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メルセデスAMG E53 4MATIC+:常用域でも435psの直6ハイテクエンジン搭載の実力の高さを過剰なまでに訴えかけてくる!

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メルセデスAMG E53 4MATIC+:常用域でも435psの直6ハイテクエンジン搭載の実力の高さを過剰なまでに訴えかけてくる!

3.0ℓ直列6気筒+ターボ+電動スーパーチャージャー+48ボルトISGシステムという最新技術満載のパワートレーンを積むAMG E53。ジャーナリスト世良耕太が、1200万円級ハイテク・ハイパフォーマンスセダンを試乗した。TEXT◎世良耕太(SERA Kota)

 AMGといったらモータースポーツである。2014年に新規定のパワーユニットが導入されて以来、5年連続でコンストラクターズチャンピオンシップを制したF1コンストラクターの名称は「メルセデス・ベンツ~」ではなく「メルセデスAMGペトロナス・モータースポーツ」だ。AMGはモータースポーツ直系のブランドである。

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 だからAMGのバッジを付けたモデルは、視覚や聴覚、触覚を通じてモータースポーツのエッセンスをこれでもかと乗り手に訴えかけてくる。エクステリアはまだ控え目なほうだ。意外な効果を感じたのはボンネットフードである。メルセデス・ベンツ「E」のボンネットフードは平板だが、AMGの「E」にはパワードームがあしらわれている。

 フランスパンを半分に切って平行に並べたような形状といってしまえばそれまでだが、運転席から眺めるとなかなかの効果があることを実感する。厚い胸板か隆起した二の腕を視界の隅に捉えながら運転しているようで、力強さが乗り移ったかのような錯覚を覚える。悪い気はしない。


 ステアリングホイールはごつく、ダッシュボードを横一文字(実際には波打っているが)にカーボン柄のパネルが伸びている。ステアリングホイールのグリップは見て感じるとおりで、太い。エンジンのスタートスイッチを押すと、野太い排気サウンドが轟く。メルセデスAMG E53 4MATIC+はメルセデス・ベンツS450と同じM256、すなわち3.0ℓ直列6気筒直噴ターボエンジンを搭載しているはずだが、排気サウンドから受ける印象はインドア派とアウトドア派ほどにキャラクターが異なる(穏健派と過激派でもいい)。

 実際のところ仕様は異なっており、S450は270kW&500Nmの最高出力&最大トルクを発生する一方で、AMG E53の最高出力&最大トルクは320kW&520Nmだ。ターボチャージャーの仕様と制御が異なっている。エンジンの出力をアシストする16kW&250NmのISG(統合型スターター・ジェネレーター)を備えており、それを専用の48Vバッテリーで制御する、いわゆる48Vシステムを搭載している点は同じ。さらに、ターボの応答遅れを解消する目的で電動スーパーチャージャーを搭載しているのも、先に導入されたS450と同じだ。

 排気サウンドは過激だが、パワートレーンは最新技術がてんこ盛りで、インテリジェントである。センターコンソールの左側にあるAMGダイナミックセレクトは「Comfort」「Sport」「Sport+」「Individual」の4種類のモードが用意してあり、デフォルトはComfort(コンフォート)だ。試しにSport(スポーツ)に切り替えて発進してみると、シフトアップする際にボン、ボンと、燃え残りの燃料が排気管の熱をもらって着火したかのようなワイルドなサウンドを後ろの方から耳に届けてくる。


 ポルシェ718ボクスター/ケイマンSもルノー・メガーヌR.S.も、スポーツ系のモードに切り替えると同様の演出で耳を楽しませてくれる。欧州系スポーツモデルのお約束なのだろうか。好きな人(例えば筆者)にはたまらない演出だろう。市街地の巡行スピードでもスポーティな気分が味わえるわけだ。

 メルセデスAMG E53 4MATIC+のスポーティな演出はそれだけにとどまらない。交差点を右左折するような(見ようによっては)緩いカーブでも、遠心力で体が持っていかれる方(右カーブなら左側)のシートのサイドサポートが、遠心力(横G)の発生にともなってプクッとふくらむ。ランバーサポートの機能を応用したものだろう。実際には交差点を右か左に曲がっているだけなのだが、「オレってなんか頑張っちゃっている?」という気にさせてくれる。なかなか粋なサービス(というか機能)だ。


 車名に「4MATIC」と付いていることから想像がつくように、AMG E53 4MATIC+は4輪駆動だ。「+」は進化版を意味しており、前後トルク配分を50:50から0:100まで可変制御する機能が加わった(従来は固定配分)。今回の試乗では機能を体感する機会を得ることはできなかったが、ポテンシャルが高いクルマであることはわかる。

 サスペンションにも「+」が付いており、AMG RIDE CONTROL+サスペンションと呼んでいる。連続可変ダンパーを備えたエアサスペンションだ。プレスリリースには「コーナリング時やブレーキング時などは、スプリングレートを高めることでロールを効果的に抑制」「各輪の減衰力をその時点の走行状況および路面状態に合わせて自動で調整する」とある。インテリジェントなのはパワートレインだけではない。


 やはり、今回の試乗ではインテリジェントなサスペンションの機能を100%引き出す機会には恵まれなかったが、同じエアサスペンションでも、SクラスとAMGでは味つけが天と地ほどに違うことは理解できた。AMG E53 4MATIC+は、コンフォートにしておいてもハードだ。「オレはいま引き締まった脚のクルマに乗っている」ことを、タイヤをほんの少し転がすだけで実感することができる。

 もちろん、AMGのことだ。重量級のモデル(試乗車の車両重量は2020kg)をサーキットに持ち込んで振り回したところで破綻せず、ビシッと安定した姿勢を保っていられるだけの実力は備えているに違いない。その実力の高さを常用域で過剰なまでに訴えかけてくるのが、メルセデスAMG E53 4MATIC+だ。


メルセデスAMG E53 4MATIC+
■ボディ寸法
全長×全幅×全高:4950×1850×1450mm
ホイールベース:2940mm
車両重量:2020kg
駆動方式:フルタイム4WD
■エンジン
形式:直列6気筒DOHCターボ+電動スーパーチャージャー
型式:M256型
排気量:2996cc
ボア×ストローク:83.0×92.4mm
圧縮比:10.5
最高出力:435ps(320kW)/6100rpm
最大トルク:520Nm/1800-5800rpm
ISGモーター:16kW/250Nm
燃料タンク容量:66ℓ
■トランスミッション
9速AT(9G-TRONIC)
■燃費
JC08モード燃費:10.0km/ℓ
■車両本体価格1202万円(試乗車はオプション50万6000円含む1252万6000円)

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