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ガヤルド LP560-4 スパイダーのV10エンジン、直噴化だけじゃない注目の改良点【10年ひと昔の新車】

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ガヤルド LP560-4 スパイダーのV10エンジン、直噴化だけじゃない注目の改良点【10年ひと昔の新車】

2009年、ガヤルド スパイダーがフェイスリフトされ「LP560-4」に進化して登場した。注目は直噴化された5.2L V10エンジンの搭載だが、新しい4WDシステム、足まわりのセッティング、ボディの軽量化など、改良点は多岐にわたる。クーぺに準じる変更だが、スパイダーはどんなモデルになったのか。ここでは欧州で行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年6月号より)

最高速度324km/h、世界最速スパイダーの1台
ただでさえ目立つクルマ。地球規模での効果はさておき、燃費改善や排ガス対策には取り組まねばならない。近頃のリッチマンは社会性を案外重要視する。その一方で、モアパワーの追求こそ、スーパーカーの進化の証。ならば、一番の近道はエンジン直噴化。というわけで、プラス200ccで5.2LとなったV10エンジンは、ボッシュの協力によって直噴化され、12.5:1という高圧縮比を実現した。

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結果、旧型を大きく上回る560ps&540Nmという大パワー&大トルクを得る。もちろん同時に、燃費性能も向上していて、CO2排出量は、軽量化を含めた全体効果で、約18%減っているという。

トランスミッションは、グラツィアーノ製Hパターンの6速マニュアル、もしくはマニエッティ・マレリ製2ペダル6速ロボタイズドミッション「eギア」(プラス105万円のオプション)。

注目したいのはそのeギア。シフトアップ時の変速時間を大幅に短縮(コルサモードでマイナス40%)。さらに低速域でのマナー向上も実現した。あわせて、ランボルギーニの4WDといえばディアブロ以来となるVT(ビスカストラクション)システムも、フロントデファレンシャルまわりを中心に改良を受けている。

気になるパフォーマンスは最高速度324km/h、0→100km/h加速4.0秒を叩き出す。これまでのモデルを大幅に上回るのみならず、従来型のクーペにも加速で同等、最高速度で勝る数値だ。世界最速スパイダーの1台と言っていいだろう。

エンジン+ドライブトレーン以外で注目すべきは、足まわりを大幅に見直すことでNVH性能が引き上げられたこと。シャシの基本デザインこそ従来同様だが、ジオメトリーを変更するなど、まったく違うコンセプトの足まわりとした。

新設計のアルミニウム製キネマティックサスにビルシュタイン製新ダンパーと新コイルスプリングを組み合わせたのをはじめ、リアアクスルにはトラックロッドを追加、さらに新開発ラバーメタルブッシュを採用することで、コンフォート性能とスポーツドライブ性能の両立を図ってきたのだ。

軽量化にも余念がない。エンジン単体重量こそ増えているが、トランスミッションやフロントデフ、足まわりの軽量化により従来比20kg減を達成。パフォーマンスのみならず、燃費や環境性能の向上にも貢献している。

クーペと変わらぬ実力とクーペにはない魅力の演出
どこかで聞いた説明文だと思った諸兄も多いかも知れない。なぜならこのLP560-4スパイダーの中身は、最高速と加速の数字を除いて、そしてダンピングをほんの少しリセッティングしたこと以外は、昨年(2008年)にマイナーチェンジしたクーペモデルとまったく変わらないのだ。

そこに、旧型スパイダーと同じワンタッチ自動開閉のソフトトップを載せた。オープン時の渦巻き音やクローズド時の雨漏りを対策するアップグレードが施されているが、室内の開閉スイッチ意匠が変わったこと以外、このシステムの説明もまた従来型スパイダーと同じ言葉で済む。

ハード、そしてオープンシステムに目新しさがないとなれば、知っておくべきはライドフィールだけだ。

ダイナミックパフォーマンスに関していえば、数値を見るまでもなく、軽量強靭なアルミスペースフレームを持つガヤルドゆえ、オープン化ごときで大きく崩れるようなことはない。基本的に、クーペと変わらぬ実力を持つと言っていい。

前足の食いつきは格段に増し、曲がりにくい性格も多少の改善をみた。弾力のある乗り心地は明らかに上質になり、アウディR8と同等レベルである。これなら毎日乗れそう。

そんな新しいガヤルドスパイダーに乗って感じたのは、意外にもフェラーリF430との類似性だった。

もちろん、両者の走りのテイストは違っている。フェラーリの方がはるかにミッドシップカーらしく落ち着かない動きに終始するし、エンジンフィールだってまるで違う。ランボルギーニの方が実はGTカーっぽい。4WDということもあるだろう。ポルシェ911ターボに良く似ている、と言えばわかりやすい。

では、どんな類似性か? それは、「スパイダーの方がいい」と思わせる演出力だ。強靭なボディがオープン時の走行性能を担保してくれることは前に述べた通り。だとすれば、屋根が開く分、さらにはその状態で豪快なV10エグゾーストノートがよく聞こえてくる分、さらには風を感じることでクーペでは味わえなかった加速のものすごさを感じることができる分、その分だけ「欲しくなる」。

それはつまり、クルマとしての完成度が格段に上がったということ。だから世界的に成功したフェラーリF430と似ていると思ったのだ。(文:西川 淳)

ランボルギーニ ガヤルド LP560-4 スパイダー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4345×1900×1184mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:V10 DOHC
●排気量:5204cc
●最高出力:412kW(560ps)/8000rpm
●最大トルク:540Nm/6500rpm
●トランスミッション:6速AMT(e-gear)
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:7.1km/L
●タイヤサイズ:前235/35ZR19、後295/30ZR19
●最高速度:324km/h
●0→100km/h加速:4.0秒
※EU準拠

[ アルバム : ランボルギーニ ガヤルド LP560-4 スパイダー はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:Webモーターマガジン Motor Magazine編集部
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