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【試乗】初代GLKでメルセデス・ベンツは「SUV市場完全制圧」に動き出した【10年ひと昔の新車】

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【試乗】初代GLKでメルセデス・ベンツは「SUV市場完全制圧」に動き出した【10年ひと昔の新車】

2008年、メルセデス・ベンツのSUVラインアップにCクラスベースの「GLK」が加わった。これでメルセデス・ベンツのSUVは5モデルとなったが、そこで持ち上がるのが「これほどSUVモデルを揃える必要があるのか」ということ。Motor Magazine誌ではそんな疑問の解を求めて、上陸したばかりのGLKに試乗している。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年1月号より)

GLKの登場でメルセデス・ベンツのSUVラインアップは5モデルに
メルセデス・ベンツのSUVに試乗していつも真っ先に思うことは、「デカイ」という感覚。実際に100mも走るとその感覚は薄れ、取り回しの良さや機動力に驚かされるのだが。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

メルセデス・ベンツにSUVのイメージはそれほど強く感じられないが、よくよくラインアップを見てみると、G、GL、R、MLと実に4モデルが揃っている。そしてここに新たに投入されたGLKクラスが加わり、メルセデス・ベンツのSUVラインアップはさらに充実し5モデルとなった。

これほどSUVが揃っているメーカーがあるだろうか。BMWは、X6、X5、X3の3モデル。SUV色の強いボルボでさえ、XC90、XC70、XC60の3モデルしかない。メルセデス・ベンツのSUV戦略は、価格、用途、ボディサイズなどといったさまざまな要望に確実に対応できるようにしてあるのだ。

GLKのスリーサイズは、同セグメントとなるBMW X3 3.0si比で全長マイナス55mm、全幅マイナス15mm、全高プラス10mm。プラットフォームを共有したCクラスとはC300比で全長マイナス100mm、全幅プラス70mm、全高プラス255mmと短く広く高い。このサイズのSUVは、日本ではジャストに近く、実用面でもその機動力は発揮されることだろう。

インテリアは、Cクラスと似た雰囲気を持ち、スクエアなラインを基調にしたデザインでまとめられ、細部までこだわった品質の高さはたしかに感じられる。ラゲッジルームは通常時450L、分割可倒式のリアシートを倒せば1550Lと十分な容量を確保する。

プレミアムコンパクトSUVに相応しい装備とライド感覚
日本仕様に設定されるのは当面GLK300 4マティックのみ。エンジンはC300アバンギャルドS同様に3LのV6だが、そのパワーは必要にして十分。「もう少し力があれば」といった不満が出るような場面は最後までなかった。ただしハンドル位置は左ハンドル仕様のみ。このあたりは、X3やティグアンが右ハンドル仕様となることから不満が残る。

GLKに採用される4マティックは、トルクを前輪45%、後輪55%の比率で配分するが、前輪に駆動を伝えるためのプロペラシャフトがトランスミッションの右側を通っているので、右ハンドルにするとドライバーの足下スペースを十分に確保することが難しいのだ。視線が高いSUVではあっても日本では左ハンドルは不便、いい解決策はないものだろうか。

安全性におけるトピックスとして、アダプティブブレーキライトとインテリジェントライトシステムが採用されていることが、メルセデスの安全性が新世代に進化していることを物語る。

アダプティブブレーキライトは、50km/h以上の速度で走行中にドライバーが急ブレーキを踏むと判断すると、後続のドライバーに注意を促すようブレーキランプが自動的に激しく点滅。さらに70km/h以上ではブレーキランプが激しく点滅して停止した後、ハザードランプが自動的に点滅する。

インテリジェントライトシステムは、「カントリーモード」「ハイウェイモード」「フォグランプ強化機能」「アダプティブブレーキライトシステム」「コーナリングライト」といった5つの機能を備え、さまざまな天候や走行状況でも視界を確保し安全性を向上させるようになっている。

乗り心地はSUVらしくない。いや、「SUVの枠を超えた上質なライド感」と言った方が適切かもしれない。メルセデス・ベンツのSUVはどれもそうしたライド感を持っているが、このGLKのそれはとても新鮮なもの。車高の高さによるデメリットはまったく感じられず、「シートポジションが高く視界の広がったCクラス」といった印象。さらに、NVHも抑えられていてプレミアムと謳うに相応しい仕上がりだ。

また、コーナリング時は、姿勢の変化がわかりやすく、安心してアクセルペダルを踏み込むことができる。路面が荒れた場面でもその印象に変わることはなく、路面からの入力はたしかに感じられるが、それをボディがゆったりと受け止めているといった印象。ハンドルに伝わってくるインフォメーションもこうしたSUVとしては多めで、悪いイメージはない。林道や砂利道にも踏み入れてみたが、そうした未舗装路では腰から下がしっかりと働いていることが伝わってくる。

このGLK、小回りは効くし視界も良好。フットワークだって軽快で、いままでに乗ったどのメルセデス・ベンツのSUVよりもそうした印象が強く残った。世界的にダウンサイジングの傾向が強まってきた今、まさに、GLKが担っている役割は、こうしたセグメントにもメルセデスらしさを投入することにあったのだと思う。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:島村栄二)

メルセデス・ベンツ GLK300 4マティック主要諸元
●全長×全幅×全高:4530×1840×1685mm
●ホイールベース:2755mm
●車両重量:1860kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:170kW(231ps)/6000rpm
●最大トルク:300Nm/2500-5000rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・66L
●10・15モード燃費:9.0km/L
●タイヤサイズ:前235/50R19、後255/45R19
●車両価格(税込):675万円(2008年当時)

[ アルバム : メルセデス・ベンツ GLK300 4マティック はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • 大きいけど取り回しが良いという事はありません。まあ舵角を大きくとれば回転半径が小さくなる。それだけ。こういう抽象表現でドイツ車を褒め続けて生活の糧にする人々が本当に多い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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