世界限定19台、このうち日本への割り当てが2台というスーパーキャパシタ搭載の電動スーパーカー、ランボルギーニ シアンロードスター。この超貴重なモデルに西川淳氏が試乗した!
オーナーさんごめんなさいなアクシデントもあり!? な、インプレッションをどうぞ!
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文/西川 淳
写真/西川 淳
[gallink]
■知らない人は使えない工具!? 試乗前にいきなりアクシデント!
魂がこのまま宇宙の彼方へと飛んでいってしまうかと思うほど、ビビってしまった。最近では最大級のショック。世界限定わずかに19台。日本へはたった2台というランボルギーニシアンロードスターをオーナーの好意で納車の朝、ランボルギーニ麻布からそのまま借り出し、台場あたりでまずはディテールの撮影をしていた時のことだった。
ランボルギーニ シアンロードスター。イベントで展示されているようなショーカーがそのまま公道に出てきたかのようなディティールだ
V12エンジンの尊顔を拝んでおこうと思った。シアンロードスターのエンジンフード開閉は、レバーを引いたら開くなどという通常の作法ではなく、かといってレーシングカーのようなボンピンを抜いてパカッなどというシンプルな方法でもない。3つの歯を持つ特殊な三角形状のレンチでロックを解除し外すという手法だった。スタッフがレンチを手にロックを解除しようとしたその時、ポキポキと歯が折れてしまった!
スタッフの顔から血の色が消え失せる。隣にいる僕にも連鎖した。シアンロードスターの何かを納車されて一時間後にいきなり壊してしまったのだ! 魂がどっかへ飛んで行く、というより、この際、自主的に飛んで行ってもらいたいとすら思った。そのほうがどれほど気楽なことか(気がなくなるんだから当たり前なのだけれど)!
スタッフの手のひらに2枚の折れた歯。よく見るとプラスチック製で、ランボ自慢の3Dプリンティングで作られたものらしい。オーナーが予備を持っていたのでもう一度仔細に観察してみれば、回し方を間違うと即座に折れるくらいの製品だった。
幸いにしてオーナーの度量は深かった。そりゃそうだ。納車されたての世界19台3億円のロードスターを筆者の手に委ねてくれるくらいだから、プラスチック製品の歯が二つ三つ折れたところで気にしない。とはいえ、フードの開閉は諦めた(予備はひとつしかなかった)。
よって、今回エンジンの写真はない。悪しからずご了承ください。
今回開かずのエンジンルーム。ボディに入った差し色と同じ、ピンクゴールド系の輝きがチラリ
ちなみに件の3Dレンチは、最近試乗したウラカンSTOにも至るところで使われていた。強度アップをマウリツィオに今度会ったら頼もうと思う。
■気を取り直してインプレ開始!
前置きが長くなったが、シアンロードスターの本邦初インプレッションである。否、ひょっとするとシアンそのものにジャーナリストが試乗することも初めてなんじゃないか。試乗リポートを報告する前に、簡単にシアンロードスターについて振り返っておこう。
シアンはアヴェンタドールの骨格やメカニズムに小改良を施したハイブリッドV12の2シーターミドシップスーパーカーだ。アヴェンタドールに対してスーパーキャパシタをリアバルクヘッドに追加し、34psの48V駆動電気モーターを785psV12とISRミッションとの間に挟み込んだ。クーペFKP37は63台、ロードスターは前述したように19台という超のつく限定車である。
スタイリングはチェントロスティーレで、実を言うとシアンベースで登場した新型カウンタックを待つまでもなく、こちらが本来カウンタックオマージュデザインだった。そのことはクーペのルーフ周りの造形からも明らかだろう。
ランボルギーニ本社のチェントロスティーレデザインセンターで生み出されたシアン。本車をベースとして開発中の新型カウンタックを待つまでもなく「カウンタックオマージュデザイン」だという
それにしても素晴らしいコンフィグレーションだ。世界中のシアンをインスタグラムで見てみたが、エレガントさという点でこの個体は抜きん出てる。シアンともなれば100%アドペルソナム、つまり特注で“なんだってできる”。
