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【さらば愛しきビートル 80年の歴史に幕】購入への道と快楽

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【さらば愛しきビートル 80年の歴史に幕】購入への道と快楽

 1938年に産声をあげたフォルクスワーゲンタイプ1。世界各地でカブトムシを意味するビートルやバグ、ケーファー、ボチョなどの愛称で呼ばれている。

 2019年7月11日、最後の生産拠点であるメキシコのファクトリーで、ザ・ビートルの最後の1台がラインオフ、誕生から約80年の歴史に幕を下ろすことになった。

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 そして2019年9月25日、日本に正規輸入される最終ロット64台のザ・ビートルが豊橋市のVGJ豊橋インポートセンターに隣接する明海埠頭第一号岸壁に陸揚げされた。

 そこで、タイプ1歴代モデルを紹介するとともに、これから手に入れたいという人のために、空冷タイプ1の中古車相場も紹介。さらに、空冷VW専門店に聞いたタイプ1の魅力や実際に所有するオーナーの生の声もお届けする。

文/野里卓也 
写真/Volkswagen AG フォルクスワーゲングループジャパン FLAT4 野里卓也

【画像ギャラリー】写真で見るビートル歴代モデル、キャルルックほか

3代にわたって日本に愛されてきたビートル

2012年6月、ザ・ビートル日本発表時のもの

 プロトタイプが完成した1938年から2003年まで、半世紀以上も発売されたVWタイプ1(空冷)。当時は世界で最も販売された乗用車として(累計2100万台)ギネスブックにも認定されており、販売された地域も欧州圏はもちろん北米や中・南米、それに日本やオーストラリアまで世界各国で愛されてきたモデルだ。

 その一方でご存じのとおり、駆動方式がRRからゴルフベースのFFとなった新しいビートルも登場。1998年にはそれまでの空冷エンジンから水冷エンジンに変わり、新しいデザインと生まれ変わった「ニュービートル」が誕生。

 そして2012年からは「ザ・ビートル」として、さらにデザインが洗練されたビートルが発売された。それぞれの日本での販売台数を見ていくと……。

 空冷タイプ1だけで毎年3400台以上、ニュービートルやザ・ビートルに至っては毎年6000~7000台以上と、コンスタントな台数を売り上げているのだ。

 さらにザ・ビートルは生産終了が発表された2019年7月時点で、前年比110%以上(※ 2019年1~7月。前年同月比)と、まもなく販売終了にもかかわらず台数を伸ばしている。ちなみにザ・ビートルもボディカラーやグレードによって品薄になってきているというので、手に入れたい場合はお早めに!

■タイプ1の日本での累計販売台数/1953年~1978年 8万9810台

ウォルフスブルグのVW本社工場に1938年から1975年までのVWタイプ1が並べられた。5台並んだ写真の左から1938年から1955年、1965年、1975年へと進化を遂げていく。なお、1952年には日本にも輸入されていたのだが、当時は駐留の外国人しか購入できなかったという

■ニュービートルの日本での累計販売台数/1998年~2010年 8万3103台

2代目となるニュービートルはそれまでの強制空冷方式から別れを告げて、ついに水冷エンジンを搭載。ゴルフ4のプラットフォームをベースに2Lエンジンとなり駆動方式もRRから近代的なFFへと進化。スタイルも先代のタイプ1のフォルムを踏襲しながらも、新しいビートルに相応しいデザインが採用されている。後年には1.8Lターボエンジンを搭載したニュービートルターボも登場。ドイツ・カルマン社によるカブリオレモデルがラインアップされていたことも記憶に新しい

■ザ・ビートルの日本での累計販売台数/2012年6月1日~ 4万4681台

2019年9月25日、日本に正規輸入される最終ロット64台のザ・ビートルが豊橋市のVGJ豊橋インポートセンターに隣接する明海埠頭第一号岸壁に陸揚げされた

これを読めば完璧!【空冷ビートル中古車購入ガイド】

 さて、日本では1953年~1978年まで正規販売され、2003年までメキシコで販売されてきたが、年式によってどこがどう違うのか、どの年式のモデルが人気なのか? 空冷VW専門店「FLAT4」に空冷ビートルの魅力をお聞きするとともに、空冷VW専門誌『ストリートVWs』編集部に中古車相場を聞いた。

