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【史上最大の革命】WRC ハイブリッド化をどう思う? チーム代表に聞いてみた

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【史上最大の革命】WRC ハイブリッド化をどう思う? チーム代表に聞いてみた

ラリーにとって賢明な一歩

text:Damien Smith(ダミアン・スミス)

【画像】激アツなクロスオーバー【フォード・プーマをじっくり見る】 全69枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

マルコム・ウィルソンは、40年以上にわたるラリーのキャリアの中で、あらゆることを経験し、成し遂げてきた。伝説のグループB時代のラリーを乗り越え、30年間にわたって何らかの形で世界ラリー選手権(WRC)にフォードの代表として参加し、コリン・マクレーとカルロス・サインツを同じチームで走らせ注目(とストレス)を集めた人物である。

そんな彼が、2022年から導入されるハイブリッド技術についてどう考えているのか。英国カンブリア州出身の彼は、印象に残りづらい人物だ。マシンのハイブリッド化は、彼の情熱に火をつけたのだろうか。直接聞いてみた。

「正直なところ、そうですね」と彼は笑顔で答えた。「テスト期間中に森を走らせ、とても興奮しました。ラリーにとって最大の革命であることに疑いの余地はありません……おそらくグループB時代よりも大きいでしょう」

先日英国で開催された自動車イベント、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、ウィルソンのMスポーツ(M-Sport)とフォードは、来年のWRCに参戦する新型プーマ・ラリー1を公開した。

フィエスタに代わって採用されたコンパクト・クロスオーバーのプーマは、ヒルクライムを全力疾走し、ラリーファンに愛されているお馴染みのサウンドを披露した。2014年にF1がハイブリッド化した際には、1.6L V6ターボの弱々しい音をかき消すほどの苦情が寄せられたが、WRCのステージでは話が違ってくるだろう。

Mスポーツのチーム代表であるリチャード・ミレーナーは、「変化を受け入れることがどれほど難しいかは誰もが知っていることですし、騒音や雰囲気を失いたくないという思いもありますから、ラリーにとっては賢明なステップです」と述べている。

「わたし達は、現在ショールームで市販されているクルマを反映させています。これはエキサイティングな機会です」

見た目やサウンドは変わらず

世界の流れを考えれば、ラリーがハイブリッド技術を取り入れるのは当然のことであり、WRCの3つのメーカー(フォード、ヒュンダイ、トヨタ)が参戦を継続するためにも、また、他のメーカーに参戦を検討してもらうためにも、必要なことなのだ。

フォード・パフォーマンスのグローバル・ディレクターであるマーク・ラッシュブルックは、プーマ・ラリー1のデビューを見届けるために米国からグッドウッドに足を運んだ。

「マイルド・ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッド、完全EVなど、あらゆる市販車で電動化が進んでいるので、どこかで電動化で勝負したいと思っていました」

「ハイブリッド車や完全EVを導入している、またはこれから導入するであろうモータースポーツを見て、FIAとWRCが2022年の新マシンとして提示したものにとても満足しています」

「そして、ラリーの世界では常にMスポーツとパートナーシップを組んできたので、この関係を継続し、新しいルールで新しいクルマを作る機会を得たいと思いました」

ラリー1と呼ばれる新ルールで焦点となるのは、コスト管理と持続可能性、ハイブリッド技術だ。FIAによると、「見た目と音の主張」という基本的な要件は変わらず、4輪駆動と現行の1.6L 4気筒ターボガソリンエンジンも変わらないが、現行のWRCカーより複雑さとコストを削減する努力がなされている。

「現在のアンチ・ラグ・システムなど、高価なアイテムを外してもパワーは変わりません」と、ウィルソンは説明する。

「今回のレギュレーションのベースとなったのは、ラリー2カテゴリーです。5速トランスミッションとマニュアルシフトに戻して、車両のエントリーコストを下げることにしました」

安全性を高めたマシン

また、新しいシャシー構築方法について、ウィルソンは次のように述べた。

「これまでは、常に市販ベースのボディシェルを使用していましたが、今回は初めて採用を見送りました」

「構築作業の大部分は、シャシーから部品を削り、必要な箇所を補強することです。願わくば、構築にかかる時間を短縮したいと考えています」

安全性については次のように話している。

「おそらくラリーで最も強く、安全なクルマになると考えています」

「側面衝突に大きな重点が置かれており、今では構造の一部がシートの真横に設置されています。乗り込むのは少し難しくなりましたが、側面衝突保護は非常に重要です」

ドライバーの反応は良好

とはいえ、最も重要なのはハイブリッド技術だ。コンパクト・ダイナミクス社製の標準的な136psの電気モーターに、3.9kWhのバッテリーを搭載したラリー1は、WRCにおけるグループB以来の大変革をもたらすものだ。

ミレーナーは、次のように語っている。

「チャンピオンシップでハイブリッド技術をどのように使用するか、多くの議論がなされてきました」

「ステージでは主に短時間の加速で使用し、その後、ブレーキでそのエネルギーを回収します。実際には、ステージ中にバッテリーの総電圧が下がり、ロードセクション(リエゾン)で再充電することになるでしょう」

「どんなものかと思っていましたが、このシステムを使ったドライバーは皆、今年のマシンに搭載したいと言っています。事実上、100psが追加されたことになります」

「ドライバーたちがどう反応するかは興味深いですね。少し違ったドライビングスタイルが必要になるでしょう」

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みんなのコメント

1件
  • SNSとかで来季のトヨタやフォードのマシンが上がってるけど特にハイブリッド化しても音は変わっていなくてホッとした
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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