ラファエレ・マルチェッロは、GT3レースで長年成功を収めた後、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスでのレースへの適応プロセスを続けているが「まだ時間がかかる」と語り、BMW MハイブリッドV8をドライブする「回を重ねるごとに良くなっている」と述べている。
このスイス人ドライバーは、メルセデスAMGで6年間ファクトリードライバーを務めた後、BMWのトップクラスのプロトタイププログラムに参加するため、冬の間にメーカー移籍を果たした。
苦戦続くBMW Mハイブリッド V8が2戦目で得た自信。三味線は「一目瞭然でバレる」とレネ・ラスト
来週末のニュルブルクリンク24時間ではローヴェ・レーシングから出場するなど、GT3でのレースも続けるマルチェッロは、これまでにMハイブリッド V8のステアリングを握って3つのレースを完走した。
マルチェッロがドリス・ファントール、マルコ・ウィットマンと共有する15号車は、第1戦カタールで14位、第3戦スパでは11位を獲得したが、第2戦のイモラでは自力でパルクフェルメに戻ることができずに失格となった。これは、ウィットマンがオープニングラップで複数台の衝突事故に巻き込まれ、そのダメージの修復に1時間かかったことにより有望な走りが実質的に制限されたレースにおける、終盤の出来事だった。
そのレースでマルチェッロは、変わりやすい困難な条件下でグラベルへと飛び出した数多くのドライバーのうちのひとりでもあった。
また、彼はスパでは間違ったガレージに入り、ピットレーンでリバースギアを使用した後、ピットレーン違反により30秒のストップ・アンド・ゴーペナルティを科せられた。
マルチェッロは何年にもわたってほぼ独占的にメルセデスAMGのGT3マシンを運転してきたが、まだ学習曲線と移行の真っ只中にあると述べ、特定の制限要因が彼の適応プロセスを「それほど簡単ではない」ものにしていると付け加えた。なお、GT3車両ではABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が備わるが、ハイパーカーにはそれがない点も大きな違いだ。
「僕らは、WECでは走行時間が少ない。とくにフリープラクティスではそれほど長くないセッションが3回しかない」とマルチェッロはSportscar365に語っている。
「使用できるニュータイヤがあまりないので、レース前には中古タイヤだけで走ることもある。それほど簡単ではない。テストもあまりしなかったし、そのテスト中はいつも天気が悪かった」
「クルマをあまり運転していないので、まだ時間がかかると思うが、運転するたびに良くなっている」
「マルコとドリス、そして20号車のレネ(・ラスト)、シェルドン(・ファン・デル・リンデ)、ロビン(・フラインス)も含めて僕らは良いグループなので、お互いに助け合おうとしている。彼らは僕をよく助けてくれるよ」
改善が必要だと感じる具体的な分野について尋ねられたとき、マルチェッロは次のように答えた。
「今、僕がもっとも苦労しているのはブレーキングエリアだと思う」
「ロックするのはとても簡単だ。その原因が僕らにあるのか、このクルマにあるのか、それともカテゴリー全体でそうなのかは分からない。僕のドライビングスタイルでは、そこに自信を持つことが必要だ」
「これがいまの僕の弱点だとしよう。でも、良くなってきている。また、クルマはその分野において改善している」
■結果に一喜一憂しない
マルチェッロは、トップクラスのプロトタイプレースに移行した最新のGTスターである。最近の他の注目すべき例としては、フェラーリのジェームス・カラドとアレッサンドロ・ピエール・・グイディ、あるいはポルシェのケビン・エストーレ、ローレンス・ファントール、ミカエル・クリステンセン、マット・キャンベルらが挙げられる。
また、メルセデスAMGでのマルチェッロのチームメイトのひとりであったジュール・グーノンは、フェルディナンド・ハプスブルクの代役としてアルピーヌのリザーブドライバーの任務を遂行し、イモラとスパでのレースにも初めて出場した。
マルチェッロは、GT3カーとハイパーカーの運転は「それほど変わらない」と述べたが、タイヤマネージメントなどの要素は、理解することが重要な「小さくて複雑なこと」のひとつであると指摘する。
「ラップタイムは違うけど、30秒も速いわけではない」と彼は語った。
「それは小さなことだけど、その小さなことは複雑なことです。結局のところ、それはタイヤにまつわるもので、デグラデーションもあるし、時にはアウトラップが非常に難しい。だから、僕らが慣れなければならないのは、こういった小さなことなんだ」
BMWはハイパーカーメーカーのランキングで5位に位置し、3レースを終えて21ポイントを獲得。イモラでは、20号車がこれまでの最高位となる6位を手にしている。
マルチェッロは、このクラスでのデビューシーズンを乗り切るためには「冷静さを保つ」必要があると強調し、悪い結果に落ち込んだり、好調なレース後に自信過剰になったりすべきではないと付け加えた。
「これは長期的なプログラムなので、たとえば物事がうまくいかなかったとしても、あるいはたとえうまくいったとしても、僕らは冷静でいなければならない」と彼は語った。
「おそらくそれが一度限りのものだったとしても、その時点ではそうとは分からない。僕らはもっとレベルアップしていくのだから、そこは冷静にやっていきたいと思う」
「昨年のポルシェは強かったけど、今年ほどではなかった。マシンがチャンピオンシップを戦っているときは、コースに行くたびに何か新しいことが起こっているような気分になるものだ。だから、それは簡単ではない」
「さっきも言ったように、これは長期的なプロジェクトなので、良いときも悪いときも、どちらの状況でも平静を保つ必要がある。そしてもう少し後、今年中にはどうなるか分かるだろう」
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