アリエル・アトム4:スペースフレーム
クルマ全体を構成するスペースフレームを「パーツ」と呼ぶのはどうかとも思ったが、わたしのお気に入りはこれだ。
アリエル・アトム4のブロンズ接合されたスチール製チューブラ式スペースフレームは、まさに奇才の閃きによるものだと言える。
このスペースフレーム無しではアトム4の独創的なスタイリングが実現しなかっただけでなく、ドライバーはこのフレームを通して、アトム4がもたらす見事なドライビングの楽しみの大部分を実際に目にすることが出来るのだ。
上下動を繰り返すフロントのウィッシュボーンとブレーキキャリパー、美しく削り出された左側フロントハブへと続くブレーキホースがドライバーの視界に入る。
さらに、高級なアイバッハ製プッシュロッド式サスペンションを愛でるだけでなく、さらなるステアリング操作が必要な場合、右ひじをスペースフレームから外に突き出しても良い。
だが、何よりも重要なのは、他のコストを度外視して創り出されたフルサイズのミニカーたちと同じく、このスペースフレームがアトムをこれほど素晴らしいドライバーズカーにしているという事実だ。
マット・ソーンダース
ポンティアックGTO:ボンネットマウント式レブカウンター
現在の歩行者保護に関する規制のもとでは、この個人的なお気に入りのひとつが復活するなどあり得ないだろう。
そのお気に入りとは、1967年以降のポンティアック・ファイアーバードとポンティアックGTOにオプション設定されていたボンネットマウント式レブカウンターだ。
ビュイックはこのアイデアを1970年のスカイラークGSXにも採用している。
友人のひとりは1969年モデルGTOと、その後1970年モデルも手に入れているが、そのどちらにも米国では「フード・タコ」と呼ばれるこのレブカウンターが搭載されていた。
どちらか一方でも実際にレブカウンターとして機能していたかどうかは覚えていないが、見た目がクールなだけでなく、当時マッスルカーで最大のタブーが進路から視線を外すことだったのだから、素晴らしいアイデアだったと言える。
コリン・グッドウィン
ベントレー・コンチネンタルGT:回転式ディスプレー
同じ金額で十分実用に足るユーズド車両を手に入れることが出来ることを考えれば奇妙な選択だと思うかも知れないが、ジェームズ・ボンド流のサプライズを味わわせてくれるというだけで、このベントレーの4500ポンド(60万円)のオプションを選ぶ価値はあるだろう。
確かに、3面ある回転式ディスプレーに武器や助手席の発射ボタンはないが、このクールなオプションは、目にしたひとすべてを笑顔にしている。
実際に目撃したのだから間違いない。
レイチェル・バージェス
BMW 3シリーズ(E21):インナードアハンドル
これまでに登場したなかで最高のインナードアハンドルとは、E21世代のBMW 3シリーズに搭載されていたものだ。
エルゴノミクス的に完ぺきなドアハンドルであり、ドアにある貴重なスペースを浪費し、エンジニアの意味のない自己満足を感じさせるプラスティックやクロームの替わりに、このドアハンドルは引手と一体化されていた。
特に意識することなくただ引っ張れば良いだけだ。
使えば使うほど馴染むのであり、他のクルマで車外に出ようとして、ハンドルを引いてもドアが開かないという事態に直面するまで、このアイデアの素晴らしさを意識することはないだろう。
ジェームス・ルパート
スコダ:ボトルクレンチャー
ほとんどのスコダのモデルで採用されているカップホルダーの底には、樹脂成型された5つのマウンドが付いている。
単なる装飾か、こぼれた飲み物にボトルの底が付かないようにするためのものだと思うかも知れないが、炭酸飲料などのボトルを実際に置いてみればこのマウンドの持つ意味が分かるだろう。
それまで必要性すら認識していなかった、もっとも実用的な発明であり、ボトルを回転させると底が固定され栓を開けることが出来るようになるのだ。
運転中に両手か、太ももにボトルを挟んで片手でボトルの栓を開けようとしたことがあるひとならば、誰でも直ぐにこのシンプルなパーツがもたらす安全上のメリットを理解するに違いない。
ジム・ホールダー
フェラーリ365 GTB/4’デイトナ’:アウタードアハンドル
数百万年前、完ぺきな姿を手に入れたことでサメは進化を止めたと言う
50年前、このドアハンドルもその境地に達していたのであり、世界の自動車デザインは洗練されていながら、他のデザイン要素を阻害することのないこの小さなシルバーのフックを見て、「オーケイ、だれもこれ以上のデザインなど出来ないだろう」と、言うべきだったのだ。
その後50年、確かに誰もこれ以上のデザインをすることはなく、この先もきっとそうだろう。
つまり、完ぺきなものを改善など出来ないのだ。
アンドリュー・フランケル
フォルクスワーゲンGTI:タータンチェック
フォルクスワーゲンの部品番号「199 398 500 A」を選ぼうかとも思ったが、この正規の番号を与えられたカリーブルストを実際にパーツとして使用しているモデルは存在しないのだから、明らかにこの選択肢は無かった。
替わりに選んだのが、もうひとつのフォルクスワーゲンが誇る伝統、GTIのタータンチェック模様のファブリックだ。
高価なレザーやアルカンターラといった素材のことは一旦忘れて欲しい。
個人的に、GTIが採用するタータンチェックは、特定のモデルと結びついた唯一のファブリックデザインだと思っている。
パワーアップしたエンジンや改良されたサスペンション、ツインエグゾーストパイプなどとともに、GTIを象徴するのがこのタータンチェックなのだ。
ジェームス・アトウッド
ミニ:ヘッドアップ式ディスプレー
ヘッドアップ式ディスプレーを搭載したモデルを運転したのは、約10年前の3代目トヨタ・プリウスが初めてだった。
当時、テクノロジー嫌いという理由だけで、このヘッドアップ式ディスプレーのことは好きになれなかった。
その後数カ月間、なんとかダッシュボード上に投影される表示を阻止する方法がないものかと試行錯誤を繰り返し、A4サイズのスクリーンを置いてみたりしたものの、単に視界を悪化させただけだった…。
ふたたびヘッドアップ式ディスプレーとともに登場したのは、2014年から乗り始めたミニ・クーパーだった。
そして、もはやテクノロジー嫌いではなくなっていたという理由だけで、このディスプレーのことを素晴らしいと思えたのであり、いまやこのディスプレーがミニでもっともお気に入りの装備だ。
ヘッドアップ式ディスプレーのお陰で進路から視線を外すことなく速度を確認することが出来、認知力と視力への負担が軽減されている。
プリウスよ申し訳ない。
悪いのはわたしであり君ではなかったのだ。
マーク・ティショー
フォード・モンデオ・エステートMk4:ダッシュベント
3年近くも感謝し続けている。
ヒルトン・ホロウェイ
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