 空冷ビートルは、VWファンの間で年代別に「スプリット」、「オーバル」、「ロクナナ」、「アイロンテール」、「ビッグテール」などの通称で呼ばれている。そうした通称&年代別に分けて紹介していこう。

 中古車相場について、空冷VW専門誌『ストリートVWs』編集部では、

「ビートルのプライスは、年式だけでなく、さまざまな理由で上下します。ボディの状態(腐っていることも多いです)、エンジンの調子(オーバーホールがしてあるだけで50万円以上アップします)、パーツがオリジナル(世界中から社外品が発売されています)、そして貴重なオプションが付いていると価格がアップする傾向にあります。

 また、カスタムやチューニングされた車両は、そのメニューによってプラスにもマイナスにもなります。30万円で買えたビートルが100万円の時代です。この10年で、相場は下がっていません。ドライブするのが楽しいビートルですから、投機目的よりも本当に欲しい人が求めた結果でしょう」。

 これを踏まえたうえで、各年式の中古車相場を紹介しよう。

スプリットウインドウ ~1953

1951年式タイプ1スピリットウインドウ。ベルギーから持ち込まれたヨーロピアンDXモデル

エンジンは1131cc、25psを発生する強制空冷の水平対向4気筒を搭載

2分割に分割されたウインドウからスプリットウインドウと呼ばれる

 1953年までに生産されたモデル。外観での大きな特徴はリアウインドウが2分割になっていること。このことから「スプリットウインドウ」と呼ばれている。

 エンジンは強制空冷の水平対向4気筒で1131cc。誕生時からエンジンは強制空冷方式であり、後年に排気量は拡大され、出力も向上するものの、生産終了までこの方式は踏襲されていた。

 テールランプにも注目。反射鏡(リフレクター)のみで、ウインカーはセマフォーと呼ばれる格納式のウインカーが装備されている。

■中古車相場/スプリットウインドウ
 リアウインドウが2分割の初期のモデルです。1953年まで生産されました。カワイイというより、重厚な感じです。10年前までは300万円もあれば購入できましたが、今では世界中のクラシックカーブームに乗って投機対象になり、500万~700万円くらいです。1940年代のモデルには1000万円以上の値段が付くこともあります。

オーバルウインドウ 1953~1957

1955年式ならではのリフレクター付きの通称"ハートテールライト"やセマフォー、"涙目"と呼ばれるHELLA製フルーテッドヘッドライトレンズなどを装備するオーバルウインドウ

斜め後ろから見た美しいオーバルウインドウの姿

窓が楕円形、オーバルの形からオーバルウインドウと呼ばれている

 1953年~57年にかけて生産された「オーバルウインドウ」。リアウインドウが楕円形のウインドウに変更されたことからその名称となっている。

 エンジンは1192ccに拡大され、出力も25psから30psにアップ。一方ではフロントボンネット下のトランクの容量も拡大され75Lから85Lとなり使い勝手も向上。

 なおUSモデルのみウインカーはセマフォーからブレットタイプに。バンパーも同モデルのみダブルバンパーが採用される。

■中古車相場/オーバルウインドウ
 リアウインドウが小さな楕円形のモデルです。世界中に輸出されて生産台数が爆発的に増えたこともあり、価格上昇はスプリットウインドウよりも緩やかです。それなりの状態のものは200万円から狙えます。しかしオリジナルに忠実にレストアされた個体は、500万円を超えます。

スモールスクエアウインドウ 1958~1964&ラージスクエアウインドウ 1965~1966 

1964年式のスモールスクエアウインドウ

オーバルウインドウの後に登場したスモールスクエアウインドウモデル

 1958年からはリアウインドウが拡大し四角の形状になった「スモールスクエアウインドウ」に。年式でリアのウインドウ面積が小さなスクエアタイプと大きなラージスクエアタイプと分かれているのだが、まとめて紹介することにする。

