現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > プアマンズポルシェと言われた「968」が7500万円! 理由は世界に1台しかないプロトタイプ「968ターボS」でした

ここから本文です

プアマンズポルシェと言われた「968」が7500万円! 理由は世界に1台しかないプロトタイプ「968ターボS」でした

掲載 13
プアマンズポルシェと言われた「968」が7500万円! 理由は世界に1台しかないプロトタイプ「968ターボS」でした

1台しか作られていないプロトタイプ

2023年8月17日~19日、RMサザビーズがアメリカ・モントレーで開催したオークションにおいてポルシェ「968ターボS プロトタイプ」が出品された。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。

ポルシェ「928GTS」が約3900万円! 2オーナーに希少なMTモデルと走行距離3万キロ弱というコンディションが影響した模様です

当初の落札予想価格は約8700万円~1億1600万円

「924」に始まるポルシェの4気筒FRシリーズは、その比較的リーズナブルな価格設定と、アメリカ市場を中心とする好景気の影響で、大きな人気を呼んだ。とりわけ1983年に生産を開始した「944」は、924よりも大きく高性能で「928」よりもコンパクトなモデルとして企画され、ボディデザインは924のレーシングバージョンとして誕生した924カレラGTをモチーフとした、非常にダイナミックなフィニッシュとなっていたのが特徴だった。ちなみに搭載された直列4気筒エンジンは、すべてがポルシェ製でありベースは928用のV型8気筒ユニットの片バンクだった。

その944は途中でオーバー200psのスペックを誇るターボやターボS、あるいはさらにサーキット走行にフォーカスしたS2やS2クラブスポーツなどの人気モデルを生み出し、1992年をもって生産を中止。ポルシェはその後継車として、ここで紹介する「968」を生み出したのだ。

最初に主催者のオークショネア、RMサザビーズのカタログを見ていて思わずこの1992年式968ターボSのページで手が止まったのは、彼らが事前に設定した予想落札価格が60万~80万ドル(邦貨換算約8700万円~1億1600万円)という目を疑うかのような数字であったからだ。

4気筒FRポルシェの中では最も世代が新しい968

たしかに968は、4気筒FRポルシェの中では最も世代が新しく、かつて924のデザインを手がけたハーム・ラーガイがボディデザインのリニューアルを担当。1991年にリリースされたスタンダードモデルから240psを発揮する3Lの直列4気筒エンジンを、ポルシェ特許の可変バルブタイミング機構、バリオカムを吸気側に組み込んで搭載するなど積極的なエンジニアリングが展開されていた。

1992年にはカブリオレも追加されるが、翌1993年になるとクラブスポーツやターボS、ターボRSといったバリエーションが続々と誕生。しかし今回の出品車とは合わない情報が出てくる。出品された968ターボSは1992年式なのだ。しかもポルシェは、このシリアルナンバー#800412がその年に出荷されたことを否定してはいない。

その理由は968ターボSの開発プロセスにあった。そもそも968ターボSは、ヨーロッパ市場専用のグランスポーツ・プログラムのための限定車として100台の生産を計画したモデルだった。フロントに搭載されたエンジンは、304psにまで最高出力を高めた3Lの直列4気筒ターボ。

エンジンは強化型の6速MTに接続され、ここからトルセン式のリミテッドスリップデファレンシャルに伝わり後輪を駆動するシステムだ。0-96マイル加速は5秒以下。スポーツ・シャシー・パックが標準装備され、ブレーキは「911ターボ3.6」と共通である。

ポルシェの正規代理店でレストアを実施

エクステリアでは、オリジナルの3ピース軽量スピードライン・ホイールとツインフード・スクープ、大型アジャスタブル・リアウイングなど独自のディテールが採用されている。インテリアも軽量バケットシートの装備など、スポーティでかつ機能的なデザインに徹していることが分かる。

だが残念ながら、968ターボSは、高価格を理由に、1994年に13台のプロダクションモデルと、1台のプロトタイプのデリバリーを終えたところで生産が中止される。そう大方の予想がつくとおり、今回モントレー・オークションに姿を現したのは、その1台のみ1992年に生産されたプロトタイプの968ターボSで、完成後はシリーズ生産のためのホモロゲーションモデルとして使用されたほか、開発期間中はポルシェに保管されプレスカーとしても使用された。

ボディカラーはいわゆるスタンダード・イエローだが、ポルシェには1994年まで量産車にこのカラーは設定されていなかったため、装備タグには「ペイント・トゥ・サンプル・コード・98」の表記がある。

ターボSの開発プログラムが終了すると、968ターボSはパリ・ダカールで何度もの優勝経験を持つスヴェン・クアントに売却された。氏は約30年間、968ターボSプロトタイプのオーナーであり続け、当初は日常的な移動手段として使用していたというが、のちにこのクルマを保存する必要性が明らかになったため、ポルシェの正規代理店でレストアを実施。

希少なオリジナルのスピードライン製ホイールが装着された状態であり、またサービスブックや保証書など大量の書類とともに出品された968ターボS。その落札価格は予想落札価格にはわずかに届かなかったものの、51万6500ドル(邦貨換算約7500万円)に達したという。ポルシェの歴史を物語るひとつの例として、それは非常に貴重なモデルといえるのではないか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web

みんなのコメント

13件
  • 正真正銘のポルシェをプアマンズポルシェと呼ぶのは変じゃね?
  • しかしプアマンズポルシェっていっぱいあるね
    RX7とかフェアレディZとか
    968もそう呼ぶのか?ポルシェだからいいじゃないの
    968でプアマンズなら914はどうなるの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550.02800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
ターボの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550.02800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村