スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは4月11日、2021年第1戦が開催されている岡山国際サーキットで定例記者会見を開き、坂東正明代表がシリーズに関わる質問に答えた。このなかで、今回の岡山で施行されている『特別BoP』の採用に至った経緯と、今後の見通しについて坂東代表が語る場面があった。
『特別BoP』は3月6~7日に岡山で開催された公式テストの際に試験的に採用され、テストではおおむね1秒前後ラップタイムがダウン。さらに開幕戦に向けた参加条件が発表されたタイミングで、その存在と詳細が正式なものとしてアナウンスされた。具体的にはGT500クラスでは燃料流量リストリクターを絞ること、そしてGT300クラスでは特別BoP重量を搭載することが、すべての参加車両に対して義務付けられている。
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坂東代表はこの特別BoPについて、エスケープゾーンの狭い岡山での、安全性を考慮したものであると説明している。
「昨年の(ノーウエイトで行なわれた)富士の最終戦でのGT500クラスの速さ、さらにオフシーズンにもクオリティの高い開発テストを各マニュファクチャラーがやっていることを考えると、エスケープがなく(狭く)、コース幅も狭い岡山においては、安全性を考慮し、出力を抑えようということになりました」
坂東代表によれば、この件については3マニュファクチャラーの賛同が得られており、タイヤーメーカーテストではエンジンマップの調整により燃料流量を絞って確認、今回採用されている90.2kg/hというリストリクターが選定されたという(通常は95.0kg/h)。
GT300クラスでは重量による調整となったことから、タイヤやブレーキなどに負担がかかる状況ともなっているが、坂東代表は「自分としては、表と裏の(ストレートの)トップエンドの車速を抑えようと、速度リミッターでやろうと提案した」とその制定過程を明かした。
ただ「クルマによって加速性能が違うし、コーナーではなくトップエンドでなければ抜けないなど車両ごとの違いもあって、リミッターでは抑えられない車両もあり」、性能調整委員会で議論された結果、速度リミッターの採用は見送られたという。
万一の事故の際に“重さ”が及ぼす影響を憂慮してか「ウエイトではやりたくなかったというのが正直なところだけど」と坂東代表は苦渋の決断であったことをほのめかすが、“ウエイトを載せて加速性能を含めた車速を落とせば、万が一の際の安全係数が高まる”というデータもあったことで、ウエイトにより性能を抑制するという結論に至ったという。
なお、この特別BoPの採用は第1戦岡山だけの措置となることも、坂東代表は明らかにしている。
たとえば第5戦として予定されているスポーツランドSUGOも岡山と同じくコース幅が狭く、エスケープゾーンも比較的狭いが、「そこでレースをする時には、サクセスウエイトが載ってきている状態になると思うので」採用の予定はなく、またノーウエイトとなる最終戦の富士についてもエスケープゾーンが充分にあることから、同じく採用されない予定だという。
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