ブレンドへ新しい風を吹き込む新型SUV
イタリアの伝統あるブランド、マセラティ。ここ10年程は、余り日の当たる存在ではなかったといっても、大げさではないだろう。
【画像】登場! マセラティ・グレカーレ・トロフェオ 競合のハイパフォーマンスSUVと比較 全132枚
21世紀に入り、クルマの人気カテゴリーとしてSUVが台頭してきた。多くの自動車メーカーで、現在の稼ぎ頭の1つになっている。
ドイツのスポーツカー・ブランドでも同様。なかでもDセグメントに属するポルシェ・マカンは、発売から8年間で驚くほどの収益を生み出している。高性能と高重心とが共存できることを、腕利きのドライバーに実感させた有能なSUVだ。
そんな存在を、マセラティがラインナップに欲しがっても不思議ではない。むしろ、今まで用意して来なかったことが不思議なほど。
マセラティにも、オフロードが似合うモデルは存在する。2016年に発売されたレヴァンテだ。しかし、全長5005mmの大きなボディを持ち、マカンが属する主力セグメントには属していなかった。
レヴァンテは、類まれな運転の楽しさでコンパクトなマカンに及ばず、圧倒的な動力性能という面ではライバルのカイエンに及ばない。ラグジュアリーなSUVではあるが、訴求力が充分だったとはいえないと思う。
しかし、最近のマセラティには勢いがある。センセーショナルなスーパーカー、MC20の登場で、輝きを失いかけていたブランドに新しい風が吹き込んだ。続いて姿を表したグレカーレへも、自ずと高い期待を抱かずにはいられない。
ジョルジオ構造にMC20用エンジン
ちなみにグレカーレとは、地中海に吹く風の意味。ハイブランドのDセグメントSUVとしては、周囲よりだいぶ遅れての投入ではあるが、新規顧客をショールームへ誘い込む重要な役目を負っている。追い風は吹くだろうか。
さて、まずはマセラティ・グレカーレの内容を確認していこう。基礎を構成するのは、極めて機敏なSUV、アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオも採用する、ジョルジオ・プラットフォームだ。
ホイールベースは、全長4687mmのステルヴィオから50mm延長されている。グレカーレの全長は4847mmと、ひと回り大きい。
そのおかげで、リアシートの空間はライバルよりゆとりがある。荷室容量も570Lと有利。ファミリーでの移動がメインのクルマとして、大切なポイントだといえる。
現在の時流に合わせて、マイルドがつくものの、パワートレインにはハイブリッドが用意された。さらに2022年後半には、純EV版のグレカーレ・フォルゴアが投入される予定にある。
とはいえイタリアン・ブランドとして、パワフルな内燃エンジンもまだ不可欠。フラッグシップを務めるのが、トロフェオだ。スーパーカーのMC20用に開発された、ネットウーノ・ユニットがフロントに搭載される。
SUVへの搭載に合わせて、若干デチューンされている。それでも、3.0L V型6気筒ツインターボ・ガソリンは、最高出力530psと最大トルク63.0kg-mを発揮する。
マセラティらしく妖艶なスタイリング
今回試乗したグレカーレも、そのトロフェオだった。ただし、許された試乗時間が短く、ルートも大都市のミラノとその郊外に限られていた。高級SUVが実際に用いられる環境ながら、動的能力のすべてを探ることは難しかった。
しかも、履いていたタイヤは柔らかいスタッドレス。試乗日の気温は春を通り過ぎて、24度もあったのに。
ハイブランドのSUVとして、見た目は非常に重要だろう。グレカーレは、混雑した市街地でも沢山の視線を集める、妖艶なスタイリングをまとっている。実際の全長も100mmほど長いのだが、ポルシェ・マカンより大きく見え、存在感が強い。
造形としての特徴は、やや薄いかもしれない。しかし過去のモデルにも通じる、マセラティらしさを漂わせている。
フロントグリルは、同ブランドの他モデルにも通じるワイドなもので、トライデント・マーク部分の上が尖っている。エンブレムもかなり大きい。フロントフェンダーの後ろには、3連のエアベントが与えられている。
高性能なトロフェオの場合、マフラーはスクエア形状の4本出しになり、アルミホイールは21インチへ拡大。ブレーキはフロントが6ポッド、リアが4ポッドのキャリパーと、大径ディスクへグレードアップされる。
またリア・トレッドが広がることに合わせて、ボディも34mmワイド化。全幅は1982mmになるという。
格調高いイタリアン・ラグジュアリーな車内
グレカーレへ乗り込もうと接近すると、ドアハンドルはボディ面と一体のフラッシュタイプだった。タッチセンサー式で、触れると立ち上がり開閉できる。
インテリアは、格調高いイタリアン・ラグジュアリーで満たされている。ソフトで肌触りの良いレザーがほぼ全面を覆い、丁寧なステッチが施され、眺めているだけで豊かな気分になれる。
ドライビングポジションは、SUVだから高めだが、このクラスとしては低い方。レザーシートが心地良い。
ダッシュボードの中央には、巨大なタッチモニターが鎮座する。その上部には、マセラティの伝統といえる、小さな時計が据えられた。これもモニターで、音声認識機能のバーチャルアシスタント「ヘイ・マセラティ」のインターフェイスにもなる。
インフォテインメント・システムは、無線通信が可能なコネクティビティにも対応。最新の技術は一通り網羅したといっていい。
見た目は印象的なものの、実際の機能性はそこまででもない。タッチモニターの反応は、鈍い時がある様子。実際に押せるハードスイッチの一部にも、質感のそぐわないものが紛れていた。
肉厚のリムを3本のスポークで支えるステアリングホイールには、2つの丸いセレクター/ボタンが付いている。マセラティMC20の車内でも、見覚えがある装置だ。
1つはドライブモードを選択するダイヤル。オフロードとコンフォート、GT、スポーツが標準のメニューで、トロフェオにはコルサが追加される。もう一方は、エンジンのスタートボタンになっている。
この続きは後編にて。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント