現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 令和時代に若手セールスマンの「ビニールレザー」発言に衝撃! 日本車独特の「シート表皮」の歴史

ここから本文です

令和時代に若手セールスマンの「ビニールレザー」発言に衝撃! 日本車独特の「シート表皮」の歴史

掲載 更新 73
令和時代に若手セールスマンの「ビニールレザー」発言に衝撃! 日本車独特の「シート表皮」の歴史

「ビニールレザー」にあまり良い印象を持たない人も

 先日ある新車ディーラーにて、店内に展示してあった高級セダンをセールスマンの案内で見ている時のこと。セールスマンが「このグレードですと、シート生地は“ビニールレザー”なります」と説明してくれた。このセールスマン、どう見ても“昭和生まれ”ではないのは確実だとわかる若手であった。

高級感は抜群だけど「布」のほうがいい場合も! 本革シートのもつデメリットとは

 このセールスマンは、“合成皮革”と言いたかったようであり、このモデルのカタログを見ると、シート生地については何やら面倒くさい名称がついており、これをそのまま説明してもなんのことやらわからないので、わかりやすくビニールレザーと紹介してくれたようであった。

 ただ、筆者のような昭和生まれにとっては、“ビニールレザー”にはあまり良い印象を持っていない。我が家で初めてマイカーとして購入した、1976年式トヨタ・パブリカ スターレットセダン デラックスのシート地はビニールレザーであり、このスターレットだけでなく、当時の乗用車でファブリック(毛織物)地のシート表皮になるのは上級グレードのみと言うケースが当たり前。フロアについてはカーペット敷きがほとんどであったが、スタンダードだけ塩化ビニールというクルマも珍しくなかった。

 ダッシュボードは樹脂で、シートはビニールレザー、床だけはカーペット敷きだったのだが、カー用品店で“タイヤ&レザーワックス”買ってきて、ピカピカでツルツルに車内を磨き上げていた父親を手伝っていた少年時代を、筆者はいまも鮮明に覚えている。

 80年代が見えてくるころになると、だいぶファブリック地のシート表皮の採用が進んだのだが、当時の乗用車でのベンチマーク車となる、4代目(セダンでは最後のFR)トヨタ・カローラをみると、中間グレードのGL以上はファブリックではあるが、カスタムDX、DX、スタンダードでは依然としてビニールレザーとなり、さらにDX系とスタンダードでは採用するビニールレザー地で差をつけていた(スタンダードのほうが安い?)。

 さて、話を令和に戻そう。商用車でもビニールレザー地のシート表皮を採用するモデルを探すのにひと苦労し、ここ最近本革はもちろんのこと、前出のセールスマンのいうところの、“ビニールレザー(合成皮革)”の設定が目立ってきている。

 かつて本革シートを採用する日本車は少数派だった

 2020事業年度に年間販売台数で10万台強を売ったトヨタ・アルファードでは、廉価グレードのみはファブリック地を採用し、エグゼクティブラウンジは本革となり、売れ筋のSCパッケージは合成皮革となっている。アルファードでファブリック地を選ぼうものなら、将来下取り査定ではマイナスポイントになるとの話も聞いている。

 納期遅延が続いているトヨタ・ハリアーでも、最上級グレードのレザーパッケージが人気となり、とくにこの仕様を選ぶと納期がさらにかかるとのこと。

 そもそも日本は、シート表皮でも“ガラパゴス現象”といってもいい傾向が続いていた。欧米や、アジア地域を見渡しても本革(あるいは合成皮革)シートが好まれてきたのに対し、日本ではファブリック地が好まれ、高級車でも“ベロア地”など高級織物をシート表皮に採用することが多く、本革シートは少数派であった。

 2001年に韓国ヒュンダイ自動車が日本市場に参入してきた時、カローラと同クラスのエラントラというモデルの試乗車が本革シートを採用して驚いたのを覚えている。韓国では圧倒的に本革シートが支持されているとのことで、カローラクラスであっても設定されることは珍しくないとのこと。いまはグローバル化し、クルマのパーツや用品も世界調達して自動車生産が行われているのでだいぶ変わってきたが、過去にはアメリカ車、イギリス車、ドイツ車、フランス車など、国によってレザーシートの臭いが違っていた。ドイツ車は“酸っぱい”臭いがし、フランス車は甘い臭いが車内に充満していたのをいまも覚えている(あくまで筆者の感想です)。

 技術革新が進み、コストダウンとともに合成皮革といってもさまざまなタイプが選べるようになってきたことも、日本車で本革シートだけでなく、合成皮革シートの設定が目立つようになってきたようである。

 前述したように、筆者に“ビニールレザー”と説明したセールスマンは悪意があってそのように説明したわけではない。ただ筆者のような“オジさん”世代には、ビニールレザーという響きに悪い印象を持つ人もいるから、「合成皮革といったほうがいいよ」とアドバイスしてショールームを後にした。

