マイアミ・インターナショナル・サーキットで行なわれたF1第6戦マイアミGPでは、マクラーレンのランド・ノリスがF1初優勝を遂げた。F1参戦6年目、110戦目での勝利となった。
これまでも優勝が目前に迫りながらも手からこぼれ落ちていたノリス。その最たる例が2021年ロシアGPだ。マイアミGPでの初優勝達成によって、担当レースエンジニアのウィル・ジョセフは“呪い”から開放されたと安堵した。
■サインツJr.、元チームメイト・ノリスのF1初優勝を祝福。セーフティカー出動が味方も「幸運は相応しい人に訪れるモノ」
同GPでノリスはF1で初のポールポジションを獲得。トップでレースをリードし、初勝利を挙げるかに見えたが、大粒の雨がサーキットを襲った終盤にインターミディエイトタイヤへの交換タイミングを遅らせるという致命的な判断ミスを犯し、大幅にタイムロス。先にタイヤを交換していたルイス・ハミルトン(メルセデス)の先行を許し、ノリスは7位フィニッシュとなった。
この判断ミスはノリス、ジョセフ、マクラーレンのF1チームにとって忘れられないモノとなった。そして少なくともソーシャルメディア上では嘲笑の的となった。
しかしノリス自身は、そのような嘲笑を楽しみ、また実際に自分を奮い立たせる“燃料”としたという。
マイアミGP終了後、Sky Sports F1のインタビューに応じたジョセフは、次のように認めた。
「特にロシアの後では、(初勝利まで)長い時間がかかったような気がする。良いことだよ。毎度思い出していたし、寝ている時も苦しめられた」
「今はそれを過去のことにできるような気がする。素晴らしいレースだった。予選の後、自分たちが下した決断について話し合ったけど、あまり確信が持てなかった。彼のところに戻って、もしかしたら正しい判断だったのかもしれないと言うつもりだ」
マクラーレンのアンドレア・ステラはチーム代表就任以来、ノリスがF1で勝てないのはドライバー自身の能力というよりも、勝つに十分なマシンを提供できないチームの能力のせいだと断言してきた。
「我々はランドへのギャップを完全に理解していた」とステラ代表は言う。
「それはランドのせいではなく、チームのせいだった。我々は彼に勝利の材料を提供する必要があり、それを揃えたらすぐに彼はそれを達成した」
「それは彼がどれだけ準備できていたかを証明するモノだ。時に表彰台に登れないレベルのマシンで表彰台にたどり着いたことを考えれば、ランドはとても力強い旅路を歩んできたと私は考えている」
またステラ代表はロシアGPを振り返って、次のように続けた。
「プレッシャーが高まった時にどう動くべきか、コース上にいる時の(ドライバー)独自の情報とピットウォール側の独自の情報を持ち寄って、的確な判断を下すためにどう協力しなければならないかという点で、ランド自身にとってもチームにとっても、あのレースはちょっとしたターニングポイントだった」
「しかし、あのレースを振り返ってみると、ピットウォール側の責任は大きいと思う。ピットインの指示を十分に実行できなかったからね」
「コース上にいるドライバーは、他の場所で雨が降っているかどうかを見ることはできない。我々は見えるから、ランドにピットインを強制しなかったのは我々の力不足だった」
「その場合でも、彼は仕事をこなしていたと思うが、チームとして勝利を達成する準備ができていなかった。勝利を掴むのは決して簡単なことではない」
ノリスの勝利によりレッドブルは、今年のシーズン前半だけで既に2レースを落とした。しかしステラ代表は、レッドブルの圧倒的な強さを過小評価するべきではないと語った。
「レッドブルが成し遂げてきたことを見れば、決して過小評価することはない。私はいつもリスペクトを示したいと思っている。彼らが成し遂げてきた勝利の連続は驚くべきことだし、彼らとして上手くいかなかった可能性はいくらでもある」
「このような旅はまだ始まったばかりだと思うし、今後もこのような日が続くことを願っている」
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