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2度のセーフティカー出動にも動じず、ルーベンスの愛息“ドゥドゥ”が11戦目の初優勝/SCB第4戦

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2度のセーフティカー出動にも動じず、ルーベンスの愛息“ドゥドゥ”が11戦目の初優勝/SCB第4戦

 6月16~18日に高速トラックのカスカバルで争われたSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”第4戦は、レース1をファイナルラップの逆転劇で制したダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が今季2勝目を記録。続くレース2では、前戦タルマで大クラッシュを喫して週末から早期離脱した、王者ルーベンス・バリチェロの愛息“ドゥドゥ”こと、エドゥアルド・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)が感動的なシリーズ初勝利を挙げる結末に。本格デビューわずか11戦目での偉業を成し遂げ、見守った父を感涙させるSCB史上76人目のウイナーに名を連ねた。

 国内随一のハイスピード・レイアウトを誇るアウトドローモ・インテルナショナル・ジルマー・ビューは、レースウイークに入り気温10度をわずかに超える程度と、初日の金曜は小雨混じりの肌寒い週末に。それでも再舗装と新たなゼブラゾーンが設定されたトラックでは、最初の走り出しから上位16台が0.5秒圏内に入る、いつもどおりの接近戦となった。

シリーズ発祥の地でカミーロが最多勝記録更新。バリチェロも19番手から大逆転勝利/SCB第3戦

 明けた土曜予選もQ1から全30台中29台による秒差圏内の争いが繰り広げられると、フェリペ・フラガ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)がシリーズ復帰後初、3連覇王者セラを退けてのキャリア通算9度目のポールポジションを射止めた。

「ここカスカバルでポールポジションを獲得できたのは本当に特別なこと。このトラックで好成績を収めるのはいつだって難しいし(第3戦の)タルマでは辛くも勝利を逃したが、僕らは一歩一歩進化しているんだ」と、シリーズ最年少チャンピオン記録を保持し、今季加入したブラウ・モータースポーツに初の最前列をもたらした27歳のフラガ。

「この初ポールが、今後チームにとって数多く刻むことになる記録の最初の一歩になるといいね。僕らはすでに表彰台を獲得しており、今回ポールポジションを獲得した。残すは……競争力があることを願っている」

 しかし気温が18度まで上昇し、快晴に恵まれ強い日差しが降り注いだ日曜の気候が、フラガの願いをわずかに狂わせる状況に。

 現地11時10分開始のレース1で前半をリードしたポールシッターだったが、義務ピット後のセカンドスティントでは、フロントロウを分けたセラが猛チャージを開始。29周目のファイナルラップで2016年王者を捉えて、逆転での今季2勝目、キャリア通算23勝目を手にした。

「パンクのトラブルに見舞われた2戦を経て、直球勝負のレース1でまた勝ててうれしい。走り出しのFPから競争力がなく、最終的にミスをしてクラッシュさせてしまったが、そこからクルマを完璧に仕上げて勝利を収めた僕らのチームこそ、本当のウイナーで称賛されるに値する」と控えめに語ったセラ。

■息子の初勝利に“鉄人”も男泣き

 続いて前戦トップ10リバースで争われた同じく30分+1ラップ勝負のレース2は、最初の数周こそポール発進のギリェルメ・サラス(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)がリードを維持したものの、その後は2回のセーフティカー出動がレースを動かすことに。

 最初はセルジオ・ヒメネス(スクーデリア・キアレリ/トヨタ・カローラ)とリカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が絡んだアクシデントで。続いて王者ルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)がコース上のバトルでダメージを負い、トラックサイドにマシンを止めたことから、勝負は再度の仕切り直しに。

 リスタート以降はルーカス・フォレスティ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が首位に立ち、セザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)とブルーノ・バプティスタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が追う展開に変わると、全員が義務ピットを消化した段階で予想外にも“ドゥドゥ・バリチェロ”がトップを奪い、シリーズ5冠の“帝王”カカ・ブエノ(KTF Sports/シボレー・クルーズ)が追随する構図となる。

 若干21歳の実質的ルーキーはここから優れたパフォーマンスを発揮し、後続の大先輩を相手にマージンをコントロール。帝王ブエノとラファエル鈴木(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)を退け、自身が2021年にSCBデビューを飾った地でセンセーショナルな勝利を収めた。

「僕はとても幸せだ。こんな僕を信じてくれた皆に感謝しているし、才能を信じ、ここに連れてくるために一生懸命に働いてくれたチーム代表や、父にも感謝を捧げたい」と、前戦のクラッシュ後には腎臓結石の診断で外科手術を受け、この週末に向けては悪天候のためフライトがキャンセルされたことから、陸路10時間を掛けて現地入りしていたドゥドゥ。

「僕は勝利に向け戦略を加速させ、機能させることに完全に集中していた。 同時にたくさんのことを考えなければならないし震えはしなかったけど、最終ラップになって初めて自分が勝てると悟った。もし何カ月か前に、誰かがここでのレースに勝つだろうと僕に言ったなら、僕自身がそれを信じなかっただろうね(笑)」

 その息子がゴールラインを越える前から、すでに感情的になっていたディフェンディングチャンピオンは、頼もしいチームメイトの勝利が確定した瞬間、喜びを爆発させた。

「彼には多くの価値があるし、そのためにあらゆるものと戦ってきた。僕もここで一緒に泣いていられるなんて……本当に幸せだ」と男泣きのルーベンス。

 ファンにとっても、バリチェロ家にとっても感動的な週末を終え、レース1で3位表彰台、レース2で8位を記録した2021年チャンピオンのガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が新たな選手権リーダーに立ち、先行を許したチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)と僚友ラモスが追う展開となった2023年のSCBシーズン。続く第5戦はふたたびサンパウロに戻り、7月7~9日のインテルラゴスで争われる。

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