「救急車が改良された」といっても、お世話になる機会が少ないクルマという性質もあって、ほとんどの人にとっては身近だけれど意外と知らない存在だろう。
実は、トヨタ ハイエースのスーパーロングボディをベースとした「トヨタ救急車」は、2020年4月にハイエースと同時に一部改良されている。
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トヨタ救急車の一部改良に伴い、ハイエーススーパーロングを救急車に仕立てる架装を手掛けているトヨタカスタマイジング&デベロップメントがデモカーを新調。
今年1月に同車を出展予定だった「救急資器材展示会」は、コロナ禍によりイベントは中止となってしまったが、TCDはトヨタ救急車のWeb展示会というサイトを立ち上げている。
そこで本稿では一部改良されたトヨタ救急車の改良点やベースとなっているハイエースとの違いなどを改めて紹介したい。
文/永田恵一 写真/TOYOTA
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■トヨタ救急車の概要と改良ポイントは?
2006年4月登場のトヨタ救急車。2020年4月に一部改良されたモデルが登場した
トヨタ救急車の現行モデルは、ハイエースが200系と呼ばれる現行型にフルモデルチェンジされた約1年半後の2006年4月に登場した。
冒頭に書いたとおり、現行トヨタ救急車は現行ハイエースのスーパーロングボディがベースで、先代モデルに対してベース車の変更もあり、患者室の広さやスライドドア開口部が大幅に広くなった。これによって使い勝手が劇的に向上した点が最大の改良ポイントだ。
エンジンは、2WDと4WDがあるハイエースのスーパーロングボディと同様の2.7L直4ガソリンで、トランスミッションは今回の一部改良まで4速ATを組み合わせていた。
なお、トヨタ救急車がベースとなるハイエースから約1年半遅れでフルモデルチェンジされたは理由、救急車もトヨタ車でいえばクラウンのパトカー仕様であるクラウンパトロールカーやセンチュリー同様に「故障することが許されない」という使命があるクルマだからだろう。
というのも、クラウンパトロールカーは、その時のクラウンの品質がより安定するマイナーチェンジ時に追加され、現行センチュリーもハイブリッドシステムを含め実績あるレクサスLS600hをベースにしており、トヨタ救急車のフルモデルチェンジがハイエースの約1年半遅れだったのも2台と同じ理由からだと思われる。
標準装備となった衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティーセンス」
2020年4月一部改良の主なポイントは以下のとおり。
・「デジタルインナーミラー」(カメラ式ルームミラー)、クルマを上から見たような映像をモニターへ表示する「パノラミックビューモニター」の採用により、視認性が向上(救急車はルームミラーからの情報が希薄という事情もある)。この改良は同時に一部改良されたハイエースも同様だ。
・ATを4速から6速化、VSC(横滑り防止装置)&TRC(トラクションコントロール)と衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティーセンス」の標準装備化。
・サイレンを鳴らしている際に救急車の存在を装着している周囲の車両へ通知する「ITSコネクト」の設定
3点のうち上2つの改良は、ハイエースでは6速AT化が2014年12月の一部改良で、安全装備は2017年11月の一部改良で加わっているが、走行関係だけにトヨタ救急車では前述した「絶対に限りなく近い信頼性の確保」もあり、この時期になったのだろう。
■気になるトヨタ救急車の価格は?
写真はトヨタ救急車“ハイメディック“(4WD)/価格:1189万8000円
ちなみにトヨタ救急車の価格は、標準(乗車定員9人)で2WD/564万5000円、4WD/595万3000円。ハイメディック(乗車定員8人の高規格仕様)だと、2WD/1159万円、4WD/1189万8000円となっている。
また、トヨタ救急車には、今年度から以下の新たなオプション品が3つ加わっている。
●アクティビーコン
LEDを使ったパトライトの点滅モードを、通常の「ノーマル」、円を描くようにパトライトを点滅させ周囲に救急車の存在をより強くアピールする「ハイパーモード」、住宅地などでの作業の際に周囲に配慮するためパトライトを優しいゆっくりとした点滅とする「ソフトモード」としたもの。
●eカプセル
新型コロナウイルスへの対応もあり、ストレッチャーに容易に装着できる単回使用の患者用ビニールカバー付で換気もおこなう簡易アイソレーター。
入手しやすい日本製である点や車載前の電源は入手しやすい乾電池を使う点などが特徴で、eカプセルは2020年6月の発売後、11月に装着できるストレッチャーを拡大したver.2に改良されている。
●QQスクリーン
プライバシー保護などのため救急車にカーテンは必要な装備だが、布製のカーテンは作業中の破損や衛生面といった問題や洗濯の手間もあり、現行ハリアーの調光パノラマルーフのようにスイッチで即曇りガラスになるというもの。
今年度加わったオプション品は3つともネーミングに洒落っ気があり、このことには「ハードな現場だけに、作業後のなごみにでもなれば」という開発スタッフの心遣いのようなものを感じる人もいるかもしれない。
■ベースとなるハイエースと救急車はどう違う?
トヨタ救急車のベース車両であるハイエース。室内の作業スペース確保のため、救急車はハイエースよりもわずかに大きくなっている
パトライトや医療機器といった救急車としての部分を除くと、ハイエースに対してトヨタ救急車は以下の差別化が図られている。
●ボディサイズ&車重
ハイエース スーパーロングボディの全長5380mm×全幅1880mm×全高2285mmに対し、トヨタ救急車は全長5600mm×全幅1895mm×全高2490mm(一例)に拡大されている。
理由は、全長がリアバンパーに付くステップぶん、全幅がハイエーススーパーロングボディに対し小回りが効くようタイヤの切れ角を拡大、そのぶん外側に出たタイヤを収めるためのフェンダーモール分、全高は作業の際の室内高確保のためだ。
車重もハイエーススーパーロングバンが2WD/1860kg、4WD/1970kgなのに対し、トヨタ救急車は一例で2580kgと架装分で相当重い。
●右側にもスライドドアが付く
ハイエーススーパーロングボディは商用バン、10人乗りワゴン、小型バスのコミューターともにスライドドアは左側のみだが、トヨタ救急車には左側に加え乗降のためではなく医療機器のメンテナンスなどという目的で右側にもスライドドアが付く。
●サスペンションの変更
医療機器は患者室の右側に集中するのに対応し、サスペンションのスプリングの硬さの変更など手が加えられている。
* * *
調べてみると救急車は想像以上に丹精込めて造られているクルマである。
加えて、救急車は公共の高い車両だけに、パトライトを点滅させている救急車を運転中に見た際には「自分が乗っていたら」という気持ちになって、とにかく救急車を先行させる動きを心掛けてほしい。
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