この何でもできるというのが実は曲者で、色使いひとつをとってもチェントロスティーレからこれまでなかった提案を見せられたりするものだから、ついつい“あれもこれもやっちゃえ”になってしまう。だから世界のシアンはちょっと首を傾げる色味が多い。
実際、筆者が初めてシアンを内見した際、チェントロスティーレで見たさまざまなペイントオプションはいずれもちょっとやり過ぎで、かっこいいとはまるで思わなかった。もとより派手で目立つマシンなのだ。この個体のようにできるだけ色味を抑える方向に逆張りするほうがかっこいいと思う。
リアウイング展開状態。裏面への配色もオーナーのセンスが光る
ちなみにロードスターは完全なるトップレス、つまり屋根はない。取材当日は薄曇りで、途中で雨が降らないかとそれもまた気がかりだったのだが……。
■アヴェンタドールの完成形
結論からいうと、その走りは「これぞアヴェンタドールの完成形」だった。時代が許せばおそらく、この乗り味がアヴェンタドールの後継でもよかったのではないか、とさえ思う。電動化へのプレッシャーがさほど大きくなかった頃には、スーパーキャパシタを使ったハイブリッドV12を後継モデルに使うという腹案もあったのではなかったか。
アヴェンタドールのモデルチェンジが予定の10年を超えてまだ行われていない背景には、やはりプラグインではなければ社会から認められないという方向転換がグループ内で決められたからなのだろう。かくしてアヴェンタドール後継モデルは現在、プラグインハイブリッドのV12として開発が進んでいる。
それはさておき、シアンロードスターの乗り味をアヴェンタドールの完成形と表現したことには理由がある。それはISRミッションの変速ショックがかなり和らげられていたからだ。筆者はシングルクラッチ式の2ペダルミッションがさほど嫌いではない。
そもそも3ペダルマニュアルドライブが好きなタチだから、つんのめりショックを回避するドライブテクニックも楽しみのひとつだと割り切っていた。ところがDCTが2ペダルの趨勢となってシングルタイプが減ると、途端に文句をいう人も増えたようだ。面白いことにアメリカ市場ではさほど文句も出なかったらしい。変速のあのダイレクト感こそがアヴェンタドールである、と!
■モーターアシストの恩恵はダイレクト感を増大する
シアンでは電気モーターの出力がシフトアップ時のトルク落ちをうまくカバーするため、特にアクセルワークに気を遣わずとも不快なショックを回避できる(ストラーダモードで100km/h以下)。スムーズな加速という点でシアンは明らかにアヴェンタドールを上回っていた。
48Vのモーターアシストにより独特なISRミッションの変速ショックは緩和され、NAエンジンはもっとレスポンシブになった
そして、何より嬉しいのは中間加速のダイレクト感と力強さが増していることだ。もとより6.5L12気筒はパワフルである。4WDであるうえに車体も軽いため加速フィールも生半可ではない。けれどもエンジン回転を上げていけばいくほど力感を得るというキャラクターが自然吸気の基本だから、どうしても相対的に中間加速を鈍く感じてしまう。シアンはそこをモーターの出力でカバーした。
だから高速走行中に軽く右足を踏みこんだだけで即座にグイッと腰から引っ張られるような加速に移る。自然吸気エンジンにはないノリのよさだ。例えば高速道路の料金所を通過して加速に移った時の瞬発力が違う。100km/hまでが凄まじく速い。それこそ宇宙の彼方でビビりそうになる。
そこからはもう大排気量自然吸気V12エンジン単体の出番で、正直、日本の高速道路では785psと初期型700psの違いなどわからない(200km/h以上の世界でははっきりと体感できるのだが!)。だから、かえって中間域をモーターでアシストするシアンを明確に速いと感じることができるのだった。
コーナリング中にノーズの存在をやや長く感じる場面もあったが、総じてダイナミックパフォーマンスはアヴェンタドールの上をいく。いやはや世界限定82人が羨ましいかぎりである。
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日本は割り当て2台なんだ。やっぱり日本は貧乏な国だね。