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スバル「アルシオーネ」はいま見るとジワジワかっこいい! 空力を意識した未来感あふれる直線デザインがアヴァンギャルドだった

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スバル「アルシオーネ」はいま見るとジワジワかっこいい! 空力を意識した未来感あふれる直線デザインがアヴァンギャルドだった

各部ディテールは空力を最大限に意識していた

 車名の“アルシオーネ”はスバル(プレアデス)星団のなかでも、ひときわ明るく輝く星の“アルキオネ”を英語読みしたもの。そういう意味を持つ車名が与えられたアルシオーネは、まさにスバルのイメージリーダーでありフラッグシップに位置づけられて登場したクルマだった。

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 日本での発表・発売は1985年6月。日本での……と書いたのは、同年1月のデトロイトショーでひと足早く発表されていたため。北米仕様に与えられた車名は“スバルXTクーペ”と、アルシオーネに較べると、アルファベット2文字のややあっさり(?)としたもの。

スバル車初のリトラクタブルヘッドライトを採用

 ちなみにアルシオーネ登場の前年の1984年にセダン/ツーリングワゴンが登場した3代目レオーネは、アルシオーネに通じる直線基調のスタイリングをもち、1986年になるとフルタイム4WDの3ドアクーペ、RX/IIがバリエーションに加わっていた。

 手元にあるアルシオーネの最初のカタログを開くと、とくにキャッチーなコピーを謳っていた訳ではないが、見ると1985年9月版では“アルシオーネ誕生”となっている。翌1986年2月版では“4WDアヴァンギャルド”と差し替えられていた。

 1986年版のラインアップでは、じつは1グレード増えていて、コピーは“4WD……”と謳い直していたが、それまで5速MTのみだったFF車に3速ATが追加されたのだった。何も36年も経った今ツッコミを入れなくてもいい話ではあるが……。

 実車は全長×全幅×全高=4450×1690×1335mmで、今の感覚からすると前後オーバーハングはやや長めで、4WD車で165mmの最低地上高とボディ下部を塗り分けたボディカラーにより、いい意味で腰高で軽快なフットワークをイメージさせた。ホイールベースの2465mmは、3代目レオーネと共通である。

 そして何といっても絵に描いたようなシャープなクサビ型のアンダーボディに、ラップラウンドウインドウを用いたキャビンが特徴。カタログにも記されているが、前後ウインドウの傾斜は期せずしてどちらも28度、リヤウインドウはサイドウインドウから150mm絞り込んだ形状を採用していた。

 さらにスバル車初のリトラクタブルヘッドライトや、スペースシップのノーズコーンを思わす(←カタログの表記より)ボディから離したドアミラー本体、それとボディとツライチになる可動式フラップを用いたドアハンドルをはじめ、フラッシュサーフェスホイールカバーなど各部ディテールは空力を最大限に意識している。

 空気抵抗係数=0.29、空気抵抗係数×前面投影面積=0.53、揚力係数はフロント0.10、リヤ0(データはVSターボ)としており、それらは航空機造りの技術が生かされたもの。トランクリッドには、リヤでわずかにダックテールとなる形状が採用された。

インテリアはエクステリアデザインに負けず劣らずの斬新さ

 一方でインテリアもかなりデザインに凝ったものだった。まず目がいくのはステアリングまわりで、コントロールウイングと名付けられたステアリングホイール左右にスイッチを集中配置したハウジングが特徴的だった。これはステアリングコラムの調整(チルト機構=上30mm/下20mm、テレスコピック機構=40mm)と1体となって可動する仕組み。

 Lの字を横に寝かせたようなスポーク形状のステアリングホイール、デジタルメーター、“くの字”のガングリップタイプのATセレクトレバーなど、エクステリアデザインに負けず劣らずの斬新さ。2+2の前席優先のレイアウトで、後席は左右一体の背もたれを倒せばトランクスルーとして利用できるようにしてあった。

 エンジンはEA82の型式の水平対向4気筒1781cc。OHCアルミ合金製ターボチャージド・エンジンで、低重心、軽量コンパクトである素性を活かしEGIターボ化により135ps(グロス)/20.0kg−mの性能を発揮する。

 1987年のマイナーチェンジ時には、EA82型に2気筒をプラスしたER27型6気筒エンジンも搭載している。4WDモデルにはMP-T(マルチ・プレート・トランスファー)方式の4WDオートマチックを採用。オート4WDボタンの利用で、ブレーキング時、急加速時、降雨時に自動的に4WDに切り替わる機構なども投入された。

 それと電子制御フルエアスプリング方式のエレクトロ・ニューマチックサスペンション(EP-S)の投入も、フラッグシップらしいアイテムのひとつだった。機能としては4輪独立オートレベリング機構、空気圧制御2段階ハイトコントロール機能(最低地上高はノーマル時が165mm、ハイ車高時は195mm。80km/h以上でノーマルの車高に戻り、50km/h以下になるとハイに復帰)などをもっていた。

 アルシオーネ自体は、1991年に“500miles a day”で登場したアルシオーネSVXにその役目を明け渡した。また1989年にはスバルからレオーネに代わるより上級志向のレガシィが登場、こちらもグランドツーリングを打ち出しにツーリングワゴンを中心に爆発的な人気を博したのはご存知のとおりで、振り返るときに、ともすればそうしたモデルに目がいきがちかもしれない。

 だが、改めてカタログに目を通すと、スタイルもメカニズムもスバルの意欲作だった……とジワジワ思える。

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