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新型「ベントレー フライングスパー」公開! エモーショナルな4ドア グランドツアラー登場

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新型「ベントレー フライングスパー」公開! エモーショナルな4ドア グランドツアラー登場

BENTLEY FLYING SPUR

ベントレー フライングスパー

新型「ベントレー フライングスパー」公開! エモーショナルな4ドア グランドツアラー登場

華やかさと力強さを両立した3代目、デビュー

スポーティさとラグジュアリー性をここまで高い次元でバランスさせたサルーンがかつて存在しただろうか・・・。詳細スペックの発表に先立ってベントレー・クルーで行なわれた新型「フライングスパー」のプレビューに参加して、私はそんな思いを噛み締めていた。

「ひょっとすると、これまでのフライングスパーはコンチネンタルGTの影に隠れがちな存在だったかもしれません」

ベントレーのエクステリア・デザイン部門を統括するクリスピン・マーシュフィールドは、私の隣に立ってそう語り始めた。

「4ドア・セダンだからスペースに余裕がある。そこに価値を感じてフライングスパーをお選びいただいたお客様はこれまで少なくなかったと思います。でも、新型ではエモーショナルなスタイリングに仕上げることで、お客様に『欲しい!』と積極的に思っていただけるデザインを目指しました」

新型フライングスパーを目の当たりにすれば、マーシュフィールドが意味するところはたちどころにして理解できるはずだ。従来型に比べると、今回発表された3代目フライングスパーは明らかに“華”があり、よりスポーティだ。にも関わらず、ラグジュアリーサルーンに必要な威厳も兼ね備えている。その秘密はどこにあるのか? マーシュフィールドに訊ねると、こんな答えが返ってきた。

「私たちがいちばん大切にしたのはプロポーションです。そのため、フロントホイールの位置を従来型に対して130mm前方に移しました。これによって、たとえ停まっている状態でも力強く前進していくような印象を与えるとともに、フロントオーバーハングを短くすることで軽快なコーナリング性能を視覚的に表現しました」

スピード感とエレガントさも両立

新型フライングスパーは本当にプロポーションが優れている。たとえば全長とキャビンの比率、ボディパネル部分とグリーンハウス部分の比率などが絶妙で、まるで彫刻のような美しさが表現されている。このプロポーションがあればこそ、威厳をたたえながら躍動的で、落ち着きを感じさせつつもエモーショナルなデザインが完成したのだろう。

もうひとつ、新型フライングスパーの伸びやかなスタイリングの演出に大きな役割を果たしているのが、パワーラインとホーンチラインと呼ばれるベントレー伝統の2本のキャラクターラインだ。水平に長く伸びるパワーラインに対して、ホーンチラインはリアフェンダーの盛り上がりを強調するためにサイドシルに近い低い位置から急激に立ち上がり、リアフェンダーの上部を縁取ってテールエンドに伸びていくのがこれまでの手法だった。ところが新型では、パワーラインとホーンチラインがまるで一本に連なっているかのように水平に伸びており、これがロングホイールベースと相まって、クルマの伸びやかさ、スピード感、エレガントさを表現するのに役立っている。

こうしたデザイン的な流れと歩調を合わせているのが強く前傾したリアウインドウで、クーペ風のスタイリングにより軽快感や疾走感を演出している。

伸びやかなボディサイドの造形とは対照的に、サルーンに求められるプレステージ感を打ち出しているのがフロントマスクだ。ボンネット高はコンチネンタルGTに対して4~5cmほども高く、この高さを十分に生かしたフロントグリルを組み合わせることで威風堂々とした表情を獲得。ちなみにグリルが垂直近くまで起立しているのはコンチネンタルGTと同様だが、ヘッドライトの取り付け角度は、上部が後傾しているコンチネンタルGTと異なって垂直に近づけることでフォーマル感を強調したそうだ。

オーナーが近づくだけで迫り上がる“フライングB”

また、フロントマスク上のマスコット“フライングB”には、現代のベントレーとして初めて立体的な造形を採用。直線的に表現された“羽根”の部分を後ろにいくに従って左右に広げることで、これまで以上に強い存在感を打ち出している。このマスコットはキーを持ったオーナーが近づくだけで自動的に迫り上がるように設定することも可能なほか、羽根の部分を薄い青色などでほのかに照明する仕様も選べる。

コンチネンタルGT譲りのインテリア

インテリアに目を転じれば、そこには豪華で華やかな世界が広がっている。

上下で異なるウッドを選択できるダッシュボードやフルデジタル式メーター、精密な回転機構を採用することで大型ディスプレイ、3連メーター、シンプルなウッドパネルという3つの表情を表現できるローテイティング・ディスプレイなどは新型コンチネンタルGTから譲り受けたものだが、たとえばデジタルメーターに表示される文字のフォント(書体)は、コンチネンタルGTよりエレガントなものを選ぶなど、きめ細やかなモディファイが施されている。

センターコンソールの両側から垂直に立ち上がったラインがダッシュボードの下側を辿って左右に伸び、これがフロントドアまで包み込むようにつながったベントレー伝統の“ウイング・デザイン”は、新型フライングスパーではリアドアまで延長されたうえ、ここで優雅な曲線を描きながら下降させることでインテリア全体の連続性や一体感を強調している。この造形は、リアパッセンジャーの目にとりわけ印象的に映ることだろう。

ベントレーの伝統といえば、エアコンの吹き出し口に用いられる丸形のブルズ・アイも代表的なデザインのひとつ。新型フライングスパーでは、ダッシュボードの両側に設けたエアベントにブルズ・アイを引き続き用いるいっぽうで、センターコンソール部のエアコン吹き出し口にはまったく新しい角形の形状を提案。しかも、ベントレーの頭文字であるBを立体的に象った縁取りを施し、クラシックとモダンが共存する世界観を打ち出している。

