ノート・オーラ なぜ後から出した?
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】日産の復活請負モデル【ノート/ノート・オーラを比較】 全180枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
2021年6月15日、日産はノート・オーラを発表した。
2020年11月に現行ノートを発表して(納車を伴う発売は12月)、半年後には早くも上級モデルを加えた。
ノートX(価格は218万6800円)に、プロパイロットを含めたセットオプション(42万200円)、LEDヘッドランプ(9万9000円)を加えると270万円を超えてしまう。
ノート・オーラG(261万300円)の価格に近付く。
そうなるとノートを既に購入したユーザーの中には「ノート・オーラが登場するなら、ノートを発売した時に知りたかった。そうすればノート・オーラを待ったのに……」という人もいるだろう。
なぜこのような売り方をするのか。
開発者に尋ねると、以下のように返答された。
「ノートとノート・オーラは、別のクルマだと考えている。(別車種の)エクストレイルがフルモデルチェンジするのと同じようなことだから、ノートの発売時点でノート・オーラの話はしなかった」
ノート・オーラのフロントマスクは、ノートと少し異なり、前後のフェンダーと後席側のドアパネルも変更されている。
そのために全幅も40mm広がって1735mmになり、3ナンバー車としたが、車両全体を見ればノートだと分かる。
車名にも「ノート」が入るので、上級モデルと考えるのが妥当だろう。
日産の思想 あくまで上級モデルではなく……
ノート・オーラは、客観的にはノートの上級車種だが、前述の通り日産は「別のクルマ」としている。その意図は販売計画台数を見ると分かる。
ノート・オーラの販売計画は、1年間に5万1000台とされ、1か月平均なら4250台に達する。
ノートの販売目標は1か月当たり8000台だから「ノート+ノート・オーラ」のシリーズ全体では、1か月に1万2250台の登録を見込む。
このうちの35%をノート・オーラが占めるわけだ。
販売規模の大きさを考えると、ノート・オーラは、ノートから独立した「別のクルマ」といえるかも知れない。
ノート・オーラを大量に売りたい背景には、現行ノートが先代型に設定していたノーマルエンジンを廃止して、ハイブリッドのeパワーのみにしたことも挙げられる。
ノーマルエンジンを廃止した理由を開発者に尋ねると「先代ノートでは、eパワーが売れ筋で、ノート全体の約70%を占めた。そこで現行型はeパワーに絞ってノーマルエンジンを廃止した」という。
ただし逆の見方をすれば、ノーマルエンジンが約30%を占めていた。
これが欠落すると販売面のマイナスも大きい。
2021年1~5月におけるノートの登録台数は、1か月平均で7961台だから、発売直後なのに目標の8000台に届いていない。
今は半導体の不足で生産が滞り、差し引いて考える必要はあるが、コンパクトカーの新型車としては登録台数が物足りない。
また前年(2020年)の1~5月におけるノートの登録台数は、1か月平均で7139台であった。
2021年1~5月は7961台だから、コロナ禍とフルモデルチェンジの直前で苦戦を強いられていた前年と比べても、現行型の登録台数は伸び悩む。そこをノート・オーラの追加で補うわけだ。
オーラが売れると日産に好都合
ノート・オーラが目標どおり1か月当たり4250台、ノートと合計して1万2250台を登録すれば、両車を合計すると小型/普通車の実質販売1位になる可能性も生じる。
ちなみに今の小型/普通車の販売1位は、統計上はヤリスだが、この中にはSUVのヤリス・クロスやスポーツモデルのGRヤリスも含まれる。
少なくともヤリスとヤリス・クロスは、一般的には別のクルマだから、登録台数も別々に算出すると最近の1か月平均は両車とも9700台前後だ。
今の実質1位は、約1万2000台のルーミーになる。
この状況でノートとノート・オーラが順調に売れると、ルーミーを抜いて、小型/普通車の登録台数実質1位になる可能性も生じる。
そうなれば日産にとって非常に都合が良い。
先代ノートが設定していた低価格のノーマルエンジン車を廃止したかわりに、高価格の上級モデルを堅調に販売できるからだ。
メーカーや販売店の受け取る1台当たりの粗利も増える。
開発費用でも有利だ。ノート・オーラもボディを別設計して内装を上質に仕上げ、モーターの性能を向上させたが、基本のメカニズムに大きな違いはない。
設計の異なるノーマルエンジンやCVT(無段変速AT)を用意して、しかも150~170万円の低価格で売るのに比べると、ノート・オーラは費用対効果も優れている。
オーラ 実はかなりお買い得?
以上のようにノート・オーラは、開発費用を節約しながら、ノートの売れ行きを効率良く増やすために設定された。そこで価格も割安に抑えている。
前述のとおりノートXの価格は218万6800円、ノート・オーラGは261万300円だ。
ノート・オーラGは、ノートXに比べて42万3500円高いが、標準装着される装備もかなり異なる。
ノートXでは、対向車などの眩惑を防ぐアダプティブ機能を備えたLEDヘッドランプ、後方の並走車両を検知して知らせる後側方車両検知警報、車両の死角を上空から見たような映像で表示するインテリジェントアラウンドビューモニター、液晶タイプのインテリジェントルームミラー、アルミホイールなどはすべてオプション設定になる。それがノート・オーラGには、標準装着されている。
上記のノートXにオプションで、ノート・オーラGに標準装着される装備を価格に換算すると、約26万円になる。
ノートとノート・オーラの価格差は、前述の約42万円だが、このうちの26万円は装備の違いで埋まる。
そうなるとノート・オーラは、残りの16万円で外観や内装が上級化され、モーターの性能も高まり、ボディのワイド化に伴うトレッド(左右のホイールの間隔)の拡大で走行安定性も向上する。
これらの高品質が実質16万円で得られるなら、ノート・オーラも買い得だろう。
ノート・オーラを割安に用意した背景には、日産の国内戦略も絡む。日産はノートのノーマルエンジン車を廃止しただけでなく、かつて人気の高かったティーダやキューブも終了させた。
その結果、好調に売れる日産車は、今ではノート、セレナ、軽自動車のデイズとルークスだけだ。キックスは売れ筋カテゴリーのコンパクトSUVとしては伸び悩む。
これから登場する売れ筋車種には、次期エクストレイルもあるが、eパワーのみになる可能性も高い。
そうなればキックスのように販売面で苦戦するかも知れない。
以上のような事情により、日産はノートの登録台数を可能な限り伸ばす必要があり、ノート・オーラを割安に加えた。
つまりノート・オーラは、今の日産の国内販売が置かれた辛い現状の裏返しともいえるだろう。
ノート・オーラをきっかけに、国内市場に適した車種を積極的に投入して、かつての輝きを取り戻して欲しい。
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みんなのコメント
これホントに開発者の話?
詭弁も甚だしい。
ノート発売から数カ月でオーラの開発が出来るワケない。
批判や不満をかわす為の言い訳だろ。