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一貴のヘルメットに感じたプライド。トヨタ村田チーム代表が明かす予選バトルの裏側/ル・マン24時間

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一貴のヘルメットに感じたプライド。トヨタ村田チーム代表が明かす予選バトルの裏側/ル・マン24時間

 第88回ル・マン24時間レースの予選(ハイパーポール)では、7号車TS050ハイブリッドをドライブする小林可夢偉がポールポジションを獲得、僚友の8号車も中嶋一貴のアタックで3番手につけ、土曜日の決勝スタートを迎えるトヨタGAZOO Racing。

 金曜日のハイパーポール後、2台を束ねる村田久武チーム代表がリモート取材に対応し、予選の裏側や決勝に向けた展望などを語った。

レベリオンとの接戦を制した可夢偉がPPを獲得。山下健太はクラス4番手/ル・マン24時間ハイパーポール

「コースレコード(2017年の3分14秒791)を奪ってから2回くらい性能ダウンをさせられているので、更新は厳しいかと思っていた」と村田氏。

「でも可夢偉が(最初のアウティングで)鬼のような15秒2というタイムを出してくれて、チームも本人もスイッチが入って。それで(レコードを)更新するためにもう一度トライをかけました」

 結局、セッション終盤のアタックでは四輪脱輪があり、タイムは更新はならなかった。だが「可夢偉の走りはチームにものすごく勇気を与えてくれた」という。

 ハイパーポールでは、ノンハイリッドマシンのレベリオン・レーシング1号車レベリオンR13・ギブソンが、「とうとう、隠してきた武器を出してきて」(村田氏)トヨタ2台の間に割って入る格好となった。

「現在のレギュレーションで考えれば、彼らの数値(EoT)で走らせれば、そもそもものすごく速いはずなんです。あとは(その数値の)どれを実現できて、どれを実現できないかという話。これくらいのタイムが出てくることはあり得る、という感じです」と村田氏は説明する。

 トヨタはハイブリッドのブーストを予選モードにすれば、(規則の範囲内で)1周にパワーを集中させることが可能。言い換えれば、予選のラップタイムを決勝で維持することはできない。反対にハイブリッド・ブーストを持たないノンハイブリッド勢については、トヨタのような「予選モード」はないが、決勝でも予選に近いペースを刻める可能性はある。

「ここまでの練習走行で彼らはこのタイムを出していないので、(ノンハイブリッド勢の決勝ペースは)ちょっと分かりかねます」と村田氏。

「彼らにしてみれば、あとは信頼性との勝負かなと思います。あの(EoTの数値上の)燃料を全部使ってこの馬力を出したときに、エンジンやギヤがもつのか。彼らはリヤ駆動ですし、あの馬力を全部リヤにかけたら、タイヤのデグラデーションが厳しいのではないかと思います」

「おそらく硬めのコンパウンドなのだと思いますが、夜になって温度が下がると(柔らかいタイヤが使えて)ちょうどいいんじゃないか。去年もレベリオンは夜が良かったですからね」

 なお、ハイパーポール後の一貴について村田氏は「ポールが獲れず、また間にレベリオンが挟まってしまったことをすごい悔しがっていた」という。

「今回一貴が持ってきたヘルメットには、『18』『19』と刻まれているんです。ル・マンウイナーだというプライドですよね。通常、一貴はそういうのをあまり表に出さないけど、そこにも三連覇を成し遂げたいという気持ちが滲み出ています」

 一方、PPを獲得した可夢偉もひときわ強い気持ちを持ってこのレースに挑んでいるように見えると村田氏。

「TS050ハイブリッドの最後のル・マンですが、PPこそ獲ってきたけど、一度も勝てずにこのクルマが終わってしまうというのは、可夢偉としてもありえないのでしょう。セットアップ中もアタック中も、いい緊張感というか、このクルマを本気で良くしたいと思うからこそ出る言葉……半分ケンカじゃないですけど、レースエンジニアとそれくらい一生懸命になってセットアップしています」

「そういう姿を見ると、可夢偉も心の底から絶対に勝ちたいと思ってやっているんだなと。チームのなかではうまくバランス取らないといけないんですけど、すごい緊張感の中でやっていますよ」

 現在のところ決勝は雨絡みとなりそうな予報だといい、プラクティスの間も、雨が降ってきた際のハイダウンフォース方向のセットアップの確認なども進めてきたトヨタの2台。

「本戦(決勝)に向けたセットアップはずっと8号車の方が調子が良かった。7号車は相当苦しんでセットアップしてきて、予選で一気にうまく決めた、という流れ」だという。

 トヨタ2台の、そしていよいよ牙を見せ始めたプライベーターとの戦いは、どんな結末に向かっていくのだろうか。決勝は現地時間19日土曜14時30分(日本時間21時30分)にスタートする。

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