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急きょ実戦投入となった新型『プジョー308 P51 TCR』がデビューウインを達成/TCR豪州第6戦

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急きょ実戦投入となった新型『プジョー308 P51 TCR』がデビューウインを達成/TCR豪州第6戦

 真冬の8月初旬から再度の間隔が空き、10月18~20日にシドニー・モータースポーツパークで再開されたTCRオーストラリア・シリーズ第6戦では、フランス本国のプジョー・スポールと開発委託契約を結び「世界初の豪州製TCRモデル」となる2代目『プジョー308 P51 TCR』を手掛けた古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)が、急きょ2台の新型モデルを実戦投入。所属するベン・バルグワナ(プジョー308 TCR/GRMハンチャ・レーシング)とジョーダン・コックス(プジョー308 TCR/シェフラーGRM)がステアリングを握ると、セーフティカー(SC)絡みのレース2でコックスが逆転の“デビューウイン”を飾っている。

 旧タイレムベンドことザ・ベンド"にて開催された6月初旬の第4戦、そしてクイーンズランド・レースウェイで争われた8月の前戦からまた2カ月と、ゆったりしたペースで進んできた南半球オーストラリア大陸でのTCRシリーズでは、この猶予期間を活用して世界的な注目を浴びる最新モデルの開発、製造が進められてきた。

プジョー・スポールと開発提携のギャリー・ロジャース・モータースポーツが新型『308 TCR』をロールアウト

 前述の2名は、このレースウイークに向けた車両変更に伴い「新たなエンジンを使用」することから、自動的に5グリッド降格のペナルティが適用されるが、チームは今季限りでその役目を終える『ザ・バサースト・インターナショナル』の最終戦に向けては、残るアーロン・キャメロンとライアン・カシャ(プジョー308 TCR/チーム・バルボリンGRM)に対しても2台の新造モデルを用意すると明かした。

「過去60年以上にわたり、GRMでは多くの新型レースカーを製造してきたが、真新しいクルマを発表する際の興奮は変わらないね」と語るのは、そのGRMでチームディレクターを務めるバリー・ロジャース。

「このプジョー P51 TCRのプロジェクトは非常に挑戦的で、私と父はチームが成し遂げた仕事を非常に誇りに思っている」

 実際のレースウイークに先立ち、ビクトリア州メルボルンに位置するカルダーパーク・レースウェイでシェイクダウンされた新型車両は、週末のセッション開始を前にその実戦カラーリングがお披露目された。

「これは新しい機会であり、僕らが長い間待ち望んでいたことだ」と語るのは、9月のサンダウンで初期テストを担当していたバルグワナ。

「ようやく新しいプジョーをドライブする機会が得られた。今週末はどんな結果になるかとても楽観的だし、ちょっと宙ぶらりんの状況で、どうなるかはよくわからないが、内心とてもワクワクしている。プラクティスに出て、シドニーでようやく何周か走れるのが待ち切れないよ」

 今や本気でレースに臨める立場にいることを楽しみにしていると語ったバルグワナだが、デビュー戦に向けては重ねて慎重な見通しも口にした。

「リヤのテールライトからフロントのヘッドライトまで、基本的にすべてが旧車と違うから、間違いなく学ぶべきことがたくさん出てくるだろう。理解しなければならないことが山ほどあり、時間が掛かるだろうが、それもすべてこの仕事の一部さ」

■週末2勝のバカンが新たな選手権リーダーに

 一方のコックスは、そのシェイクダウン時に新型モデルの初試乗を済ませたばかりの状況で実戦を迎える。

「安定した良いパフォーマンスを期待しているが、このクルマはまだ初期段階だから、最大限に活用できると考えるのは愚かだ」と続けたコックス。

「書類上では、このP51のスペックは前世代よりもはるかに優れている。少なくとも表彰台を争い、最終戦バサーストに向け何かを積み上げていきたいと思っている」

「でもクルマのセットアップに対する素性とドライバビリティは、本当は違いに気づくべき異なる領域だ。GRMは先代のクルマをパフォーマンスの上限までチューニングする素晴らしい仕事をしてくれたが、その過程で僕たちはそのモデルの限界も学んだんだ」

「新しいクルマを作ることの贅沢さと優位性は、何を改善する必要があるかを知ることにある。チームはすでにそれをうまくやっているように見えるね。それがコース上でどのように反映されるかは、すぐにわかるはずさ!」

 そう語ったコックスとバルグワナは、予選こそQ2進出を逃して9番手、10番手に留まり、ここでポールポジションを射止めた王者ジョシュ・バカン(ヒョンデ・エラントラN TCR/HMOカスタマーレーシング)がレース1を制したが、続くレース2はリバースグリッドの好機を捉え逆襲に転じることに。

 首位発進から遅れたグレン・ニルワン(アウディ・RS3 LMS 2/BRMモータースポーツ)に対し、背後から出たバルグワナがコックスを抜いてトップに立つ。そんな新型同士の首位攻防に対し、初戦をエンジントラブルで失っていた旧型モデルのキャメロンが、最後尾からロケットのような勢いで浮上し、いきなり4番手まで躍進してくる。

 するとこのオープニングラップでは選手権首位のザック・スーター(アウディRS3 LMS 2/タフリフト・レーシング)がブラッド・ハリス(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)と絡み、その余波で元王者トニー・ダルベルト(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ホンダ・レーシング・チーム・ウォール)がバリアに激突。

 その場でスーターともどもリタイアを喫し4周にわたってSCが発動し、ダルベルトを含め週末の3戦目までコースに戻れる見込みはなく、このアクシデントがスーターのタイトル獲得の望みに大きな打撃を与えることに。

 リスタート直後の5周目には、GRMの僚友であるバルグワナを抜いたコックスが首位浮上に成功し、最後はディラン・オキーフ(リンク&コー03 TCR/アシュリー・スワード・モータースポーツ)とヒョンデのバカンを従え、新型車両のデビューウイークで望外の初優勝を手にした。

「とても大きな意味がある。彼らGRMのクルーを心の底から誇りに思うよ」と喜びを語ったコックス。「これは18カ月の短期間でまとめられたプロジェクトであり、白紙の状態からクルマを組み立てて披露し、すぐにトロフィーを獲得できるチームはそれほど多くないだろうね!」

 残る最終ヒートは、やはりホンダのダルベルトらが修復不可で欠場となるなか、オキーフの終盤の挑戦をかわしたバカンが2勝目を獲得。失意のスーターに代わって新たなポイントリーダーに浮上する展開に。

 前述のとおり最終戦『ザ・バサースト・インターナショナル』は、11月8~10日に“聖地”マウントパノラマで開催される。

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