こんな記事も読まれています

フェルスタッペン「ラスベガスは今季を象徴するような週末」これまでとは異なる価値を実感/チャンピオン会見 (1)
フェルスタッペン「ラスベガスは今季を象徴するような週末」これまでとは異なる価値を実感/チャンピオン会見 (1)
AUTOSPORT web
「厳しいシーズンを団結して戦ったことは誇り」フェルスタッペンも予想外の苦戦。転機はモンツァ/チャンピオン会見 (2)
「厳しいシーズンを団結して戦ったことは誇り」フェルスタッペンも予想外の苦戦。転機はモンツァ/チャンピオン会見 (2)
AUTOSPORT web
「イライラが和らぐ」とドライバーも支持。IMSA、GTDプロ/GTDをめぐるルール変更を発表
「イライラが和らぐ」とドライバーも支持。IMSA、GTDプロ/GTDをめぐるルール変更を発表
AUTOSPORT web
トヨタ版「CX-80」は“4人乗り”仕様! 衝撃的な「カクカクボディ」採用した“個性派デザイン”が凄い! マツダ「3列シートSUV」とは異なる“めちゃ未来”なモデルとは!
トヨタ版「CX-80」は“4人乗り”仕様! 衝撃的な「カクカクボディ」採用した“個性派デザイン”が凄い! マツダ「3列シートSUV」とは異なる“めちゃ未来”なモデルとは!
くるまのニュース
【F1第22戦無線レビュー(2)】「目的を見失うなよ」「自分のレースをしている」戴冠を見据え冷静に走り続けたフェルスタッペン
【F1第22戦無線レビュー(2)】「目的を見失うなよ」「自分のレースをしている」戴冠を見据え冷静に走り続けたフェルスタッペン
AUTOSPORT web
ACコブラ、なぜ「大波乱」を呼んだ? 1960年代の伝説的スポーツカー 歴史アーカイブ
ACコブラ、なぜ「大波乱」を呼んだ? 1960年代の伝説的スポーツカー 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
【今さら人には聞けないEV生活の基礎知識】充電スタンドの種類や探し方、電欠しない充電の仕方など、基本中の基本をお教えします
【今さら人には聞けないEV生活の基礎知識】充電スタンドの種類や探し方、電欠しない充電の仕方など、基本中の基本をお教えします
Auto Messe Web
ニッサンFEがシミュレーター大手のDynismaと提携。競争力向上を狙い特注の新型システムを導入へ
ニッサンFEがシミュレーター大手のDynismaと提携。競争力向上を狙い特注の新型システムを導入へ
AUTOSPORT web
進化型『GRヤリス』用、HKSのスーパーターボマフラー2製品発売 「運転が楽しくなる音質」実現
進化型『GRヤリス』用、HKSのスーパーターボマフラー2製品発売 「運転が楽しくなる音質」実現
レスポンス
『ジャガーXJR-12(1990年~1991年)』再びル・マン制した耐久専用車【忘れがたき銘車たち】
『ジャガーXJR-12(1990年~1991年)』再びル・マン制した耐久専用車【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
美しすぎる三菱「和製スポーツカー」が凄い! ド迫力の「巨大グリル」採用した“ラグジュアリークーペ”に大注目! めちゃ開放的な「オープン仕様」も設定した「“幻の”エクリプス」とは!
美しすぎる三菱「和製スポーツカー」が凄い! ド迫力の「巨大グリル」採用した“ラグジュアリークーペ”に大注目! めちゃ開放的な「オープン仕様」も設定した「“幻の”エクリプス」とは!
くるまのニュース
R36「スカイラインGT-R」まもなく実車公開か!? デザインはまるでR34型! 4.1リッターで1000馬力を発生する「次世代型GT-R」の気になる姿とは?
R36「スカイラインGT-R」まもなく実車公開か!? デザインはまるでR34型! 4.1リッターで1000馬力を発生する「次世代型GT-R」の気になる姿とは?
VAGUE
【第1回】長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:ミニチュアと実車の二刀流趣味~スーパーセブン編
【第1回】長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:ミニチュアと実車の二刀流趣味~スーパーセブン編
AUTOCAR JAPAN
「能ある鷹感がいい」ワゴン専用になったVW『パサート』、デザイン、実用性にSNS注目
「能ある鷹感がいい」ワゴン専用になったVW『パサート』、デザイン、実用性にSNS注目
レスポンス
ハイエースにキャラバンが「デコトラ」みたいに「ギラッギラ」! 一歩間違えると「ブサイク」になる難易度高めの「デコバン」ワールド
ハイエースにキャラバンが「デコトラ」みたいに「ギラッギラ」! 一歩間違えると「ブサイク」になる難易度高めの「デコバン」ワールド
WEB CARTOP
F1ハースとの協業で得られる技術的メリット。WECとの違いとパイプライン【トヨタ/TGR加地部長インタビュー/前編】
F1ハースとの協業で得られる技術的メリット。WECとの違いとパイプライン【トヨタ/TGR加地部長インタビュー/前編】
AUTOSPORT web
マセラティ公式の「スーパーカー消しゴム」グッズ発売、“直線番長レース”で大人も夢中に
マセラティ公式の「スーパーカー消しゴム」グッズ発売、“直線番長レース”で大人も夢中に
レスポンス
「うわっ…!」“西日”がまぶしい! 午後のドライブで突然のピンチに!? 注意したい晩秋特有の“現象”に有効な「対策」とは
「うわっ…!」“西日”がまぶしい! 午後のドライブで突然のピンチに!? 注意したい晩秋特有の“現象”に有効な「対策」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

73件
  • ビニールレザーに悪い印象があるならさらに上のグレードを買ってあげてください

    昭和生まれならケチらずそこそこお金持ってるでしょ
  • ビニールは言い方を変えてもビニールには違いない。
    正直なディーラーマンだと思うw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村