 スモールスクエアウインドウは1958年~1964年までのヘッドライトにカバーが備わり、目が大きく見えるのが特徴。年を追うごとにウインカーが大きくなり、1965年モデルからはリアウインドウがひと回り大きくなり、ラージスクエアウインドウと呼ばれる。

■中古車相場/スモールスクエアウインドウ&ラージスクエアウインドウ
 古いほど価格は高めとなりますが、それよりも程度によって左右します。50万円くらいで購入できるものは、それなりの腐食があるでしょう。この年代になると、新車時の塗装や内装がオリジナルのまま残っている個体もあり、300万円を超えてきます。

1965年式ラージスクエアウインドウモデル

1965年からリアウインドウがさらに大きくなり、ラージスクエアウインドウと呼ばれる

ロクナナ/1967

1967年製造のロクナナ。ボディは新しくペイントされ内装も一新されている。バンパーはダブルバンパーを装着しているほか、FLAT4オリジナルのBRMホイールが装着されている

スプリット、オーバルに次いで人気のあるロクナナ。価格は高いもので300万円前後。テールランプは小判に似ているのでコバンテールと呼ばれている

U.S.エクスポートモデルの特徴であるU.S.スタイルバンパー 、FLAT4 REVMASTERデュアルクワイエットマフラーを装着

綺麗な状謳に保たれているインテリア。FLAT4のGTウッドステアリングを装着

 電装系がそれまでの6Vから12Vに切り替わるという、タイプ1の歴史のなかでも非常に重要なターニングポイントとなるモデル。

 1966年8月から67年7月までにドイツ本国で生産されたタイプ1がいわゆるロクナナといわれているモデルだ。

 最大の特徴は、US&日本仕様では12V化と同時に、ヘッドライトの形状がフロントフェンダーのラインに沿ったスロープスタイルから、直立型に変更されたこと。なおかつ、ダブルバンパーを備える最後のモデルでもある。

 直立型ヘッドライトとダブルバンパー、ヴィンテージVWの味わいと、現代の交通事情でも安心して走れるパフォーマンス、双方の魅力を持ち合わせているモデル。

■中古車相場/ロクナナ
 1967年式の北米仕様(日本仕様も含む)に限り、ダブルバンパーでありながらヘッドライトが垂直になって、独特の表情です。さらにフロントフェンダー、リアフードのデザイン、リアダブルバンパーの形状、ドアハンドルなど1967年式しか採用されなかったディテールも多く、レースでも活躍したので熱狂的なマニアが存在する年式なのです。中古車相場は150万~300万円で、正しい1967年式のディテールをキープしているほど高価になります。

アイロン&ビッグテール 1968~1978

1969年式のアイロンテール

まるでアイロンのようなテールランプを持つことからアイロンテールと呼ばれる

 1968年からは北米で新しい安全基準が設けられたため、安全性を考慮して、前後バンパーがプレス成形による直線的な形状となり、テールランプが大型化された。

 このテールランプがアイロンのような形をしていることから、1968~72年のモデルは「アイロンテール」と呼ばれている。

 1973年以降はテールランプがさらに大型化されて金属製のハウジングを持たない仕様となり、こちらは「ビッグテール」と呼ばれる。

■中古車相場/アイロンテール&ビッグテール
 1968年~1978年までに生産され、大きなプレスバンパーが特徴です。1972年まではテールランプ形状から、アイロンやロケットと呼ばれ親しまれています。1973年からは大きな小判型のビッグテールになります。この年代になるとヤナセの正規輸入車が多く、30万円から探せますが、相場は100万円前後。新車時のオリジナルと保っていると150万円を超えてきます。

