アメリカを代表する名車の現代版
フォードの歴史の中でも忘れてはならない名車が「GT40」だろう。そのDNAを受け継ぎ、2005年にリメイク版「GT」が発売され、2015年には新たなGTが誕生した。厳しい購入条件を設けて販売されたが、そのなかでも人気なのがカーボンシリーズである。貴重な1台がRMサザビーズのアメリア・アイランド・オークションに出品され、1億円オーバーで落札された。
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選ばれたオーナーのみが購入を許され1350台が販売された
フォードが、1960年代にル・マン24時間レースなどに投入したミッドシップのレーシングカー「GT40」のリメイク版として、「GT」を最初に発売したのは同社が創立100周年を迎えた2005年のことだった。
限定1500台のGTは、フォードと密接な関係にあるサリーンの工場で生産された。最高出力558psの5.4L V型8気筒+スーパーチャージャーエンジンをはじめ、そのパフォーマンスは往年のGT40を彷彿させるものとしてファンから高い評価を得るに至った。初代GTの生産は2006年まで継続されるが、当初計画していた限定台数に達するとそのまま生産は終了。GTは再び歴史の中にその名前を残すのみの存在となったかに見えた。
だがフォードは、虎視眈々とGTの復活を狙っていた。高性能車開発部門のフォード・パフォーマンス・ヴィークルズと、マルチマティック社の共同で開発が進められたセカンド・ジェネレーションのGTが、2015年のデトロイト・ショーで発表されたのである。
ボディは先代がかつてのGT40を強く意識していたのに対し、この新型ではより高いエアロダイナミクスを得るためにシャープなラインで構成され、未来的な感覚さえ抱くものに進化した。
リアミッドに搭載されたエンジンは、この新型GTのために開発された3.5LのV型6気筒ツインターボ(エコブースト)で、最高出力は656ps。これにゲトラグ製の7速DCTを組み合わせ、もちろん後輪を駆動する。実際の加速性能は0-60マイル(約96km/h)が3秒以内。その強烈な加速は最高速の216マイル(約346km/h)まで連続した。
最新のアダプティブサスペンションや、6ピストンキャリパーに、15.5インチという巨大なローターを備えたブレンボ製のカーボンセラミックブレーキシステムを採用する。さらには油圧式のパワーステアリングなど、あらゆる面でドライバーに即応するスーパーカーへと進化を遂げた。実際にそれが発表された時には、購入を希望するカスタマーは相当な数に達したというが、フォードは長期間の保有を義務付けるなどカスタマーを厳選。最終的に2022年モデルまで1350台が生産されることが決定したのだった。
希少なGTのなかでもさらに特別なカーボンシリーズ
そのセカンド・ジェネレーションのフォードGTの中でも、さらにスペシャルなモデルといえるのが、2018年モデルで追加された新バリエーションの「カーボン・シリーズ」だった。
それはスタンダードなGTとコンペティション・シリーズの中間に位置するキャラクターを持つもので、ボディパネルをはじめ、フロントスプリッターやリアディフューザー、アンダーボディシールド、リトラクタブルウイングなど、エクステリアのほぼすべてをカーボンファイバーで製作したもの。
さらに20インチ径のカーボンファイバー・ホイールやチタン製のエグゾーストとホイールナット、さらにはポリカーボネイト製のリアハッチなどが採用され、標準のGT比で約18kgの軽量化が実現した。
なんと1億円超えでの落札に
今回RMサザビーズのアメリア・アイランド・オークションに出品された2020年式のカーボン・シリーズは、ミシガン州のディーラーから新車でファースト・オーナーに納車されて以来、わずかに98.2マイル(約150km)しか走行していない新車同然のコンディションという個体。
カーボン・シリーズのベース価格に加えて、カーボンブルーグラフィック・パッケージなど、さらに3万7500ドル相当のオプションが選択されており、新車価格は64万1340ドルという圧倒的な数字になったという。それに対してのオークションでの落札価格はじつに105万ドル(約1億3755万円)。セカンド・ジェネレーションのフォードGT、しかもさらにレアなカーボン・シリーズは、まさに投資の対象とも言わんばかりの高騰ぶりを見せているのだ。
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みんなのコメント
ケンメリRは希少だとは思うけど