バイク用とは気づかないデザイン
バイクのライディング用として特化したアイテムは、あんまり身に着けたくない……世の中にはそういう意識のライダーが、少なからず存在します。ではそういう人がどんな服装でライディングをしているのかと言うと、アウトドア系やスポーツ系などでしょうか。あるいは、普段着のままという人もいると思います。
【画像】新ジャンル!? ヒョウドウ新作「EVOKE(イヴォーク)」を画像で見る(12枚)
とはいえ、ライディングを考慮していない衣服でバイクに乗ると、走行風の侵入によるバタツキ、フィット感の悪さ、転倒時の身体の保護など、何らかの面で物足りなさや不満を感じることが珍しくありません。そのあたりを考えると、ライディングギアに求められる要素と個人の趣味を両立するのは、なかなか難しいのですが……。
日本のライディングウエアブランド「ヒョウドウプロダクツ」(以下、ヒョウドウ)が2024年秋から発売を開始した「EVOKE(イヴォーク)」なら、私(筆者:中村友彦)はそういった問題は解決できる気がします。アウトドアやスポーツ、カジュアル系の要素を盛り込んで生まれたイヴォークのジャケット/シャツ/キャップ(ハット)は、パッと見ではまったくバイク用には見えないのですから。
もっとも、イヴォークはデザインだけを重視した製品ではなく、ヒョウドウが既存のライディングギアで培ったノウハウを随所に取り入れています。
アウターは耐水・透湿性を重視した3レイヤー構造で、背中と両肩にはリフレクタープリント、両胸サイドには開閉式ベンチレーションが備わっていますし、ミドルインナーの一部はウインドブロック生地、インナーシャツは吸湿速乾素材を採用しています。もちろん大前提のパターンに関しても、十分ライディングに配慮されています。
パッカブル機能と、自由な組み合わせ
さて、まずはデザインと機能性の話を記しましたが、イヴォークの美点はそれだけではありません。ほとんどすべてのアイテムが小さく畳んでポケット内に収納できる「パッカブル」機能を採用していること、そして組み合わせが自由なことも、この製品ならではの特徴です。
まずはパッカブルの説明をすると、アウトドアの世界で定番になっているこの構造をイヴォークが採用した理由は、もちろん持ち運びを容易にするためです。つまりイヴォークを携帯、あるいは着用していれば、出先で遭遇する寒暖差にウエアの脱着で対応できるわけです。なお、休憩時や観光地などで頭髪についたヘルメットグセを隠すキャップ(ハット)も、パッカブルであることは同様です。
続いて自由な組み合わせの説明をすると、既存のヒョウドウ製アウタージャケットは、1着でいろいろな状況に対応……と感じることが多かったのですが、イヴォークはアウタージャケット/ミドルインナー/インナーシャツをあえて別売りとし、プロテクターをオプションとしています。その背景には、好みに応じて重ね着(レイヤード)というお洒落を楽しんで欲しいという意図があったのでしょう。
イヴォークのアウターに装着可能なバックボーン/ショルダー/エルボープロテクターは、既存の同社が使ってきた「D3O」ではなく、「RE ZRO」を採用しています。その主な特徴は軽さと薄さ、良好な通気性、環境を考慮した生分解性などですが、イヴォークでは折り畳みに対する強さも大きな美点になります。
既存製品の延長線上にあるイヴォーク
冒頭に記したように、私自身はイヴォークに対して、バイク用として特化した既存のライディングギアがあまり好みではないライダー用……というイメージを抱いていました。それが取材のために「ヒョウドウプラス浜松」を訪れ、実際にイヴォークの各製品を手にした現在は、既存のライディングギアに満足していたライダーにとっても、有効な選択肢になるような気がしています。
もっとも、改めて振り返るとヒョウドウは創業当初から、バイク用として特化したライディングギアに注力する一方で、普段着として使いたくなる製品も販売してきました。そういう姿勢で開発を行ってきたからこそ、新たな提案となるイヴォークが生まれたのでしょう。
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