マイナーチェンジを受けたアウディ「A4」のディーゼル・モデルに小川フミオが試乗した。
価格に見合う完成度
ちょっと余裕あるサイズのセダンが欲しい。でも大きすぎては困る……そんなひとに向けて作られたのが、アウディ「A4」かもしれない。全長4.76mで、後席もスペースがじゅうぶん。さらに2021年1月から発売されているディーゼルモデルの「TDI」は、リッター17kmごえの燃費で実用性も高い。
A4といえば、メルセデス・ベンツ「Cクラス」(全長4.75m)やBMW「3シリーズ」(同4.72m)などと、マーケットで競合してきた。
A4セダンは、たとえば高速道路で走行しているのを見かけると、堂々としている。ボディサイズといい、面の張りや存在感のあるタイヤとボディとの釣り合いがよくとれていること、さらに細部の飾りなどで上質感が高く、500万円超えの価格に見合う価値が感じられる。
さきに私は、2.0リッターガソリンエンジンの「A4 35TFSI」に乗ったとき、適度にパワーのあるエンジンと、思ったとおりに動くすなおなハンドリングのよさで、いいクルマになったなあと感心した記憶がある。
今回乗ったのは、「A4 35TDI advanced」というディーゼルのラインナップにおけるベーシックモデル。1968cc4気筒エンジンは、120kW(163ps)の最高出力と、380Nmの最大トルクを発生する。
「35TDI」のエンジンは、アルミニウム製のクランクケースや鍛造ピストンを採用して軽量化がはかられており、7段ツインクラッチの「Sトロニック」を介して、前輪を駆動する。このエンジンは、リチウムイオンのサブバッテリーを使うマイルドハイブリッドで、スタート時などモーターがトルクを上乗せする。
ちょっと気になる乗り心地
加速はスムーズで、ふつうに使っているぶんには力不足はかんじない。ディーゼルエンジンの音も抑えめで、ガソリンエンジン車との差があまりないと思える。動力源が静かなぶん、高速ではタイヤまわりの音が気になってしまうほどだ。
高速ではいたって快適。2825mmと長いホイールベースのおかげで、フラットな姿勢が保たれる。意外だったのは、ディーゼルのベーシックモデルというわりには、けっこうスポーティな味つけの点。とくに車線変更時や、カーブなどでの動きはきびきびと感じられる。
リア・サスペンションを締め上げすぎているのが、ちょっと惜しい。路面がいいところでは、ゆるやかなうねりにも足まわりが追従して、たいへん気持ちいい。が、高速道路のつなぎめや、道路の段差など、シャープな高周波の入力があると、ガツンとしたショックが伝わってくる。
ちなみに現在のA4シリーズは、2020年10月にビッグマイナーチェンジを受けたもの。このときフェンダーまわりが力強くふくらんで、全幅が5mm拡張した。同時に、「MIB3」とアウディが呼ぶインフォテインメントシステムが採用され、センタースクリーンはタッチパネル式にアップデートされている。
変わらぬ高クオリティ
試乗したグレードは「advanced」。もうひとつ、よりスポーティな仕上げのS lineもある。advancedはLEDヘッドライト、LEDリアコンビネーションライト、ダイナミックターンインジケーター、さらにサイドスカートを標準装備する。「従来のS lineよりもさらにスポーティ」とアウディジャパンではする。
すべてを液晶画面のなかで操作するのでなく、エアコンをはじめ、主要な装備のために物理的なスイッチが残されているのも、A4シリーズのおおきな長所だ。視線の移動が少なく確実に操作できるからだ。
アウディのプロダクトは、人間が本来もっている感覚を大事にしていると私は思っている。
アウディ車について書くとき、必ずといっていいほど褒めてしまうドアの開閉音や、各種スイッチの操作感など、簡単にいえば、聞いたり触ったりが気持ちよい。
眼には見えないところにもコストをしっかりかけている。
価格は538万円。安くはないものの、気持ちよく、長くつきあっていけるという観点からすると、いい買い物と思えるのではないだろうか。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
○ 性懲りもなく、クリーン笑ディーゼル推しかよ
○ 日本のユーザーは地元欧州では売れなくなったディーゼル車の廃品回収役、良いカモ
○ FF大衆セダンに乗り出し600万円とか気持ち悪い、これまたカモネギ
○ まだ売ってたのかという加齢臭モデル、歳がいなくプチ整形しても早晩フルチェンジ(もしくは姥捨?)
以上、個人の感想ですww