カーボンニュートラル宣言で残る期間をどう楽しむか
政府のカーボンニュートラル宣言で、2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロとするための政策のひとつとして乗用車対策が含まれた。これにより、このままでいけば既存のガソリン車、ディーゼル車を楽しめる時間は限られたものとなることは間違いない。内燃機関の縮小傾向はアフターパーツに業界にも影響を与え、とくに旧車をメインに取り扱うショップは死活問題である。
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今後は2050年に向けて緩やかにパーツの生産量は減り、旧車に乗り続けることは年々難しくなることが予想される。つまり乗れなくなることを悲観するのではなく、残りの期間を満喫するためにはどうしたらいいか、と切り替える時期にきているのだ。
技術革新で部品の製廃問題は解決し費用次第で修理は可能
では「古いクルマを含めて長く乗り続けることは可能なのか」と問われれば「フルオリジナルにこだわらなければ十分可能だ」という答えになる。
ここ10年で技術の進化はすさまじい。リバースエンジニアリングの普及でパーツの開発スピードは飛躍的に早まり、最新の設備を使えば手に入らなくなったパーツを生み出すことも容易になった。キャブがなければインジェクション化すればいいし、コンピュータの不具合もフルコンに置き変えれば解決できる。
パワステやエアコンなどの快適装備も後付けは難しくなく、エンジンが壊れれば別のエンジンを載せればいい。こうしたレストアとモディファイを掛け合わせた手法は「レストモッド」と呼ばれ、旧車界のスタンダードになりつつある。
率直にいえば純正部品の製造廃止は今や大きなハードルではなく、下世話な言い方だがお金を積めばなんとかなるのが現状だ。もちろん新旧ともに人気車種であれば、リプロ製品を含むアフターパーツ、中古部品などが豊富にあるので費用が抑えられ、対してレア車であれば費用がかさむ。その格差が広がる可能性はある。
希望に合う店探しが重要! 旧車は壊れるという感覚も必要だ
では、一番の課題は何かといえば、自分が望むカスタマイズをしてくれるお店探しだ。旧車の場合、ディーラーはほぼあてにならないし、全国に星の数あるショップも得意不得意があり、すべてを1店舗で賄えるかといえば、そうはいかない可能性が高い。
ただ、昔より恵まれているのはインターネットやSNSの普及で、自分に合うか合わないかは別として、希望に近いショップを見つけることが容易になったこと。もちろん、初めてのお店に出向くのは少しハードルは高いけれど、本気で愛車に乗り続けたいのなら頑張れるはず。
もちろん、最終的には人対人の付き合いなので、波長が合わないと感じたら早急に立ち去る勇気も必要。こうした手間暇を面倒臭いと感じるなら、多額の勉強代を支払うか、旧車に乗ることは諦めたほうがいいかもしれない。また「旧車は壊れるもの」という感覚も長く乗る秘訣のひとつだ。
エンジン移植は大変! 難易度やO/Hの有無で予算は変わる
最後に「エンジンスワップ」について。旧車で作業してもらうことが多い、古いキャブ仕様のエンジンから世代の新しいインジェクションエンジンに載せ換える場合を例に解説しよう。
エンジン本体以外に必要なのは主にエンジンマウント、トランスミッション(既存のトランスミッションを生かすにはベルハウジング加工、トランスミッション本体も移植する場合はプロペラシャフトの加工などが必要)、専用のドライブシャフト、エキマニ、コンピュータ(移植するエンジンとセットになったコンピュータを使うのか、それとも社外のフルコンにするのかで予算は変わる)、仕様によっては冷却系などの補器類も追加で必要といったところ。これに公認車検代が加味されるのが一般的だ。
費用は程度のいい中古エンジンを使った軽自動車で50万円~。スポーツエンジンへの載せ替えはエンジン本体の価格で左右されるが150~400万円。搭載の難易度、オーバーホールの有無、必要パーツ点数で大きく変わる。旧車の場合はゴム関係の補器類が経年劣化で傷んでいる可能性があり、交換するのが一般的なのでパーツ代が上乗せされる。それでもエンジン脱着と同時に行うため、取り付け工賃が抑えられるので費用対効果は高い。
エンジン移植と同じ予算ならO/H&フルコン化もオススメ
上記で説明したエンジンスワップのメリットは、古いモノから新しいモノへ載せ換えることによる信頼性向上、パーツ供給の不安から解消されることなどもあるが、一番は高性能化である。
例えノーマルであっても、より新しいエンジンに載せ換える(例えば日産のL型からRB型、トヨタの7Mから2JZなど)だけでパフォーマンスアップが図れ、特別なメンテナンスが必要ないなど、長く乗り続けるためのひとつの手段としてはありだと思う。
ただ、旧車で同じ費用をかけるのであれば、エンジンオーバーホールを施した上で、インジェクション化(フルコン化)するのもあり。パフォーマンス面では劣るかもしれないが、配線を引き直しコンピュータでエンジンを正確にマネージメントすることで、旧車特有の乗りにくさ、気難しさからは解放される。最近はキャブ風のルックスを持つスロットルも設定されているので、旧車の雰囲気を残しつつ高性能化することも可能だ。
究極は愛知の「ロッキーオート」が手掛けたR3000GT(トヨタ2000GTレプリカ)のように現代の技術で旧車を作る手法があり、今やさまざまなアプローチで旧車ライフを楽しめる。最新モデルのように電子デバイスでがんじがらめになっていないことに加え、安心して乗り続けるための努力と愛車を維持し続けるための投資(お金)さえできれば、人気車種であればあるほど、2050年まで旧車を満喫できることは間違いないだろう。
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みんなのコメント
また、その電池を充電するための膨大な電力をどのように発電し送配電するか?
今の送配電網ではまったく足りないので、高騰している銅がどのくらい必要か?
旧車どころかエンジン車すら、そうそう早くは無くせないって、知ってる?