職人技が息づく内装の仕上げ

なお、このシルバーに輝く部分には新型コンチネンタルGTで登場した表面加工“ダイアモンド・ナーリング”も施せるが、複雑に入り組んだ形状ゆえに、ひし形の大きさがひとつひとつ微妙に異なるため、その設計にはコンピューターが使えず、すべて人手でデザインしたという凝りようだ。

ベントレーのインテリアに用いられるレザーのクオリティが最上級であることはいうまでもないが、新型フライングスパーではその装飾加工がさらに手が込んだものになった。

まず、ドアの内張りには3Dレザーと呼ばれるオプションを用意。これはレザーの表面をダイアモンド形に浮き上がらせたもので、光の当たり方によって微妙にその表情を変える。なお、レザーは3次元形状の型にうまく馴染むよう、もともと1.1~1.2mmの厚さをもつレザーを0.9mmまで削り取っているとのこと。なお、この3D加工はレザーではなくウッドで表現することも可能という。

新型コンチネンタルGTでは、ダイヤモンド・イン・ダイヤモンドという、ひし形を二重に重ね合わせたステッチが新たに紹介されたが、新型フライングスパーのシートバックでは、上部をダイヤモンド型としつつも、下にいくにしたがってこれを上下に伸ばした形状のステッチが登場した。そのデザインが、あたかも大聖堂のステンドグラスのように見えることから“カセドラル・ウインドウ”とも呼ばれているらしい。

なお、新型フライングスパーは、従来型に比べてウェストラインの位置が高く、このため特に後席ではサイドウインドウがこれまでよりも天地方向に浅く感じられるかもしれない。これはエクステリア・デザインの要件から決まったことだが、結果的にリアパッセンジャーのプライバシーを守ることにも役立っている。いっぽうで、サイドウインドウの面積が減ったため室内が暗くなるのを心配する向きもあるだろうが、その場合はガラス面積の大きなパノラミック・サンルーフをチョイスすればいいとインテリア担当のデザイナーはアドバイスしてくれた。

635ps&900Nmを発揮するW12ツインターボを搭載

スポーティさとラグジュアリー性の融合はメカニズム面でも同様に実現されている。

プラットフォームは、ポルシェが中心となって開発したMSBをベースにしながら、ベントレーが独自のチューニングを施したものを採用。フロントホイールの位置が従来型より130mm前方に移動したのはこの恩恵といえる。その結果、エンジンがフロントアクスルの後方に位置するフロント・ミッドシップを実現。よりシャープなハンドリングを手に入れたと想像される。

エンジンは「世界でもっとも多く量産されている12気筒」の、6.0リッターW型12気筒ツインターボを搭載。それも最高出力635ps、最大トルク900Nmを生み出す最新仕様だ。これに組み合わされるギアボックスは、MSBゆえに8速DCTを採用。スピーディかつダイレクトなシフトフィールを実現する。ちなみに0-100km/h加速は3.8秒で駆け抜け、最高速度は333km/hに達する。

フルタイム4WDのトルク配分機構には電子制御多板クラッチ式を搭載。前:後=60:40の固定式だった従来型とは異なり、ほぼ100%のトルクを後輪に配分することも、50%を越すトルクを前輪に振り分けることも可能なため、状況に応じてトラクション重視にもハンドリング重視にも特性を設定できるようになった。

4WS=後輪操舵と可変式4WDシステムによる安定性に期待

サスペンションは、従来型に比べて空気容量が60%増えた3チャンバー式を採用。これに48Vシステムのアクティブ・ロール・コントロールを組み合わせることで乗り心地とハンドリングを高次元でバランスさせている。さらにベントレー史上初となる4WSも設定。低速域では前輪と逆相に後輪を操舵して小まわり性を高めるとともに、高速域では前輪と同相に操舵してスタビリティを向上させる効果を生み出す。これと、前後トルク配分可変式の4WDシステムやブレーキトルクベクタリングを統合的に制御することで、どんなときもドライバーが意のままに操れるハンドリングを実現したという。

さらに新型フライングスパーではトラフィック・アシスト、シティ・アシスト、ブラインド・スポット・ウォーニングなどの先進運転機能を装備したほか、ヘッドライトにはマトリックスLEDライトを採用。周囲のクルマを眩惑することなく、可能な限り広い範囲を明るく照明し、優れた安全性を実現した。

なお、このヘッドライトの内部には、まるでクリスタルガラスのように複雑な光の反射が楽しめる繊細なデザインが施されている。内部に手の込んだ装飾を施したのはテールライトも同様、こちらは内部に“B”の文字が立体的に浮かび上がるデザインで、走り去るフライングスパーの後ろ姿をあでやかに引き立てる。

インフォテイメントも最新ラグジュアリーサルーンらしい充実ぶりで、オーディオは650W&10スピーカーが標準となるものの、オプションでバング&オルフセンの1500W&16スピーカーや、ネイムの2200W &19スピーカーといったシステムも用意されている。

スポーティさとラグジュアリー性を、かつてないレベルにまで引き上げた新型フライングスパー。そのデリバリーは2020年初頭に始まる見通しだ。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

【SPECIFICATIONS】

ベントレー フライングスパー

ボディサイズ:全長5304×全幅1964×全高1488mm

ホイールベース:3195mm

フロント オーバーハング:878mm

リヤ オーバーハング:1231mm

車両重量:2435kg

エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ

総排気量:5950cc

ボア×ストローク:84 × 89.5mm

最高出力:467kW(635ps)

最大トルク:900Nm

トランスミッション:8速DCT

駆動方式:AWD

最高速度:333km/h

0 – 100km/h加速:3.8秒

※すべてメーカー公表値

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