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盟主コペツキーが地元戦11勝の金字塔。大クラッシュのパッドンが初の欧州タイトル獲得/ERC第7戦

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盟主コペツキーが地元戦11勝の金字塔。大クラッシュのパッドンが初の欧州タイトル獲得/ERC第7戦

 全8戦中有効7戦で雌雄を決する2023年のERCヨーロッパ・ラリー選手権も大詰めを迎えるなか、前戦イタリアに続く名物ターマック戦『バルム・チェコ・ラリー・ズリン』が8月18~20日に開催され、地元の英雄ヤン・コペツキー(シュコダ・ファビアRSラリー2)がホームラウンドでの記録を伸ばす11勝目を挙げる、貫禄の走りを披露。

 一方、選手権首位で臨んだニュージーランド出身のヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)は、高速レフトハンダーでワイドになり右後輪を失うクラッシュでリタイアを喫したものの、ライバルの結果により欧州域外出身者として初となるヨーロッパ・チャンピオンを獲得している。

首都決戦は地元スペシャリストの饗宴。大先輩バッソを降したクルニョーラが初優勝/ERC第6戦

 フィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)やエリック・カイス(シュコダ・ファビアRSラリー2)ら、地元出身の“ターマック・スペシャリスト”が数多く参戦する舗装路決戦は、何千人ものファンがその様子を見守るなかダンプ路面の金曜予選ステージで幕を開けると、早くもこの高速ステージからグリップレベルが変化する難コンディションに。

 こうなると、やはり地の利のあるドライバーたちが優位に立ち、旧型モデルをドライブするマレシュが3.14kmの短いステージで、ズリン在住カイスをわずか0.120秒上回る最速タイムを記録。そして同イベント実に10勝、2013年にはERCチャンピオンにも輝いているコペツキーは、前戦に続いてエントリーのERC“ダブルチャンピオン”アレクセイ・ルカヤナク(シュコダ・ファビアRSラリー2)を抑え6番手発進とした。

「滑り出しにはとても満足している」と、前人未到の11勝目に挑むコペツキー。「午前中はもっとも硬い(タイヤ)コンパウンドで行くことにしたので、簡単ではなかった。(上位の)彼らはこのタイムを出すため大きなリスクを負ったと思うので、自分のペースには満足している」

 そう語ったコペツキーは、その晩に開催都市中心部で実施された9.57kmのスーパーSSで、オーストリア出身のサイモン・ワグナー(シュコダ・ファビアRSラリー2)に次ぐ0.4秒差の2番手となり、さらにその背後にはふたたびルカヤナクが続く展開とした。

「ステージは本当に素晴らしく沿道は観客で一杯だった。彼らのサポートに感謝している」と、高速コーナーにタイトターンが組み合わさる狭い峠から、さらにはバスターミナルを通過するセクションまでを含む、要求度の高い3.19kmのレイアウトを3周するステージを満喫したコペツキー。

「モチベーションの高い若いドライバーがたくさんいるし、このラリーでふたたび勝つのは難しいだろう。だが、このラリーで勝ちたいなら大きなモチベーションと大きな幸運が必要だ。今回はチェコ選手権が最優先事項だが、我々がこのラリーでトップの座に立つことについて、まだ考えていることは確かだよ」

■ランキングトップのパッドンが大クラッシュ

 明けた土曜から午前午後で3ステージをループするSS総距離108.03kmの勝負が始まると、先頭走者のカイスはSS5のスタートを前にレインシャワーに見舞われ、続くステージで大苦戦。午前のフルウエットからダンプ路面へと変化していたステージ上はふたたび水量が変化し、砂利の浮く高速コーナーで左フロントタイヤを損傷してしまう。 

 同じく「リヤエンドが完全にディッチに落ちた瞬間もあった」と明かしたコペツキーもスリリングなシーソーゲームを展開し、序盤の5ステージで5人のドライバーがリードを入れ替える目まぐるしい展開でラリーが進む。

 しかしSS6でベストタイムを叩き出した同戦10勝のマイスターが、同じくSS3ベストのハンガリー出身ミクロス・チョモス(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)に14.9秒差をつけ、最終日に向けて盤石の体勢を整えた。

 翌、日曜も同じく3SSのループによる92.40kmのステージが設定されると、前日SS6で優勝戦戦から脱落したカイスが連続ベストを奪うなか、午前最終のSS10で事件が発生。予選ステージでフェンスにヒットして以降、慎重なドライブながら総合5番手につけていた選手権首位パッドンが、ヒョンデi20 Nラリー2の右リヤセクションを失う大クラッシュを喫し、このダメージで即座のリタイアを余儀なくされる。

 これにより、年間2勝を挙げて選手権を争うチームMRFタイヤのマルティン・セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2)が週末に20点以上を獲得し、タイトル争いの行方を最終戦まで持ち越せるかに注目が集まった。

 しかし、この時点での12番手から総合6位以内に浮上し、かつパワーステージでも最大5点のボーナスポイントを加算する必要があったことから、残念ながら条件を満たせず。そのままパッドンがERCの栄冠を掲げた初の“Kiwi(ニュージーランド人)”として、歴史に名を刻むこととなった。

「トラブルがあったなかで今日の勝ち方は不思議だけれど、チームでやってきたことをとても誇りに思っている」と、今季は開幕勝利から4戦連続2位を含む全戦表彰台を続けてきたパッドン。

「良いラリーが6回あり、悪いラリーが1回あった。全体的に見て非常に良いシーズンだったし、これを将来に向けて積み上げていくべきだと思う。今季のERCでの時間はとても楽しかった。さまざまなイベントに多くの課題、そして本物の競争が混じり合っている」

「僕はこれが世界最高のラリー選手権のひとつだと思っているし、できれば将来も参加できることを願っている」

 ラリーは、そのSS10でふたたびの最速タイムを奪取したコペツキーが、午後に向けて施したセットアップ変更も奏功し、2位チョモスと3位ワグナーを抑え切ってゴールランプへ。「難しいラリーでとても疲れたが、今はとても幸せだ」と、地元戦11勝目の金字塔を打ち立てた。

 これでタイトル争いには終止符が打たれた2023年ERCだが、続く10月6~8日にはゼンプレン北東部のニーレジュハーザを拠点とするターマックイベント『ラリー・ハンガリー』が最終戦として開催される。

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みんなのコメント

1件
  • パッドン、おめでとうございます。
    北海道のラリージャパンで、グループNのランエボで戦っていた君を忘れない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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