WTCR世界ツーリングカー・カップは12月13~15日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで2019年シーズン最終大会が行われ、ポイントリーダーとして臨んだノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR)がシリーズチャンピオンに輝いた。チームタイトルは2019年から参戦しているシアン・レーシングLynk&Coが獲得している。
全10大会/30レースで争われた2019年のWTCR。シーズン最終戦となるセパンでは、ミケリスのほか、エステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)、イバン・ミューラー(Lynk&Co 03 TCR)、テッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR)の4名がチャンピオンを争った。
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この最終大会は二輪の耐久レースEWC世界耐久選手権と併催だったこともあり、13日(金)に2回のフリー走行と2回の予選が行われ、決勝レース1~3は1日インターバルを置いた15日(日)に行われた。
ランキングトップのミケリスはフリー走行1回目でトップ、2回目では2番手タイムを刻むとレース1のグリッドを決める予選1回目でも最速タイムでポールポジションを奪ってみせる。
勢いに乗るミケリスはレース2~3のグリッドを決めるノックアウト方式の予選2回目でもライバルを圧倒。レース3のポールを決めるQ3では2番手につけたグエリエリに0.784秒差をつけてトップを奪った。予選Q2のトップ10リバースグリッドとなるレース2のポールはマ・キンファ(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)が獲得した。
1日インターバルを挟んで迎えた決勝日は灰色の雲が広がる天候。時間が進むにつれ雨が降り、勢いも増していくなど難しいコンディションのなか争われることに。
弱い雨が降り出したタイミングでスタートを迎えたレース1は、セーフティカー先導で幕を開けると2周目からバトルがスタート。ここではポールシッターのミケリスが逃げ切りポール・トゥ・ウィンを飾っている。
ミケリスとチャンピオンを争うグエリエリは表彰台目前の4位でフィニッシュ、ミューラーは16番手スタートから6位でチェッカーを受ける力走をみせたものの、ビョークはタイヤ選択に失敗し27位フィニッシュ。チャンピオン争いからは脱落を余儀なくされた。
■完全ウエットのレース2はマシンから出火のアクシデント
レース1開始時刻から3時間後の現地18時15分にスタートしたレース2は完全なウエットコンディション。スタンディングスタートで迎えた1周目では9番手スタートだったグエリエリがロケットスタートを決め、オープニングラップでトップまで上り詰める。
しかし、このオープニングラップでは9コーナーのヘアピンで、後方集団を走っていたミューラーのリヤにニッキー・キャッツバーグ(ヒュンダイi30 N TCR)が追突するクラッシュが発生した。
接触したミューラーは走行を再開し、いったんグラベルエリアへ飛び出したキャッツバーグもゆっくりとしたペースで復帰を試みたが、コースに戻った直後にミューラーに追突したマシン右フロントから火の手が上がってしまう。
キャッツバーグは自力でマシンを脱出し、火もすぐに消し止められたものの、このアクシデントでレースは赤旗中断。この赤旗はオープニングラップで各車が入り乱れて順位を争うなか出されたため、レース再開時のポジションに混乱が出てしまい、レースは1時間近く中断されることに。
結局、レースはクラッシュが起きる前のセクター2通過順位で再開されることとなり、セクター2通過時点では2番手だったグエリエリは首位から後退。代わってネストール・ジロラミ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)を先頭にレース再開となった。
迎えたリスタートでは、グエリエリがジロラミを交わしてポジションを奪還。そのままリードを12秒近くまで広げてみせる。終盤にはアッティラ・タッシ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)がコース上でストップし、2度目のセーフティカー導入となったものの、グエリエリが逃げ切りレース2を制した。
このレース2ではミケリスが8位でチェッカーを受け、両者は10ポイント差に。キャッツバーグに追突されたミューラーは6位でフィニッシュしたものの、チャンピオン争いからは脱落となった。
また、このレース2でマシン出火から出化したキャッツバーグは、1時間の赤旗中断中にマシン修復が叶ったものの、レース2への再出走は認められず。また、「カーナンバー100(ミューラー)に追突し、セーフティカーを出動させ、レースを中断させた」ことによるペナルティとしてレース3への参加も認められなかった。
■王座争うふたりがフロントロウのレース3は接触が原因で幕切れ
チャンピオンを争うミケリスとグエリエリがフロントロウで迎えたレース3は、3番手スタートのマイケル・アズコナ(セアト・クプラTCR)、1周目で21番手から3番手までポジションを上げたヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が四つどもえのトップ争いを繰り広げた。
トップ4台のうち、アズコナとグエリエリは5周目の11~12コーナーで接触。ここで負ったダメージが原因でグエリエリはレース終盤に複数回のピットインを強いられたため、この時点でミケリスがチャンピオンをほぼ手中に収める状態となった。
このレース3は終盤までアズコナがラップリーダーだったものの、ファイナルラップ目前の11周目、最終コーナーでクリストファーソンがオーバーテイクに成功してトップ浮上。そのまま逃げ切って優勝を飾った。
2位チェッカーはアズコナ、以下ケビン・チェコン(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)、フレデリック・バービッシュ(アウディRS3 LMS)、ミケリスと続いたが、2位アズコナにはグエリエリとの接触により30秒ペナルティが与えられ14位まで降格となった。
グエリエリは「ミラクルを信じて」最後まで走行を続けたものの22位に終わり、繰り上がり4位となったミケリスが2019年シーズンのWTCRチャンピオンに輝いた。ヒュンダイ陣営としては2018年のガブリエル・タルキーニに続き2年連続の王者輩出となった。
一方チームチャンピオン争いでは、2019年シーズンからWTCRを戦うLynk&Co陣営、ミューラーとビョーク要するシアン・レーシングLynk&Coが628ポイントを稼ぎ出し、タイトルを手にしている。
このWTCRセパン大会にKCMGからスポット参戦したジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)はレース1で5位入賞を果たしたほか、このレース1で2分29秒887のレースファステストも刻んでみせた。
レース2~3は雨あしが強かったこともあり、このレースファステストを上回るドライバーはなく、オリベイラはその週末のベストラップドライバーに贈られるタグ・ホイヤー・ベストラップ・トロフィーを受賞している。
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