=6MT/8SAT 731万3000円
全長×全幅×全高=4380×1865×1295mm
ホイールベース=2470mm
トレッド=フロント:1595/リア:1590mm
車重=1520(AT:1530)kg
エンジン=2997cc直6DOHC24Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=28kW5(387ps)/5800rpm
最大トルク=500Nm(51.0kgm)/1800~5000rpm
WLTCモード燃費=MT:11.0/AT:12.1km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
(市街地/郊外/高速道路=MT:7.6/11.3/13.3/AT:8.2/12.5/14.9 km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:255/35ZR19/リア:275/35ZR19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最小回転半径=5.2m
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