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【ホンダ軽トラック】次世代、「Nトラック」としての復活可能性は低く Nバンとは別の方向性

掲載 更新 19
【ホンダ軽トラック】次世代、「Nトラック」としての復活可能性は低く Nバンとは別の方向性

アクティ・トラック生産中止 ディーラー発のニュース

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】アクティ・トラック スズキ/ダイハツのライバル&Nバンとの違い【比較】 全48枚

「アクティ・トラックが来年(2021年)6月に生産中止になることが決った」

このニュースが公になったのは、2019年11月。ホンダ本社のホームぺージではなく、全国各地のホンダディーラー関係者がSNSやユーチューブで個人的な見解として「(国内営業部から)ディーラー向けに連絡が来た」というかたちで伝えた。

それ以降、ネット上では「なぜ、アクティ・トラックが廃止されるのか?」という切り口の記事が出るたびに、ヤフーニュース・アクセスランキングで上位になるなど、消費者のみならず自動車業界関係者を含めて世間からの注目度が高さを証明してきた。

アクティ・トラックの売りは、ホンダらしい「走りの良さ」だ。

ホンダのウェブサイトでの商品紹介ではアクティ・トラックの特徴としては、まずは「空荷時も安定感があって、静かな走り。ホンダ独自のミドシップ・リアドライブ方式」を挙げている。

後輪軸の少し前にエンジンを配置したいことで、車両の前後バランスの良さと、室内へのエンジン音の進入を減らすことで、競合であるスズキ「キャリィ」やダイハツ「ハイゼットトラック」との差別化を図ってきた。

実際、筆者(桃田健史)の知り合いで農業に従事する方々からも「アクティは走りがいい」という声を聞いている。

そんなアクティ・トラックが廃止される。復活の目途は立っていないのだろうか?

軽トラ縮小 ハイトワゴン/ミニSUV主流

ホンダがアクティ・トラックを生産中止することは、軽トラック事業からの撤退を意味すると思われるかもしれないが、現時点でホンダは撤退を明言しているわけではない。

そのうえで、アクティ・トラックという1モデルの生産中止とする理由は大きく2つあると、筆者はみる。

1つは、軽トラック市場の縮小だ。軽自動車市場は、「Nボックス」「タント」「スペーシア」などハイトワゴンが主流に。

これからは「ハスラー」「タフト」などのミニSUVのモデルが増えることが期待されており、日本市場全体の4割を占める軽自動市場がさらに拡大する可能性がある。

一方で、軽トラック市場は縮小傾向が止まらない。

そもそも軽自動車は、戦後の復興期から高度成長期にかけて、廉価な商用車として市場導入された乗り物だ。

なかでもダイハツ「ミゼット」の成功によって、軽トラック市場の未来が一気に開けた。そうした軽貨物車両が、1970年代には軽自動車市場の約半分を占めていた。

それが、近年では約1割まで減少している。軽自動車は商用車から、乗用車へと、存在意義が大きく変わったのだ。

現在、軽トラックのターゲットユーザーは、荷台に農産物や小型農耕器具を積む農業従事者が主流だ。その他、土木や電気工事などの事業者向け、そして一部には個人の趣味用として購入する人もいる。

Nバンとは別の方向性 Nトラックあり得ず

もう1つ、アクティ・トラック生産中止の理由は、Nバンの存在だ。

ホンダの軽自動車戦略の中心はNシリーズだ。Nボックス、Nワゴン、Nワン、そしてNバンという現在は4モデル化している。

2011年12月発売から2019年11月までNシリーズ累積販売台数は250万台を突破。主軸であるNボックスは2019年単年で25万3000台と売り上げ、登録車を含む全モデルで第1位となった。

2018年7月、Nシリーズに新たに加わったNバンの報道陣向け試乗会で、ホンダ関係者とホンダの商用車の在り方について意見交換した。

ホンダ側が強調したのは「Nバン=商用車」という位置付けではない、という点だ。Nバンは、あくまでも人々の多様な生活に対応するためのアイテムとして、商用車の常識を変えるために商品企画された。

低床でフルフラットになるシートアレンジは、軽トラックの要素をも組み込んでいる。そのため、Nバンをベースとした、Nトラックという発想には結びつかない。

つまり、アクティ・トラックの次期モデルとして、Nトラックが登場する可能性は極めて低いと考えるべきだと思う。

ただ、アクティ・トラックがまったく別の領域で復活する可能性も否定できない。

その背景にあるのが、2020年4月1日付での大規模なホンダ組織改編と、改編後も研究所内に残るライフクリエーションセンターの存在である。

「技術は人のために」 次世代モデルに期待

本田技研工業(以下、本社)と本田技術研究所(以下、研究所)が事実上、合併する。ホンダ史上、最大級の組織改編である。

1960年に開業した研究所は、ホンダの基礎研究、デザイン、量産開発を本社から発注されるかたちで、独立企業として運営されてきた。

世界的にみて、こうした体制を敷く自動車メーカーは稀だ。

だが、近年は市場動向や変化が激しく、本社の主導力を強化したモノづくり体制が、ホンダとしても必然となった。2019年4月には二輪事業を本社統括とし、その流れが今回、四輪事業にも採用された。

一方、農耕器具や発電機など、パワープロダクツ領域とロボティクス領域を融合させ2019年4月に発足したライフクリエーションセンターは研究所内で存続する。

筆者は2019年11月、本社でライフクリエーションセンター幹部にインタビュー取材した。

そのなかで、除雪や農耕など、人の暮らしに必要不可避な領域に、ホンダらしい新しい技術をビジネスモデル化するとの将来展望が出た。

ハンドル型電動くるまいす「モンパル」と、アクティ・トラックの生産が中止される中、こうした生活密着型モビリティの次世代モデルはライフクリエーションセンターから発案されるのだ、と感じた。

時期は不明だが、アクティ・トラックはまったく違った姿で再登場するかもしれない。

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みんなのコメント

19件
  • NVANでは対応できない冷蔵、冷凍の箱やダンプ、パワーゲート等の架装車の需要を補完するのがアクティだった。昔、いすずが出してたFF小型トラックのマイパックがあったが、FF低床軽トラを出すのも有りかとは思う。
  • くそサンバーは、オイル漏れが情けない!
    停めるときは、新聞紙をひいてる
    片付ける時にほんとに情けなくなる。
    ガレージにオイルたらしてコンクリ
    ートを打ち直しの損害賠償を求めら
    れたらどうしょう?
    夜も眠れない!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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