1978年式のビッグテール

歴代モデルのなかで最も大きいテールランプを持つビッグテールモデル

グローリービートル/1978

日本限定でわずか500台(ブラック/ホワイト各250台)しか生産されなかった貴重な限定モデル"GLORY BEETLE(グローリービートル)"。開放感抜群のVW純正スライディングルーフやレッドチェックパターンのシート、National製AM/ FMラジオ等が標準装備されており、最終モデルに相応しい特別仕様となっている

比較的新しいモデルでドイツ生産にこだわるのであればグローリービートルがお薦め

グローリービートル専用のレッドチェックパターンのシート

 1978年にタイプ1はドイツでの生産を終了することになるが、その最終限定モデルがこのグローリービートル。ヤナセが500台を正規輸入した。チェック柄シートやAM/FMラジオ、シート柄と同じキーケースと工具入れにボストンバックまで装備するなど特別なモデルとなっている。

■中古車相場/グローリービートル
 やはり人気が高く、程度によっても幅がありますが、130万円前後から200万円を超えるものまでさまざま。グローリービートルの特徴でもあるチェック柄シートの破れや痛みなどがないかしっかりチェックしよう。



メキシコビートル ~2003

世界限定で3000台というファイナルモデルの『ULTIMA EDITION』 。VW純正のエアコンやフロントブレーキを装備。ホワイトウォールのラジアルタイヤまで装着される

最も新しい空冷ビートルが欲しいならメキシコビートルがおススメ

モダンなデザインのインパネ

ビートルのエンジンは最終的には1600ccまで拡大され、出力は60psまで向上。ちなみにメキシコビートルはノーマルで44ps、
60psはドイツ時代のインジェクションモデル

 最終型となるのがこのビートル。ドイツ本国では1978年に生産中止となったが、ブラジルやメキシコの工場ではその後も引き続き生産が継続されていた。

 そして、2003年には生産終了が発表。その年にメキシコで生まれたのがこのモデルだ。メキシコモデルは総数で約170万台が生産されたといわれており、今でも世界中で元気に走り回るモデルが多いという。

 しかし、生産終了から16年も経過したことで良い個体を手に入れることが専門ショップのFLAT4でも難しくなってきたという。写真は同社で販売中の世界限定車『ULTIMA EDITION』だ。

■中古車相場/メキシコビートル
 1978年にドイツ本国での生産が終了したビートルだが、その後もメキシコやブラジルで生産が続けられ、1990年代には日本にも多く輸入された。クーラー付きで程度の良い個体は100万~150万円と、相場がジワジワと上がっています。

【画像ギャラリー】写真で見るビートル歴代モデル、キャルルックほか

空冷VW専門店FLAT4が語るビートルの魅力とは?

東京・目黒区にあるFLAT4の東京本社にて。同社の企画・広報課長の川崎篤さん(右)と営業の田中鉄也さん

 ここまでタイプ1の歴史を紹介してきたが、日本にはタイプ1をはじめタイプ2(バス&ウエストファリア)、タイプ3といった空冷VWを専門に扱うショップがある。それが東京都目黒区に本社を構えるFLAT4だ。

 創業が1976年という国内有数の老舗で、ユーズドカーの販売を筆頭に、世界中から取り寄せたパーツやアクセサリーの販売、それにメンテナンスまで手がけるビートルの駆け込み寺ともいうべき存在だ。

 自身も空冷ビートルを数台も乗り継いでいる、同社の企画・広報課長の川崎篤さんにタイプ1の魅力を伺ってみた。

「やっぱり、チャームポイントは見た感じそのままの丸っこい愛らしいスタイルだと思います。購入する年代も20代~60代まで、とにかく年齢層が幅広いです。

 年配の方ですと、若い頃に憧れていたビートルを仕事が一段落したのを機に、手に入れるという方も多いです。

 一方では、若い方でも初めての愛車として選ぶ方もいらっしゃるんですよ」という。また、特徴のあるバタバタというエンジン音はビートルならではのものと、スタイルや空冷エンジンに惚れて指名買いで購入するが多いとか。

 さらに空冷ビートルだけの大きなアドバンテージがあるという。それはエクステリアにインテリア、それにエンジンやサスペンションなど全てのパーツがケタ違いに豊富だということ。

