現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ピックアップトラック 止まらぬ高級化 日本の軽トラ的な実用車がなぜ?

ここから本文です

ピックアップトラック 止まらぬ高級化 日本の軽トラ的な実用車がなぜ?

掲載 更新 48
ピックアップトラック 止まらぬ高級化 日本の軽トラ的な実用車がなぜ?

いくらSUVが人気でも… 北米じゃ不動の地位「ピックアップトラック」

 日本の街でたまにピックアップトラックを見かけることがあります。本来、ピックアップトラックといえば、農場などで活躍する実用車ですが、都市部で見かけるピックアップトラックは、ピカピカで、しかも巨大な輸入車ということが多く、とても“農業に使う”という雰囲気ではありません。どちらかといえば、アメリカ文化を持ち込んだ、クールで格好良い高級車に見えます。

ホンダ「モンキー」よりもミニ 公道走れる世界最小バイク、納車は宅配便

 では、なぜ実用車であるはずのピックアップトラックが、そのようなイメージになっているのでしょうか。

 まず、そもそもの話として、アメリカでのピックアップトラックは、ものすごく数多く売れるクルマです。年間販売台数ランキングを見ると、近年のトップ3は常にピックアップトラックが占めており、2019年は1位がフォード「Fシリーズ」で約90万台、2位がダッヂ「ラム・ピックアップ」で約63万台、そして3位がシボレー「シルバラード」がラインクイン。4位になってようやくSUVのトヨタ「RAV4」の約45万台、5位のホンダ「CR-V」約38万台、6位日産「ローグ」約35万台が続きます。1位の「Fシリーズ」は、4位「RAV4」の2倍も売れているのです。

 ちなみにフォードの「Fシリーズ」が販売ナンバー1となるのは、2019年で38年連続。つまり、1981(昭和56)年より現在まで、常にアメリカで最も売れるクルマは、フォードのピックアップトラックである「Fシリーズ」でした。それだけアメリカでのピックアップトラックの人気は鉄板モノと言えるのです。

たとえるなら日本の軽トラ のはずが…

 では、なぜアメリカで巨大なピックアップトラックの人気が高いのでしょうか。

 まず、アメリカは世界でも屈指の農業国です。そのため農業に利用できるピックアップトラックのニーズが、どこよりも高いというのも理由のひとつ。フォードの「Fシリーズ」は1948(昭和23)年に誕生し、丈夫な実用車としてすぐにヒット車となりました。日本でも、同じように農業に使われる軽トラックは、日本中どこでも目にするヒットモデルですが、日本の軽トラックと同じポジションが、アメリカのピックアップトラックと見ることもできます。

 またピックアップトラックは、保険なども安く、ヒット車ですから中古車の数も豊富に存在します。乗用車ベースのSUVと比べると、エントリー・グレードの価格も実用車であるピックアップトラックは低く抑えられています。そうしたコスパの良さも数多く売れる理由でしょう。

 しかし、いくら農業国で、しかも安くても、それだけで国内販売ナンバー1になることはあり得ません。日本でどんなに軽トラックが増えても、いちばん売れているクルマはほかに存在します。

 やはり販売ランキングで1位になるには、普通の人が、乗用車代わりに使うようなクルマしかあり得ません。そういう意味で、フォードの「Fシリーズ」が販売ナンバー1になった1981(昭和56)年ごろには、すでに「ピックアップトラックを乗用車として使う」という文化がアメリカに定着していたと推測されます。

 そして、アメリカのように土地も道も広く、しかもガソリン価格が安ければ、クルマが大きくて困ることはありません。そうであれば、小さいよりも、大きなクルマが好まれるのは自然なこと。ピックアップトラックはトラック由来ですから、乗用車よりも大きくて当たり前。その大きなクルマ=ピックアップトラックを乗り回す人を格好良いと感じるのも、それほど不思議なことではありません。

80年代から若者の憧れ 映画のなかのピックアップトラック

 1985(昭和60)年に公開された映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、主人公の高校生が憧れるクルマは、日本製のピックアップトラックでした。つまり、1980年代中盤ではピックアップトラックに若い人が憧れるのは当然のことだったのです。

 そうしたニーズがあれば、自動車メーカーが応えるも普通のこと。ピックアップトラックにも、乗用車として使える、きれいで格好良いモデルが用意されるようになっていたのです。いま販売されているフォードの「Fシリーズ」も、安くて実用車然としたグレードもあれば、800万円相当もするゴージャス仕様も用意されています。

 さらに言えば「Fシリーズ」には、「F-150」から「F-250」「F-350」「F-450」といったバリエーションが豊富に用意されており、幅広いニーズに応えられるラインナップの充実もヒットの理由です。2019年に公開されたクリント・イーストウッド主演の映画『運び屋』でも、違法な商品を運んで大金を手にした老人が手に入れるのは、やはり最新のゴージャスなピックアップトラックでした。

 つまり、もともとは実用車から人気に火のついたピックアップトラックでしたが、乗用車として使うニーズが生まれ、それに応えるようにきれいな内外装や充実の装備を揃えた仕様を用意することで、さらに人気が高まったのです。ちなみに、そうした“格好良い”ピックアップトラックは、安い実用グレードではなく、上級のゴージャスなグレードです。

 日本で求められるピックアップトラックもまた、実用車ではなく、格好良い、ゴージャスなピックアップトラックです。だからこそ、日本の街で見るアメリカのピックアップは、みなピカピカでゴージャスになっているのです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

48件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村