■軽自動車の進出を阻む海外のAセグ勢
日本で人気の軽自動車ですが、海外市場でも似たようなパッケージのAセグメントモデルが展開されています。軽自動車に近しい存在といえるAセグメントモデルとは、どのようなものなのでしょうか。
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日本独自の発展を遂げてきた軽自動車は、ボディサイズが全長3400mm×全幅1480mm×全高2000mm以内、エンジン排気量は660cc以内、最大4名乗車で貨物積載量350kg以下となり、各自動車メーカーの自主規制により最高出力は64馬力までとなっています。
また、かつては「軽の安全面は不安」とされていましたが、ボディの進化や衝突被害軽減ブレーキ、追従型クルーズコントロールといった先進安全装備も充実してきているため、近年ではコンパクトカー(日本では5ナンバー車)に匹敵する性能を持っているモデルも存在。
一方で、欧州市場には軽自動車に似たパッケージのAセグメントモデルが各自動車メーカーから販売されています。
2020年度内に生産終了といわれている三菱のEV軽自動車「i-MiEV」は、2009年にPSAとOEM契約を締結し、プジョー「iOn(イオン)」、シトロエン「C-ZERO」として2010年から欧州市場で販売されました。
しかし欧州にはライバルとなるAセグメントのモデルが多く存在します。日本の軽自動車はサイズ的にも出力的にも、現地での税制に関係ない枷(かせ)がはめられたクルマとしているようで、日本メーカーも積極的に進出しようとはしていません。
日本でも輸入されている欧州Aセグメントモデルには、スマート「フォーツー/フォーフォー」、ルノー「トゥインゴ(スマート・フォーフォーと兄弟)」、フィアット「500」、フィアット「パンダ」、フォルクスワーゲン「up!」が挙げられます。
さらに欧州ではトヨタとPSAがAセグメントモデルを共同開発し、合弁会社を設立してチェコで製造しています。
トヨタ「アイゴ」、プジョー「108」、シトロエン「C1」の三兄弟は、2014年3月のジュネーブで同時公開され、いずれも車両重量800kg台半ばの軽量コンパクトなシティコミューターとして人気を博しています。
ルノーはアジアや南米でライバルのAセグメントモデルに対抗すべく、2015年にクロスオーバーSUVの「クウィッド(KWID)」を発売。インドとブラジルで製造販売するとともに、インドネシアでも販売されています。
また、フィアットは「ウーノ」が本国で生産終了となってからもブラジルで独自モデルを2010年に発表し、2017年にフルモデルチェンジしています。
全長3820mmでサイズ的にはギリギリAセグメントといったところですが、ブラジルではフォルクスワーゲン「ゴル(ゴルフではない)」と販売台数トップを争う大人気モデルです。
■海外でマニアから支持されている軽自動車も
軽自動車の代わりに世界中で展開されるAセグメントモデルですが、一方では欧州や北米でも、軽自動車がファンを獲得している例もいくつか存在します。
ダイハツの初代「コペン」も、電動リトラクタブル・ハードトップを標準装備したコンパクトなオープンカーという個性が海外の注目を集め、2003年からイギリスやオーストラリアへ輸出。当初は660ccのままでしたが、2005年には海外のみ1.3リッターエンジンを搭載した仕様が登場しました。
また、欧州や北米の中古車市場ではいわゆる「ABC」、マツダ「AZ-1」、ホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」が近年、大いに人気を集めています。
アメリカの場合、国内で販売されなかった車種は基本的に公道を走ることができないのですが、製造から25年たつとクラシックカー扱いになって走れるようになります(通称25年ルール)。
1990年代初頭にデビューしたこれらのクルマが、近年、アメリカのエンスージアストによって輸入されているというわけです。
また、ピックアップトラックが愛されている北米では、日本の軽トラもマニアに人気だといい、今では軽トラ中古車専門のショップや輸入業者も存在しています。
現行車種のホンダ「S660」も、海外で販売されてはいませんが、気になるカーマニアは多いようで、たまに海外のコレクターが個人で地元に持ち込んでいる例もあるようです。
※ ※ ※
軽自動車を活用してアウトドアやレジャーをカッコよく楽しんだり、スポーティに乗りこなす姿をネットを通じて世界に発信していけば、いずれは海外からも「欲しい!」という声が挙がるかもしれません。
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