 古今東西を含めビンテージのモデル「あるある」だが、それ相応の年代になると純正パーツはもちろん、社外品のパーツまで入手が困難になるもの。ところがビートルでは純正パーツがまだまだ手に入るそうで、もっと言うと社外品の商品も数多く出回っており、それこそ選り取り見取りだという。

「新品のパーツだけでクルマ一台分組めるくらいパーツが豊富です。1960年代の初期モデルでも問題ありません。当社ではオリジナルのホイールも製作しています」という。特に北米は世界で一番売れたエリアでもあり、パーツの供給は今でも潤沢だそうだ。

FLATで販売されている商品の中で特に人気なのが、ボディの補修用純正色スプレー。とにかくたくさん売れるそう

FLAT4オリジナルのクーラーも問合せが多いという


取材協力:FLAT4 https://www.FLAT4.co.jp/ 
営業時間:9:30~19:00 定休日:日曜・祝祭日 
TEL:03-3792-7151

40年所有するオーナーが激白「ビートルの魅力とは?」

八木眞さん。年齢:67歳。職業:テニスコーチ。年式:1977年式

 最後に、VWビートルと長くつきあっていくうえで、メンテナンスや日頃の運転に関して気を付けることはあるのだろうか? そこで、実際に乗っているオーナーさんに話を聞いてみることにした。

 お話を聞いた東京都内にお住まいの八木眞さんは1977年式のビッグテール(インジェクション車)をCal-Lookにカスタム。

 なんと、40年以上も大事に所有しているそう! メンテナンスも8年前からFLAT4にて面倒を見てもらっており、今も元気(過激!?)に走り回っているのだ。しかも右ハンドルのヤナセものという貴重な車両! 八木さんに愛車の思いについて語ってもらった。

購入のきっかけは?

ステアリングはMOMO製で、標準ではメーターは一つだけだが、八木さんの愛車はポルシェ914のタコメーターを中心に7連メーターをレイアウト!

フロントシートだが、以前はリアシートのカラーリングに合わせた別のバケットシートを装着していたそうだが、今は配色の異なるRECARO製のシートを装着

「購入のきっかけですが、この年式が欲しかったんですよね。というのも、ビートルって、スタイルは変わらないのですが、細かい所が年式によって変わってくるんですよ。

 この年代だと、フロントに曇り止め(デフロスター)が装備されているのです。この前の年式は付いていないので、これだけのために手に入れたようなものです(笑)。

 実はビートルは今の愛車も含め、4台を所有していました。最初のビートルは1963年式のモデルで、中古でボロボロの状態で手に入れて電装系が6Vということもあり、よくエンストして止まった覚えがありました。

 また、友人に作ってもらったロールスワーゲンというフロントとリアまわりが“ロールスロイス風”になっているビートルも所有していました。これは当時でも珍しいということで、ビートルのディーラーであったヤナセさんに貸し出して展示もしてもらった思い出があります。ボディカラーもイエローだったのでとにかく目立ちましたね(笑)。

 あと……当時のことで言うと、あの頃は国産車の性能も上がって、あっちの方がスペックは高いというのは分かりましたが、同じワーゲンを所有する仲間達の間では、愛車が追い抜かれても決して不快にならず、外車の誇りを持とうと(笑)。むしろ、大人のゆとりを見せるつもりで走ってましたね。

ビートルの魅力とは?

「隣に兄が住んでいて、その兄から言われるのですが『大人のおもちゃみたいだな』と言われます。(笑)。

 最近だと、街中で割と年配の外国人からサムアップされますね。良いクルマだとか、大切に乗っているね、という意味なのでしょう。一方では信号待ちで隣のクルマの人から声を掛けられるます。年式や生産国などを聞かれますね。昔乗っていたということで気になるみたいです。私自身も同じように、街でビートルを見るとドキッとして、気になって見てしまいますね。大人のおもちゃではあるけど、生き物みたいです。

 購入当時は40年も所有し続けると思いませんでした。気が付けばこんなに長く乗っていたという感じですね」

これまでに大きなトラブルは?

