ラグジュアリーな406のインテリア
シャープなスタイリングのアルファ・ロメオ2000 スプリントは、ウエストラインが低く開放的。インテリアの品質はブリストル406と同様に高く、華やかさがある。ドアは長く、フロントシートが前方に倒れ、どちらもリアシートへのアクセス性に優れる。
【画像】否定しがたい魅力 アルファ2000 ブリストル406 同時期のモデル 末期のファイターも 全131枚
車内空間は若干タイトで、膝周りにも肘周りにも余裕はない。グランドツアラーを想定していながら、荷室も広いとはいえない。
パワーウインドウとチョーク、ヘッドライト、ヒーターファンなどの操作系が、整然と配置されている。人間工学への意識が充分ではなかった時代だが、ステアリングコラムにはレバーも備わる。ワイパーは動作が一定ではなく、運転の集中を奪う。
406の直列6気筒エンジンは、吸気バルブのプッシュロッドとロッカーが隠れているため、ツインカム・ユニットにも見える。効率を求めて横方向に動くプッシュロッドが、エグゾースト・バルブを開閉させる。
ドアを開くと、リクライニング式のフロントシートにはヘッドレストが内蔵されている。ロイター社製で、かなり先進的な装備といえた。
ダッシュボードの計器類は見やすく、ステアリングホイールのスポークは操縦桿のようにカーブを描く。上質なレザーとウッドパネルがふんだんに用いられ、2000 スプリントより明らかにラグジュアリーだ。
長いボディサイズを活かし、フロントフェンダー部分にスペアタイヤが内蔵されている。荷室には余裕がある
アルファの4気筒が僅差で勝る滑らかさ
2台を発進させると、僅かに軽くパワフルな2000 スプリントの方が活発。この印象は、ギア比も貢献しているはず。5速で1000rpm当たり30.2km/hなのに対し、406は4速のオーバードライブで38.9km/hとロングだからだ。
どちらのエンジンも5000rpmまで軽快に吹け上がるが、滑らかさではブリストルの6気筒より、アルファ・ロメオの4気筒の方が僅差で勝る。5速MTを操れば、ツイン・ウェーバー・キャブレターが生む限られたパワーを活用できる。
2000 スプリントのシフトレバーは長めながら、滑らかで正確に動く。低回転域でのトルクが太く、64km/h以上出ていれば5速で対応できる。ブレーキペダルはストロークが長く、感触がやや曖昧に思えた。
ステアリングホイールは、406と同様に低速域で重いものの、ロックトゥロックは3回転とレシオは高め。スピードが乗ってくると軽快でダイレクトな反応に変わり、直進性も悪くない。
ブルー・シルバーの406へ乗り換える。ハードな質感のバルブノイズと吸気ノイズが重なり、加速時には素晴らしい音響体験を与えてくれる。低速域での柔軟性や扱いやすさは、2000 スプリントと遜色ない。
富裕層が乗る4シーター・グランドツアラーだが、主要な操作系が入念に煮詰められ、操る喜びに浸れる。ボールジョイントで結ばれるスロットルリンケージは繊細に動き、回転数を意のままに変化させられる。ただし、クラッチペダルはかなり重い。
車齢やサイズから想像する以上に機敏で安定
シフトゲートはタイトで、ブリッピングしながらのシフトダウンがしやすい。右手の指を動かし、小さなクロームメッキのレバーをよければ、オーバードライブへ入る。フロアヒンジ式のブレーキペダルは、力を込めただけしっかり効く。
2000 スプリントと同じく、車齢やボディサイズから想像する以上に、406は機敏で安定している。乗り心地と操縦性との、絶妙な妥協点にあることも共通している。1960年代初頭では、理想的なバランスを得た数少ないモデルの1つだったはず。
乗り心地にはハリがあり、落ち着いている。舗装の剥がれた深い穴を通過しない限り、リアアクスルを乱すことはない。
コーナリングはニュートラルな特性で、ステアリングホイールには路面からの入力が伝わるが、グリップ状態は感じ取りにくい。それでも、細いタイヤはしっかり路面を掴む。2000 スプリントより、ボディロールは小さいようだ。
安定性の高い406には、アルファ・ロメオにはない重厚さが滲んでいる。他方、2000 スプリントは、105シリーズのジュリア・クーペには届かないとしても、ドライバーを惹き込むような魅力を醸し出す。
ブリストル・カーズは、1960年に親会社から独立。大株主のトニー・クルック氏がロンドン西部のケンジントンへ構えたディーラーが唯一の販売店となり、1961年にV8エンジンの407が後を継いだ。
周囲と異なる事実がマニア心を刺激する
アルファ・ロメオは、高額な輸入関税に阻まれ、グレートブリテン島での販売を伸ばすことに苦労した。1960年には、正規の輸入ディーラーすら英国には存在していなかった。
2000 ベルリーナとスパイダーの販売は、個人の代理店、トムソン&テイラー社が担っていた。1962年に6気筒版の2600が登場するまで、ベルトーネ・ボディのスプリントには右ハンドル仕様も設定されていなかった。
今回ご紹介した2台のクーペは、自動車技術の成長期にあった1950年代から、さらなる高級感や高性能化を求めた1960年代への過渡期に生まれた。成熟度を増す市場にあって、販売台数を伸ばせなかった。
2000 スプリントは、アルファ・ロメオの戦前モデルと、その後のブランドを担った101シリーズや105シリーズとの間に生まれた、妥協作ともいえる。406も、親会社が自動車製造から距離を置き始めて時期に生み出されたクーペだった。
ザガート・ボディをまとうブリストルは、高い注目度を保っている。だがオリジナルの406にも、もっと光が当たっていいだろう。同時期のベントレーより乗りやすく、ジャガーより珍しく、アルヴィスより親しみやすい。実用的で気品があり、派手過ぎない。
アルファ・ロメオも、2000 スプリントより望ましいクラシックは少なくない。それでも、ジュリエッタやジュリアとは別の魅力を秘めている。周囲と異なるという事実が、マニア心を刺激する。
ジョルジェット・ジウジアーロ氏のスタイリングは、美しく魅力的でもある。筆者の場合、ブリストルへの思い入れが勝るとはいえ。
協力:リチャード・ハケット氏、リチャード・カープ氏
ブリストル406とアルファ・ロメオ2000 スプリントのスペック
ブリストル406(1958~1961年/英国仕様)
英国価格:4244ポンド(新車時)/6万ポンド(約1050万円)以下(現在)
販売台数:174台
全長:4978mm
全幅:1727mm
全高:1524mm
最高速度:161km/h
0-97km/h加速:14.0秒
燃費:7.1-9.2km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1365kg
パワートレイン:直列6気筒2216cc自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:106ps/4700rpm
最大トルク:17.8g-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動
アルファ・ロメオ2000 スプリント(1960~1962年/欧州仕様)
英国価格:3000ポンド(新車時)/7万5000ポンド(約1312万円)以下(現在)
販売台数:705台
全長:4572mm
全幅:1702mm
全高:1397mm
最高速度:180km/h
0-97km/h加速:14.0秒
燃費:6.4-8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1338kg
パワートレイン:直列4気筒1975cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:116ps/5300rpm
最大トルク:15.4g-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動
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