エンジンは1回目のオーバーホールを機に排気量を2007ccにまでUPしており出力も125psという驚異的なスペックを出している。マフラーはタコ足のようなレイアウトのバイソンマフラーが装着されている。ちなみに過去3回のオーバーホールやボディのレストア代だけを聞くと……、VWの現行ラインアップの中でもトップモデルが簡単に買えるくらいのお値段でした!

 「実はJAFに毎年お世話になっています(苦笑)。トラブルは慣れっこです。夏は鬼門ですね。以前に軽井沢へ出かけた時は渋滞にハマってしまって、油温がかなり上がってしまって急遽、クルマを止めてエンジンを冷ました時がありました……。

 行き交う人から『大丈夫ですか? どうしたんですか?』と言われたのだけど、こっちはエンジンを冷ましているだけなのでイヤイヤ、大丈夫ですと返事をしていました(笑)。

 ちなみにエアコンですがFLAT4で扱っているキットを装着しているのですが、これは冷却能力も高く、使用時もエンジンパワーが下がる事もないので便利です。あと、これから(秋)の季節は良いシーズンですよね」

今後もずっと乗り続けていく?

 オーバーホールにはじまり、ボディのレストアまで手がけたことで「当面は手を入れる所はない」という八木さん。愛車も、外観は当時の面影を残しつつも中身は最新! ということで灯火類も最新のLEDに変えられており、ETCの車載器もしっかり装備。今の道路事情に合わせた仕様になっているのだ。

 今後の愛車について聞くと「これからは環境問題でガソリンエンジンの行く末がどうなるか……ですよね。

 もしかしたら、EVの時代がやってくるかもしれません。でも、ビートルだと外観だけを残して中身をEVにするのもあるみたいですから」と、コメント。

 もしかしたら、外観はそのままに最新のEV技術を投入したビートルになるのかも! 八木さんのビートルはこれからも愛情をたっぷり注がれていくに違いない。

空冷VWのイベントに行ってみよう!

10月20日、富士裾野の帝人アカデミー富士の芝生エリアで開催される 。フラット4の川崎さんは「今年はビートル80年の歴史に幕を下ろすことで、特別なイベントになると思います。たくさんのスペシャルな企画を用意しており、大いに盛り上がる事が予想されます。ビートルオーナーでなくても、興味がある人は是非お越しください!」 https://www.FLAT4.co.jp/ivent/2019vwtreff.html

 ビートルは愛好家が多いだけにメンバー同士で構成するクラブも多く、全国の各地域でオーナーズクラブが主催するイベントが数多く開催されている。

 そこで、愛車の情報交換やツーリングなどいろんな楽しみ方が体感できるという。この10月には2つのビッグイベントが開催される。興味がある方はぜひこの目で見ておこう!

 10月19~20日は、フラット4主催の『Klassisches VW Treffen In Japan』。2年に一度開催されるビンテージフォルクスワーゲンのイベントで、6回目を迎える。

 今年は前回に続き、富士裾野の帝人アカデミー富士の芝生エリアではカーショーを開催。イベントは二日間の日程で前日にはウェルカムパーティが「時之栖」御殿場高原ホテルにて開かれる。

 そして2019年10月27日には、日本最大級のクラシックフォルクスワーゲンイベント「13th Annual STREET VWs JAMBOREE」がフォルクスワーゲングループジャパン豊橋本社で開催される。

 第一回目から東京・お台場で開催されてきたが、今年は最後のザ・ビートルが陸揚げされた場所に、クラシックなVWが大集合するという貴重な機会。これまで参加したことのなかったオーナーさんやファンのみなさんもぜひとも参加してほしい。

VGJ豊橋本社で開催されることになったストリートVWsジャンボリーhttp://www.streetvws.com/jamboree13.html

【画像ギャラリー】写真で見るビートル歴代モデル、キャルルックほか

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